スリランカアーユルヴェーダ旅行記⑤(ヴィレッチャナカルマ編)
気がつけば滞在6日目(トリートメント5日目)。
じわじわと効果を感じつつあるアーユルヴェーダ治療も、いよいよ後半戦だ。
今回の記事も、例のごとくスケジュールを振り返りながらまとめていこうと思う。
【トリートメント5日目】
7:00 瞑想レッスン
9:30 スペシャルセラピー
10:00 全身マッサージ
10:45 スチームバス
11:15 ハーブ蒸気吸引
11:30 シロダーラ
12:00 ドクターコンサルテーション
12:30 鍼治療+ハーバルパック
この日は瞑想のレッスンからスタート。
ヨガセンターという鍼治療も行う会場で行うこの瞑想レッスンは、近隣の寺院からお坊さんが出張講義をしにきてくれる学びの時間だ。
オレンジ色の法衣をまとった小柄なお坊さんは、集まった参加者に対して冒頭こう教えてくれた。
「現代人は忙しすぎて、本当のリラックスもなく、幸せを感じることも少ない。戻れない過去を悔やみ、起こりうるかもわからない未来を心配して過ごしているがそれは全く意味がないもの。
今この時を精一杯生き、感謝し、本当の幸せを見つけましょう。
蓮の葉のように、決して沈まぬ心を保ちましょう。
そのために瞑想をするのです。難しいですが、私たちは必ず出来ます。」と。
あぁ、確かに私の心が乱れる時もそうだ。どうすることも出来ない過去や未来を考えすぎてしまっていた。
お坊さんのお話を聞き、「喜んで今を生きねば」そう改めて思い直した。
講義自体は、こうしたお話や具体的な瞑想方法のレクチャーも含め15分ほど。その後、呼吸瞑想をみんなで行った。
少しずつ深く、ゆっくりと意識を集中させていく。徐々に心がしんと静まっていく。
20分くらいだろうか、お坊さんの合図で瞑想を終える。
窓から見える朝陽を浴びた木々が本当に美しく見えた。
瞑想が終わり再び目を開ける時、いつも世界が少し美しく見えるのはなぜだろう。
その後はウォーキングメディテーションなるものを習い、約1時間で瞑想レッスンは終了。この日は朝食後、7つにも及ぶスケジュールをこなしていった。
【トリートメント6日目】
9:50 ドクターコンサルテーション
10:00 鍼治療+ハーバルパック
10:30 全身マッサージ
11:45 ハーバルバス
12:15 ハーブ蒸気吸引
12:30 シロダーラ
ようやく迎えたシロダーラの最終日。
頭巾を外して髪を洗えるこの日が待ち遠しくもあったが、シロダーラを受けられるのも今日で最後かと思うと少し寂しさもあった。
いつも通りベッドに横たわり、オイルを額に受ける。
やはり一瞬で意識がふわりとここではないどこかへと向かい始める。
そこまではこの3日間と同じだったのだけど、なぜかこの日だけ私は信じられないくらい大量の汗をかいた。
セラピストさんが顔をこまめに拭き、扇いでくれているのがもう一方の意識ではっきりとわかった。特別暑い日だった訳でもないのに、顔から足の先までぐっしょりと汗を出て、それが止まらない。
ただ、それ以外はいたって普通で、特にしんどさを感じることもなかった。
不思議な気分のまま30分弱で最後のシロダーラが終わり、1-2時間後に3回ほど根気よくシャンプーをして、ようやく4日間のオイルを洗い流すことが出来た。
髪を乾かし、大きな窓を開け、バルコニーで潮風と太陽をめいっぱい浴びる。
驚くほど頭と体がすっきりとしていた。
あの大量の汗の意味や効果はわからないままだったのだけど、きっと何か体から出し切る必要があったんじゃないかと思っている。
【トリートメント7日目】
5:00 下剤のタプレットを服用する
10:00 ホテルの部屋にてドクターコンサルテーション
14:00 フェイシャルマッサージ
14:30 フットマッサージ
ついにやってきた。
やってきてしまった、パンチャカルマ(ヴィレッチャナ)の日が。
