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振り返れば奴はいない

転職失敗マスター様

拝啓。はじめまして。初めての投稿です。私はあまり人の輪に入るのは得意ではありません。そんな私も転職をしました。私にとって、初出社、初対面はかなりつらいです。転職では、そのハードルが高い。受け入れる側が少し気を使ってくれないかなぁ・・・そんな考えは甘いですか?

私の名前は、田中 和樹 25歳です。学生時代から、おとなしい性格で俗に言う「おたく」と呼ばれる人間です。PCを触るのが好きで、システムエンジニアとして仕事をしてきました。しかし、電話を含め「会話」が苦手で、その面でご指導を受ける事はしばしばありました。

前職の会社では、システムエンジニアと言っても、PCでの作業以外に、お客様へ保守契約のご提案等、コミュニケーションスキルを求められる事が多々ありました。その働き方が私にとっては苦痛で、この度転職しました。

今回の会社は、前職の会社より大きく分業制が進んでおり、私の部署はメンテナンス作業のみを行う部署で、面接時も確認させて頂いたが、客先で挨拶等の最低限のコミュニケーションは必要ですが、営業トーク等の複雑なコミュニケーションスキルは要らないとのことです。人と話すのが少し苦手な私にとって、それはまさに理想でした。

本社でのオリエンテーションも終わり、また大の苦手な飲み会も無難にこなし、大阪支店へ初出勤しました。

私のとって一番の苦痛の場面、初出社、配属になった大阪支店の入り口で、ドキドキしすぎてなかなかインターフォンを押せませんでしたが、勇気を振り絞って押しました。

不安いっぱいでしたが、事務の女性が応答して頂いて無事出社することが出来ました。もう、既に冷や汗全開でした。上司の方や同僚の方々にご挨拶させて頂き、私のデスクに案内されました。

少し広めのオフィスで、営業さんも事務さんも全員が同じフロアーにいました。私の所属するメンテナンス部門は事務所の一番奥の3列の島で、私のデスクは、一番壁側の壁側に向いた席の一番後ろでした。普通に見上げると、事務所内ではなく壁が見えるこの席は、人見知りな私にとって心地よかったです。

午前中、PCのセットアップ作業等があり、黙々と作業をしていました。お昼になって、上司の方が食事に誘って頂き、昼食をとりに行きました。近所に飲食店の無いこの事務所はお昼でも車で出かけます。車内は少し緊張しましたが、昼食を終え午後からも事務所で黙々と作業をしておりました。

翌日も、特に作業同行させていただくことも無く、黙々と作業を繰り返しました。お昼になり、振り返ると、メンテナンス部門のメンバーは誰も居なくなっていました。基本的にメンテナンス部門の方たちは外食が多く、客先に行くついでに車でどこか飲食店に寄るスタイルの様です。

仕方なく、近くのコンビニに行き一人で食事取りました。

そんなコンビニ飯の日常が繰り返されたある日、上司より
「みんな忙しくて気が回らないから、田中君から積極的に声を掛けて同行していってよ」
と指示されました。私にとって、そのことが何よりも苦手で、それはかなり勇気の必要な事でしたが、なけなしの勇気を振り絞り、朝一に早く出社されていた先輩に声を掛けました。

「本日、もしよろしければご同行させて頂けないでしょうか?」
「わかりました。今のところ予定が無いので、出動の際は声掛けますね。」

私は、高い山でも登った様な達成感を持って、安心してデスクに座りその時を待つことにしました。午前中はPCでマニュアル等を確認し、その時を待ちました。そして、お昼になって、振り返ると、無人のデスクが広がっていました。あれ?誰も居ない。お昼に行っちゃったかな?と思いつつ、今日もコンビニで食事。その後、誰も帰ってくることも無く、この日は結局事務所で過ごしました。

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