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なぜ今、呼吸が重視されるの?

【実践!ゼロから学べるLow Back Painマガジンの記事一覧】


こんにちは、だいじろう(@idoco_daijiro)です!


ここ数年、いろいろなところで「呼吸」の重要性を耳にするかと思います。


臨床的にも腰痛への対応のなかでは腹腔内圧をコントロールするために「呼吸」に対してアプローチすることも多いかと思います。


最近では、その「呼吸」が腹腔内圧だけでなく、四肢・体幹のさまざまな機能に影響するということが報告されています。


私もこの「呼吸」についての理解が深まったことで、腰痛患者さんに対してはもちろんですが、他のさまざまな疾患の患者さんへの評価・アプローチの効果が高まりました!


まさに臨床力がアップしたということです。


今回は、その「呼吸が重視される理由」について解説していきたいと思います!



本記事はこんな方にオススメです!

●腰痛への対応の基本である体幹機能について学びたい!
●最近注目されている呼吸について詳しく知りたい!


ポイントとしては「呼吸」を動作として捉えていくということです。



それでは、本編に入っていきたいと思います。




▶ 呼吸の基本のキ

まずは呼吸についての基本的な部分を確認していきましょう。



— 呼吸の概要

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呼吸とは、肺と気道を通って空気が吸入・呼出される機械的過程のことをいいます。


安静時には毎分12〜20回持続して生じ、ヒトの生命維持に不可欠なものです。


呼吸によって、肺胞と血液との間で酸素と二酸化炭素の交換が行われます。


この交換は、筋線維内の酸素代謝に不可欠であり、ATPとして蓄えられた化学エネルギーが、関節の動きと安定に必要な機械的エネルギーに転換されていきます。


呼吸の相対強度は、「安静」または「強制」で表されます。


健常人では、少ない代謝需要ですむ座業的な活動中の呼吸が安静呼吸となります。


強制呼吸は、運動のような速く、多くの空気の交換が要求される激しい活動中、あるいは何らかの呼吸器系の疾病が存在する場合に生じます。


安静呼吸では、横隔膜が重要な役割を担っています。


この横隔膜に機能不全が生じると、強制呼吸に関わる筋群が安静呼吸時にも代用的に活動し、過度な収縮が起こってきます。


その過度な収縮の結果、柔軟性低下や筋緊張亢進が生じ、不良姿勢や不良動作を引き起こすことが考えられます。


呼吸リハの領域などであれば、もっと細かい部分まで押さえておく必要があると思いますが、運動器の領域であれば、この程度で十分かと思います。


続いて、呼吸に関わる関節構造について確認していきます。



— 呼吸に関わる関節構造

胸郭は、呼吸の機械的ふいごとして機能する閉鎖されたシステムであり、その内側はいくつかの組織構造によって外界から遮断されています。

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【胸郭運動に関与する関節】
●胸骨柄体軟骨結合
●胸肋関節
●肋軟骨間関節
●肋横突関節
●肋椎関節
【胸郭をとりまく組織】
●後外側

・胸椎
・肋骨
・肋間筋
・肋間膜
●前方
・肋軟骨
・胸骨
・肋間筋
・肋間膜
●上方
・上部肋骨
・鎖骨
・食道・気管周囲の頚部筋膜
・頚部筋群
●下方
・横隔膜
【胸郭の機能】
●心肺器官や大血管の保護
●頚椎に対する構造的基盤
●頭部・頚部・上肢の運動と安定のための筋付着部の提供



次に、安静呼吸・強制呼吸時にこの関節構造がどのように動いているのかを確認していきます。



— 呼吸の運動学

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【安静呼吸】
① 吸気初期に腹横筋・腹斜筋群の機能により下位肋骨部が下方に引かれ、固定されます。

② その固定により横隔膜の肋骨部が起始部となり、腱中心を停止部として下方に引くことで、胸腔の垂直径の増加と腹腔の垂直径の減少が生じ、腹腔内圧が上昇します。

③ 腹腔内圧が十分に上昇して、胸腔内圧と腹腔内圧が等しくなると、腱中心の下方への移動が終了し、腱中心が固定され起始部となり、下位肋骨部を停止部として胸腔の横径を増加させていきます。

④ 胸腔の垂直径・横径の増加により胸腔内容量が増加し、外界の空気が肺胞内に取り込まれ、吸気が完了します。

⑤ 呼気時は、筋の随意性収縮よりも、肺や胸郭などの組織の弾性力により胸腔内容量が減少し、肺胞内の空気が外界に排出され、呼気が完了します。


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吸気時は胸腔の垂直径・横径が増加するため、横隔膜は求心性収縮を呈します。


このとき、腹腔は横径が増加するため、遠心性収縮を求められます。


呼気時は胸腔の垂直径・横径が減少するため、横隔膜は遠心性収縮を呈します。


このとき、腹腔は横径が減少するため、求心性収縮を求められます。


吸気と呼気では、横隔膜と腹横筋・腹斜筋の収縮様式が逆転することがポイントです。


さらに横隔膜は迷走神経支配で不随意的に収縮し続けている状態です。


つまり横隔膜が機能不全を起こすということは、収縮不全というより、過剰収縮の状態にあると考えてられます。

この横隔膜の機能については、また次回のnoteで詳しく解説したいと思います!


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【強制吸息】
● 強制吸息では、吸息の主動筋を補助する補完筋(強制吸息筋)の収縮が必要となります。

● 強制吸息筋は、胸骨を後傾、肋骨を外旋・前方挙上・後方下制、胸椎を伸展させ、直接的・間接的に胸腔内容量を増やします。

● 吸息率と吸息量の双方の増大のために使用されます。

● 強制吸息筋として、上後鋸筋、下後鋸筋、大菱形筋、広背筋、長・短肋骨挙筋、腸肋筋、最長筋、胸棘筋、長・短回旋筋、多裂筋(胸椎部)、半棘筋、胸鎖乳突筋、頚長筋、小胸筋、大胸筋、前鋸筋が挙げられます。

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【強制呼息】
● 安静呼息は、正常では胸腔及び肺の弾力性と横隔膜の弛緩によって主に生じる他動的な過程である。

● 強制呼息の際は、胸腔内容量の急速な減少には強制呼息筋による随意的筋収縮が必要であり、胸骨を前傾、肋骨を内旋・前方下制・後方挙上、胸椎を屈曲させる筋の収縮が求められる。

● 強制呼息筋として、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、胸横筋、頚板状筋、頚棘筋、僧帽筋下部が挙げられます。


呼吸を動作として捉えていくために、上記のイメージを持っておくことが大切になります。



ここまでが無料で読める内容となります。
以下では「なぜ今、呼吸が重視されるのか?」について詳しく解説していきます。
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