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スリランカアーユルヴェーダ旅行記④(ナシャカルマ&シロダーラ編)

アーユルヴェーダにはパンチャカルマというデトックス療法がある。
サンスクリット語で「5つの療法」という意味で、心身に溜まったアーマ(未消化物・毒素)を5つの方法で排出し、病気を予防、健康増進をはかるというもの。
催吐法・下剤法・浣腸法・点鼻法・瀉血法の5つがそれにあたる。

いずれも割とハードかつデリケートな治療になるため、医師の診断とゴーサインがなければもちろん実施出来ず、十分な前処置と後処置を行えるだけの宿泊日数がなければ受けることが出来ない治療だ。
私の宿泊していたホテルでも、点鼻法以外は確か最低でも10日以上滞在しなければ受けることが出来なかったように思う。

ギリギリ10泊11日の滞在だった私はこの中で、点鼻法(ナシャカルマ)と下剤法(ヴィレッチャナカルマ)を受けることになっていた。
ちなみにこれまで行ってきたオイルトリートメントやハーバルバスはもちろん、これから受けることになっているシロダーラも、実は全てこのパンチャカルマの前処置として行われる。
体に負担がかかる治療に耐えうる体調にすべく、内(薬と食事)と外(マッサージなど)から心身を整え、一気にデトックス出来るよう体中から毒素を集めておくためにオイルマッサージやシロダーラを前処置として行うのだそうだ。

私はもともと不眠気味で、あれこれ考えだすと思考が止まらず脳の緊張状態が続いてしまいやすいという問題があったため、「マインドクリーニング」とも言われるシロダーラを4日間連続で受けることになった。
そして宿泊4日目(トリートメント開始3日目)から、シロダーラがはじまった。


前回の通り、日毎のスケジュールと治療体験についてまとめてみようと思う。

【トリートメント3日目】
9:00  全身マッサージ
9:45  スチームバス
10:15 ハーブ蒸気の吸引
10:30   シロダーラ
11:10 ドクターコンサルテーション 
11:30 鍼治療
12:00 スペシャルセラピー(肩のマッサージ)

い、忙しい・・・この日は分刻みの午前。
トリートメント4日目にして初めてスチームバスとハーブ蒸気の吸引を行ったので、少し詳しく説明していく。

スチームバスは、大きな木製の棺桶のような箱に入って蒸される、簡易的なサウナのようなもの。体を横たえる部分が格子状のスノコのようになっていて、その下にぐらぐらと沸いた薬草湯がいくつも置かれ、そのスチームで体を温め発汗を促していくという仕組みだ。
最初こそ熱いが徐々に温度も落ち着き、体がじんわりと温められていく心地よさのあるトリートメントで個人的には結構好きだった。が、閉所恐怖症の人はキツイかもしれない。

ハーブ吸引(こう書くと合法に見えない不思議)もスチームバスと同じようなもので、薬草を茹でた大鍋が入っている木製の箱に顔を突っ込み、鼻からハーブの蒸気を吸い込む。これは慢性鼻炎などの治療に役立つのだそうだ。
鼻が弱い私は、時々足を蚊に刺されながらも毎回箱を両手でしっかりと抱えながら吸引をしていた。
これを行った日は本当に毎回、その後とても鼻が楽だった。

(↓写真の奥がスチームバス、手前がハーブ蒸気吸引用の木箱。
上部に空いた穴にタオルをドーナツ状にして置き、そこに顔を入れて吸引を行う)

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そしていよいよシロダーラ。
デリケートな治療なので、セラピストさんも2人がかりだ。
ベッドに仰向けになった私の額に、温められたオイルがするすると伝いはじめる。
これまで経験したシロダーラは全て、額の一点に集中してオイルを垂らしていくものだったのだけど、ここでは左の耳の付け根から右の耳の付け根までゆっくりと移動しながらオイルを垂らしていくようだ。

すぐに意識が遠のき、いくつか夢か現かわからない世界へといざなわれた。
過去なのか未来なのか、それともパラレルワールドのようなものなのか。
現実的でありながら非現実的ないくつもの世界を、ふわりと渡り歩くような時間が続く。体はこれ以上ないほどに弛緩している。
この感覚は本当に独特だ。

