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給食委託会社を推奨しない理由2

給食委託会社で働くと…

  • 給料安い

  • 早番をやらされる

  • 残業が多い

  • 重い荷物を持ち上げる作業が嫌だ

  • 薄給

  • 人手不足で厨房業務に回らなけらばならないから、事務作業は家に持ち帰って行う

  • 年輩スタッフの取り纏めが大変

このように酷い状況で働かされているのは確かです。

それだから栄養士が愚痴っているブログが沢山ヒットするんでしょうけど…


おまけに若くしてチーフ(責任者)をやらされるというのが、給食委託会社で働く栄養士の宿命となっています。

…というか、このような給食委託会社の体勢は昔から芳しくないと思ってきました。



新卒でいきなりチーフをやらされるのは無理ゲー

新卒未経験で入職すれば、仕事でさえも右も左も分からない上に、社会のことだって分からない。

いくら学校で勉強して資格を取得したとはいえ、新卒で全く何も分からない人が、自分より遥かに先輩であるスタッフを取りまとめることは、無理ゲーに等しいことです。

厨房人員の構成は、栄養士、調理師、調理補助がありますが、この中でも事務作業の多くを担うのが栄養士です。

事務作業の軸となるのが献立となり、その献立を軸に発注書や検収簿、栄養出納表等の書類が付随されて作成されます。

注文した食材が納品されれば検収しなければならないし、食材や消耗品の在庫管理も行わなければなりません。

調理師の業務がハードな一方、栄養士業務は事務作業が多い上に細かくて、気を遣うものが多くあります。

給食委託会社の人員体制の場合、多くは栄養士は一人配属ということになります。

なので、栄養士からすると自分の仕事を肩代わりしてくれる人がいない状態となります。

調理師が協力的な人であれば幸いですが、必ずしも栄養士の仕事を協力してくれる調理師に遭遇するとは限りません。

調理補助となると、栄養士業務は我関せずとなるので尚更です。

現場は人手不足なので、厨房業務と掛け持ちしながら事務作業を行っていかなければならないし、新卒未経験となると、厨房業務は不慣れなために動きも円滑ではありません。

そうなると、先輩スタッフに怒られながら仕事をすることになるので、余計にプレッシャーがかかります。


管理栄養士が行う栄養ケアマネジメントを新卒からいきなりやることも無理ゲーですが、給食管理業務を新卒で何も分からない状態でやることも無理ゲーなのです。


栄養士・管理栄養士は料理が出来ない

調理師から見ると、管理栄養士は料理が出来ない人が多いそうですが…

これは管理栄養士の教育によるものも大きいと思います。

  • 新卒で給食委託会社に入社していきなりチーフをやらされる

  • 新卒で直属の管理栄養士として就職する

新卒当初から背伸びをさせられた状態で働く、つまり土台がおぼつかない状態で業務に従事するわけです。

当然、新卒で直属の管理栄養士として栄養ケアマネジメント業務に従事すれば、厨房経験ゼロとなるので、料理の出来ない管理栄養士が仕上がってしまいます。

給食委託会社に入社したからと言って栄養士の調理スキルが身に付くかというと、それも微妙です。

これは私見となるのですが、新卒の栄養士には最低一年間は厨房に入って厨房業務を習得し、それから発注業務に移行すれば、栄養士に調理スキルを身に付けることが可能です。

ただ、一人栄養士で配属されている以上、厨房業務をしっかり教育してもらえる環境が与えられてません。

業務委託化が長ければ長いほど、スタッフを教育できる環境は薄れてしまいます。

「栄養士さんとは畑が違うから仕事は教えられない」

結局人手が足りないと言われて厨房に入ったのに、調理補助と検品、電話の対応とマルチタスクを行いながらやっていくので、調理スキルが身に付く環境が与えられません。

何だか調理は出来ないけど、仕事は早くこなせる…という程度に仕上がります。

仕事は遅いよりも早い方がなんぼですが、中には「仕事が早い」というだけで自分のスキルに満足している栄養士や調理師もいます。

これは残念ですよ…


給食委託会社(というか事業所との契約内容)の体勢にも問題があります。

栄養士は一人で十分という考え自体が現場を分かっていない証であり、栄養士が一人配属となれば、人手不足のしわ寄せを一番受けるのが栄養士です。

結局これが原因で心身ともに疲弊してしまい、ろくにスキルが身に付かないまま退職してしまうという結果を招いてしまいます。


更に栄養士の成長を妨げる要素

委託会社の栄養士が人間関係に悩まされているケースは多いと言われますが、上司に買われる栄養士も中にはいます。

委託会社は、契約する前(営業活動時)は、その事業所の管理者に「お客様第一の最高のおもてなしを提供します」とのアピールをします。

それはあくまでも営業の顔としてです。

委託会社は一企業である以上、一番大事にするのは「利益」です。

その利益獲得のために利用されるのが、チーフをしている世間知らずのお嬢様方なのです。

このお嬢様方の中でも、特に会社の利益のために貢献するお嬢様は上司に可愛がられます。

事業所が利益を生み出せば、その上司(SV、マネージャー)が更に上の上司から賞賛されます。

そりゃ、SVやマネージャーからしたら、多くの利益を出してくれる栄養士のお嬢さんが可愛くてしょうがないもの。

上司が可愛がってくれる…世間知らずのお嬢様にとって、とても嬉しいことです。

実際は食材費を削るために、患者様を犠牲にしているのですが…

しかし、そこのお嬢様達よ!

あなたの職業は泥棒ですか??

肩書はチーフかもしれないけど、どういう職種でその会社に入社しているの?

栄養士でしょ?

患者様や利用者様の健康を害してまで委託会社に貢献するのは、栄養士としてどうなのか?

これは、調理スキルが云々という以前に、栄養士としてのスキル磨きを誤った方向に行っているだけ。…というか、栄養士として必要なスキルを全く磨かず、ただの守銭奴になっているだけではあーりませんか?


栄養士、管理栄養士の就職先の殆どは給食委託会社。

栄養士や管理栄養士の「栄養学の知識を活かして人を健康にする」という本来のスキルを伸ばさずに、磨かなくても良いところを磨いている栄養士や管理栄養士が増えてしまっては、余計に栄養士や管理栄養士は世の中に相手にされなくなる!

臨床栄養の枠でしか栄養管理が行えない管理栄養士でさえも見解が狭いのに、栄養士がお金にくらんでいるだけって、これは幾ら何でも恥ずかしいのではないのでしょうか?

栄養士や管理栄養士の資格を所持していなくても、栄養学を学んでいる人は沢山います。

今は健康や栄養に関する情報が溢れており、栄養素だけに縛られた教科書通りの栄養学だけではなく、食の安全、自然食、分子栄養学、生理学、セラピー等、あらゆる分野から栄養学を見ていかないと、本物の栄養士にはなれません。

他の専門家が栄養学を学んでいるように、栄養士や管理栄養士も他の分野を学んでいきましょう!と言いたい。


給食委託会社に勤務するということは、下手をすれば価値のない栄養士を量産してしまう一面があるのです。

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