映画 PERFECT DAYSを観た
普段、映画館に足を運んでまで映画を観ることは少ない私。
その私が、この映画はすぐにでも観たいと思ったのがPERFECT DAYS。
主演は役所広司。
監督はドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。
第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を獲った作品。
なぜすぐにでも観たいと思ったかというと、
役所広司さんが「日本の映画界はこれからはこういう作品を作って欲しい」とインタビューで応えていたから。
主人公は公衆トイレの清掃員 平山。
派手な脚色もドラマチックな展開もなく、ドキュメンタリーのように淡々と進む。
良かったです。
とっても良かった。
エンドロールでは、誰ひとり最後まで立ち上がらなかった。
・平山が朝、家を出る時、空を見上げる表情がいい。
・平山が夜、蛍光灯で文庫本を読んでいるシーンがいい。
・平山が大衆酒場でいつもの酎ハイときゅうりでやっているシーンがいい。
・平山が聖人君子でもないところがいい。
・流れるBGMがいい(東京の街がちょっとニューヨークに見える)
・都会の真ん中にも森があることがわかる
・平山のまなざし(車の中から見える東京、行き交う人々、公園にいる人々)が優しい
そして・・・
最後の3分間がいい。
すごくいい。
心豊かに生きるとはどういうことなのか、言葉ではなく(説教くさくなく)切り取られた映像からしみじみと感じられます。
この作品はくどい説明文は極力排除されています。
平山の過去、どうして今このような生活をするようになったのかなどは語られていません。
私は言葉で表現する仕事をしていますが、PERFECT DAYSには頭にがつんと食らったような衝撃を受けました。
主人公の平山にはセリフがほとんどありません。
TVドラマにありがちな、過剰でおしつけがましい説明文はそぎ落とされ、受け手の感覚に委ねられます。
私は書く時、読者にわかりやすく理解してもらおうと、言葉をこれでもかこれでもかと重ねて書いてきました(段々そうなっていったのです)が、
それは余計なお世話でもあり、ある面読者をバカにしているのかもしれません。
言葉は意思疎通のためにとても重要な役割を果たしますが、言葉で(伝えたいことの)すべてを伝えることはできません。
言葉で表そうとすると作為的になったり、もっと開放的であるべき本質が狭められてしまう危険性さえあります。
とはいえだからといって言葉で表現することを諦める、という意図で言っているのではありません。
言葉は万能ではないこと、言葉の限界を踏まえた上で、その中で情報の受け手にこちらの真意をどこまで伝えることができるか。
唯一解の無いの中でもがき続けていく覚悟を決める、この映画はそれを私に教えてくれたように感じました。
良い映画との出会いは心を豊かにしてくれます。
PERFECT DAYSを見てからよく空を見上げるようになりました。
なにげない日々を愛しく感じられるようになりました。
PERFECT DAYSは人によっては次のような感想を持つかもしれません。
退屈でつまらない
何がいいたいかよくわからない
もっと背景や理由を説明してほしい
平山がしあわせな人だとは思えない
それで良いのだと思います。
ぜひ観てみてください。
人は誰しも孤独を抱えています。大なり小なり。
その孤独とどうつきあっていくのかは人それぞれです。
正面からぶつかって戦い勝とうとするのか、折り合いをつけながら受け入れていくのか、見ないふりをして孤独の存在自体を消そうとするのか。
正解はありません。
平山が日々変わらぬルーティーンの日常の中でときおり見せる微笑み。
それは孤独の中にあってふっと見つけるしあわせな感情なのかもしれません。
それは彼が「しあわせをしあわせと感じることができる心の状態」で在るということなのかもしれません。
あ~あ また説明文的になってしまった。。。
2023年12月30日
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