緊張して夜中に何度か目を覚ましながら、前日ドクターに言われた通りに早朝5時に一度起床し、小指の爪ほどの下剤と一杯のお白湯を飲んだ。
他の滞在者が言うには、1時間ほどでお腹が痛くなるらしいのだけど、なぜか1時間経ってもまったくそれはやって来なかった。
あまりに何もないので何度もお白湯を飲む。が、しかし2時間経ち、3時間経っても結局何の変化も見られなかった。
「効かないのかな?」
半信半疑になりながら、とりあえず朝食をとりにレストランへ。お粥のみOKとのことだったのでカップ一杯のお粥を食べて部屋に戻った。
そして部屋に着いたその刹那、もう来ないんじゃないかと思っていたそれがいきなりフルスロットルでやってきたのである。
待たせた割にあまりに遠慮のない登場にとまどいながら、そこから3時間をほぼトイレで過ごすことになった。
ヴィレッチャナカルマの日のドクターコンサルテーションは宿泊している個人の部屋にて行われるため、10時ごろドクターと助手が部屋を訪ねて来てくれた。
大丈夫かと聞かれたが、全くもって大丈夫じゃない。
「お昼ご飯が終わったら少し冷たい水をコップ一杯だけ飲んで。それで完全に止まるはず。あと少し頑張ってね!」
そうドクターに励まされ、この治療を受けたことを少し後悔しながらも、なんとか乗り切りお昼の時間を迎えた。
腹痛自体は既におさまっていたが、体力が一気に奪われたせいでレストランへ行くのもやっと。
回復食として出された酸味の効いたスープも、ほぼ手を付けられずにスプーンを置いてしまったくらい何も食べる気にはなれなかった。
その後味の薄いカレーとご飯、茹で野菜が運ばれてきたが、それも数口だけ無理やり口の中に放り込んだだけで手が止まってしまった。
「回復食もカレーて・・・」
心の中のツッコミも全く元気がない。
その後しばらく横になったり、トリートメントを2つほど受けたりしていると少しずつ体力が回復してきているのがわかった。
夕方ごろにはすっかり元気を取り戻していて、夕陽を見がてら散歩でもしようとビーチへ向かった。
ここのところ夕方になると曇りだしたりスコールが降ることが多かったのだけど、この日は雲こそかかっているものの比較的綺麗に晴れていて、やわらかい太陽の光とピンク色に染まる海が本当に美しかった。
なんだかまるで生まれ変わったような気分だった。
ヴィレッチャナカルマを経て空っぽになった体は、自分のものと思えないほど軽く、日本で当たり前のように感じていた体の不調やストレスもこの時になると全くなくなっていた。
味わったことのないまっさらな気分。
不思議なことに、喜びすら湧き上がってくる。
今ここにいられることはもちろん、日本での暮らしや今生きていることそのものへの喜び。
そんなものが、なぜか水が湧くようにとくとくと生まれてくる。
そしてこのまっさらな体と心で最初に感じられるのが、この優しく美しい場所であることにも幸せを感じずにはいられない。
最高な気分だった。
その夜も、クリニーニングデイ(ヴィレッチャナカルマ)専用の回復食メニューを食べ(優しめのカレー)、私のパンチャカルマは無事終了したのだった。
最後にまた、この日までに感じた変化をまとめてみる。
【8日目までの変化】
・カフェイン欲皆無
・お白湯が心底美味しいと感じ始める
・体重2キロ減(この日だけで1キロ減)
・体に何の不調も感じられなくなる(あらゆる痛み、はり、こりがない)
・寝つきは相変わらずのび太
・何においてもとりあえず喜びを感じ始める
パンチャカルマを経て、体の変化は想定していた通り?だったけど、まさかメンタルにも変化が生まれたのは想定外の出来事だった。
とにかく来てよかったと、心からそう感じていた。
次回に続く。
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