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就活落ちこぼれ学生だった私が「キミの就活は、最高の就活だよ」と言われるまで

「キミの就活は最高の就活だよ。」
内定をもらったときに、ゼミの恩師から言ってもらった言葉。大学4回生の私は、この言葉にどれだけ救われたか。本当に感謝しています。

もともと私は、教師を目指していた。
小さい頃は家の中で毎日両親が喧嘩しているのが日常で、母親がずっと父親の愚痴を言っている姿を見て、「なんでこんなに嫌いな人と一緒にいるんだろう?嫌なら別ればいいのに。」と子どもながらに思っていた。

小学校の高学年になったとき、母が父と離婚をしない理由は経済的に一人で子どもを育てられないからだと知ったその日から、「女でも自立して一人で生きていけるように」と選んだ職業が教師だった。

教師になるためには四年制大学に行かなければと思い、友達と遊ぶ時間を削って毎日毎日勉強し、やっとの思いで志望校に合格。教師になるために今から子どもたちに勉強を教える練習がしたいと思い、塾講師のアルバイトを始めたが、そのとき気づいた。

「勉強が嫌いな子どもの気持ちがわからない」と。

私が働いていた塾では、勉強が好きな子は少数派。勉強の面白さを伝えられない自分は教師に向いていないのではないかと思い始めたときくらいから、面白い社会人に出会う機会が多くなった。働くことを楽しんでいる大人達を見て、教師になる前に一度会社という組織で働きたいと思った。

ただ、教師になることしか考えてこなかった私は、就活の準備が何もできていなかった。

やりたいこと?就活の軸?SPI?業界分析?

そんなこと考えたことない。

嘘をつくのが苦手な私は、面接で「志望した理由は?」と聞かれても、スラスラと答えが出てこない。隣の学生は、本当は思っていないだろうけど、思っているように見せるのが上手で、就活で勝つのはこういうことができる人かとわかって愕然としたことを今でも覚えている。

就活サイトでトップに出てくる大手企業を受けてみたが全滅・・・。私は社会不適合者なのではないかと真剣に悩んだ。

そんな中で、毎週水曜日はゼミの授業があった。授業のチェックインとしてゼミ生同士で就活の近況報告会をする。

「今朝、〇〇から内定の連絡がありました!」
「最終面接を受けてます」
「5社から内定をもらっていて、どこにしようか悩んでます」

CMで一度は見たことがあるような大手企業ばかり。今だから言える話だが、「そんなに内定あるなら1つちょうだいよ」と僻みの気持ちに溢れた時期もあった。

その中で、今働いている会社と出会った。新卒採用の募集をしていない中小企業。とあるご縁で大学4回生の5月からインターンをすることになった。その頃になると他のゼミ生は、ほぼ内定をもらっていて、私はいわゆる就活落ちこぼれ学生だった。卒業までに内定が1社もなかったら、今のバイト先(某コーヒーチェーン)でフリーターとして雇ってもらおうと考えていた。

当時は、インターン先に内定をもらいたいとか就職したいという思いは全くなく、ご縁をいただいたインターンのチャンスを一生懸命働いて返したいという気持ちだった。

インターン生として働いているうちに、だんだんと会社に愛着が湧いてきた。好きになっていった。社長が目指しているビジョンにとても共感するし、それが実現できたらきっと社会は良くなると本気で思った。社長の元で社員として働いて、目指す未来を一緒に作っていきたいと思った。

大学4年生の9月、ダメもとで「私を新卒で採用していただけませんか?」と自分からお願いをした。断られる確率99%・・・と思っていたが、まさかの返事は「いいよ」。あれ?1%の願い叶った?世の中に絶対なんてことは存在しないと確信した。こうして、大学3回生の10月から始めた約1年の私の就職活動は、良い意味で予想外の形で終わりを迎えた。

もちろん嬉しい気持ちが大きかった。やっと見つけた社会での居場所、一生懸命働きたいという想い。ただ、不安がなかったといえば嘘になる。大学の同級生のほとんどが大企業や公務員になろうとしているのに、私は中小企業でしかも製造業の職場を選んで本当に良かったのだろうか?4年間慣れ親しんだ京都から離れる、同期もいない。新卒第一号・・・。私、本当に大丈夫か?と。

不安を抱えたまま、毎週水曜日のゼミを迎える。そこで就活の相談を聞いてくれていた先生に報告した。

「先生、インターン先から内定もらえました」と。

そしたら先生は、

「おめでとう。キミは、最高の就活の形を体現したね。キミの就活の形は、きっとこれからの就活のロールモデルになるよ。応援してる。」と。

涙が出るほど嬉しかった。
勇気を持って採用してほしいと言って良かった。
私の選択は間違ってなかったんだと、背中を押してくれた言葉だった。

先生が「最高の就活」と言ってくれた理由は、一般的な就活の形ではなく、インターンを通して自分の目で見て感覚で「ここで働きたい!」と選んだからだと思う。社会人生活は、もちろんしんどいこともあるが、自分が決めたから踏ん張れたことはとても多いし、この選択をしたことに後悔はない。

人生もそうだが、就活に正解はない。
自分が「こうだ!」と思ったものが正解になる。

大手企業、中小企業、ベンチャー企業など会社の規模感は関係なくて、どんな形であろうとも自分で選択して、自分で決めることが大事なんだと気づいた。百聞は一見にしかず。

現在、社会人6年目になる。
ありがたいことに新卒で入社した会社で今も働いているし、任される仕事の責任や裁量も大きくなってきた。また、学生さんから就活相談をされることも多くなってきた。就活の相談に乗れるのも、自分が就活でしんどい思いをした経験があるから。いろんな会社を見て悩んだから。そして先生に「あなたがこれからの就活のロールモデルだよ」と言ってもらえたから。

私はこの言葉を一生忘れないだろう。
そして、これからも自分で自分の道をつくっていきたい。

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