30分ほどであっという間に施術が終わり、元の世界に引き戻された。
オイルを拭いてもらった後は頭に厚手の木綿の布を巻かれ、「寝る時以外は頭と耳を覆うよう布を被るように」と言われた。
どうやら施術後はとても体がセンシティブになっているようで、覆って保護をするらしい。
なお、シロダーラ期間中は頭を洗ってはならず、強い風・強い日光に当たることも、体を冷やす行為も禁止される。それだけ慎重に行うものなのだということを改めて実感した。

ホテルには布をかぶった人ばかりなので頭巾姿はまるで気にならないが、その期間中はどうしても頭が重いこともあってか、副作用として頭痛やだるさ、ひどい眠気を感じる人も多いという。

人によっては悲しい出来事などを思い出したり、情緒がやや不安定になることもあるらしく、シロダーラの後のドクターコンサルテーションでは、そうなったら人に話を聞いてもらうか紙に書き出して、決して涙や感情を止めてはいけないとレクチャーを受けた。
私は感情にこそ変化はなかったものの、眠気とぼんやりとした頭痛が2日間くらいは続いた。が、それも徐々に治っていき、基本的には元気に過ごしていた。

【トリートメント4日目】
8:50  ドクターコンサルテーション
9:00  首と肩のマッサージ
9:30  シロダーラ
10:00 ナシャカルマ
10:30 ハーブ蒸気吸引
11:30 鍼治療

この日はナシャカルマ、鼻のデトックス治療の日だ。
シロダーラが終わり、ドクターの部屋へ移動をする。
治療用ベッドの上でまず軽くフェイスマッサージを施された後、薬草パッド(薬草を包んだ布を蒸した熱いパッド)をトントンと顔の中心部に当てながら鼻周りを温めていくところからスタートする。

その後担当ドクターが辛味の強いオイルを鼻に数滴点鼻し、鼻の付け根をしばらくマッサージする。
その後はひたすらに鼻をすすり、口から吐き出すということを繰り返す。
文字だけで書くと何ともないように感じるのだけど、これがなかなか辛かった。

熱い薬草バッドを当て、鼻をマッサージされながら行うのだけど、まぁパッドは熱いわ、オイルは辛いわ、マッサージは激しいわで結構ハードなのだ。

しかし、私は過去に副鼻腔炎になったこともある鼻が弱い女なので、涙目になりながら一生懸命先生の言う通りに頑張った。
まさか34にもなって" Good girl "と言われるとは思わなかったが、ちゃんとやれていたらしい。

これをなんだかんだで10分くらい繰り返し、お白湯でうがいを数度行って無事終了。
数時間は鼻水が続くが、半日くらい経つと不思議とスッキリしていることに気がつく。

アーユルヴェーダは偉大だなぁと感動していたのもつかの間、翌日以降も鼻がグズグズすることは割とあったので、これに限っては効果があったのか不明な治療ではあった。
まぁ、経験は全て宝だと思っているので、後悔はない。


そんなこんなで終えた滞在5日目。
この辺りから体の変化が出てきたので、それを最後に書き出してみようと思う。

【5日目までの変化】
・カフェインが一切欲しくなくなる
・野菜の味がビビットに感じられるようになる
・体重1キロ減
・むくみが消えた
・肩こり、首のこりも消えた
・寝つきがのび太

こんなところだろうか。
日本では毎日何杯も飲んでいたコーヒー。始めは食後や朝に飲みたいなと思うこともあったが、気がつけば全く思い出さなくなっていて、明らかに味覚が変わり始めていた。
また、むくみやこりがとれたせいか体が軽く感じられ、シロダーラ中ということもあってか、大して疲れてもいないのに毎晩一瞬で眠れるようになっていた。
私にとっては想像していた以上の変化だ。

「あれ、これはみんな来るべきでは?」
この時くらいからそう思いはじめ、今一生懸命こうやって細かくnoteを書いているのは、最終的にこの時感じた以上の変化があったから。

次回も体の変化と合わせて、どんな治療を受けていったのか、そしてナシャカルマ以上にハードだったヴィレッチャナカルマ(下剤法)について書いていこうと思う。


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