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「お前に言われたくねえよ問題」の解決策を見出したい

久しぶりに教育っぽいことを書くこーぞーです。そしたら5000文字を超えてしまいましたので,時間がある時にお読みください。

さて,タイトルの「お前に言われたくねえよ問題」というのは,私が勝手に名付けました(笑)しかし,いろんな方が体験したことがあると思います。

まずこれがどういう問題なのかを説明します。

お前に言われたくねえよ問題とは?

例えば,以前私は中学校に勤めていました。

平日,授業開始の時刻になって,チャイムが鳴って,
しかし廊下等にいて,着席できていない生徒がいたとします。

私がその生徒の所属する教室で授業があれば,私はその生徒に言います。

「席につきなさい」と。

反応は生徒によって色々で,
「はーい」と言って席に着く生徒,
急ぐ生徒,
急がない生徒,
「すいません急いで席に着きます!」と言ってどう見ても急いでいない生徒,
「やべ次体育じゃん!」とか言って体育館に向かおうかというボケをかます生徒…

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(私は主として社会科担当でした)

私が授業担当者であれば,結局のところ,その生徒は席に着いていました。

はい,ところが,です。もしその生徒が,
私が授業を担当していない,別の学年の生徒だったら。

こーぞー「席に着きなさい」

生徒A「先生誰?
生徒B「は?(半ギレ)」
生徒C「何でお前に言われないといけないの?

(この時のこーぞーの心境がこちらです↓)

何言ってんだこいつら

既に予想できると思いますが,そこでその生徒の学年主任とかが登場するとどうなるか。

学年主任「席に着きなさい」

生徒A「はーい」(即答)
生徒B「はぁーい↑」(圧倒的に声色が違う)
生徒C「おいお前らチャイム着席ちゃんとしろよー」(席に向かう)

生徒Cはお調子者ですね。とまあこんな風になることがあるわけです。
同じ内容を指導しているはずなのに…

つまり,学校だと,馴染みのない先生,信頼関係が築けていない先生の指導が通らないという場合があるんです。
中2の生徒と3学年部の担任 とか,
新任の先生と中3の生徒 とか。
上記の場合は学年主任という点もありますけど。

誰かが言っていました。
「子どもたちにとって,言う内容っていうのは重要じゃない。それを誰が言うかが重要なんです。」誰かは忘れました。

これを,私は「お前に言われたくねえよ問題」と名付けました(笑)

これは多分,
・発言者が信頼を得ている
・発言者に権威がある
・言う内容に説得力がある
このいずれにも該当しない場合に発生する問題であると考えられます。
ここで,以上3つを「発言者の3条件」と勝手に名付けておきます(笑)

これ,学校だけでなくいろんなところでありますよね?

職場とかで,あのベテラン社員は課長の言うこと以外は聞かない,とか。
部長を説得できるのは次長だけだ,とか。
あるいは,家庭であの子は母親の言うことだけは聞く,とか。

さらには,皆さんも一度は心の中で叫んだことがある
「お前に言われたくねえよ!」
と言うあれです。遅刻する人に「時間守れよ」とか言われるみたいな。「お前もやってないじゃん!」って思うやつですね。

けど,私はこれって,そう思った人にとって(双方にとって?)損な場合が多いと思うのです。

「お前に言われたくねえよ問題」がもたらす損な事例

ソフトテニス部の顧問をしていた頃にあった事例です。

こーぞーは着任したばかりの中学校で,中学生にソフトテニスの技術指導をしていました。

こーぞー「こういう風にしてみようよ」

しかし,素直じゃない生徒がいるんですね。

生徒「えーけどそれじゃあ(ごにょごにょ)」
と言って,その生徒は頑ななのです。おかしな打ち方をそのまま続けました…

さて,その出来事の数か月後に合同の練習会がありました。
他の中学校の生徒と,町のテニスコートで,市のソフトテニス協会の方などにご指導いただくわけです。

しかし,そこで協会の方が指導する内容というのは,私が指導する内容とかなりの部分が一緒だったわけです(笑)同じ練習メニューとかもあったような気がします。

私はその地域ってあまり馴染みのない地域だったので,指導者の方がどんなこと言うのかなー自分の地元と違うプレイスタイルだったりやり方が見れるのかなーとかワクワクしていたんですけど,そういうのは殆どなかったです。
むしろ,「ああ,これまで指導してきたことって言うのは間違ってないんだな」という確認ができたくらいの練習会でした。

そして!その練習会中!
頑なだったあの生徒が私にぼやくのです。

「なんか…(指導者の方が)先生と同じこと言ってる…」

そのあたりから,なんとなく指導がしやすくなってきましたね。

(社会心理学でハロー効果という用語がありますけどそれと関係が深そう)

何故こーぞーはこの問題の解決策を見出したいのか

まあ上記の件は結果的にはめでたしではあるんですけど…
けどその生徒って,練習会で触れた情報には,数か月前に身近な顧問から同じ情報を得ているわけです。その数か月がもったいなくてもったいなくて…
そう,時間がもったいないのです。

学校において,信頼関係を基に指導をする,生徒との信頼関係を築くというのは当たり前のことではあります。先程の発言者の3条件において,必要であると共に,恐らく最強の条件は「発言者が信頼を得ている」です。しかし,信頼を得るにはそれなりに時間を必要とします。
そして,「言う内容に説得力がある」と言うのは最弱かと。
私は代替の講師として中学校に勤めていましたので,1つの学校には短い期間しかいませんでした。初めての講師は3か月という期間の予定でした。それですらどんなことができるんだろう,と思っていたところ,予定が変わってわずか1か月でその学校を去らなくてはならなくなりました。

こういう風な,学校の臨時の講師とか,あるいは教育実習とか,数週間数か月という期間だと,あまり多くの生徒と信頼関係を築けないまま終わってしまうということが起こり得ます。私も講師1校目2校目なんかはそうでした。
今思い返せば,教育実習というものの半分は,生徒と信頼関係を築くための練習なのかもしれません。

さてこの問題,さっきの中学生の部活指導の場面で起きるならまだマシな方なのかもしれません。学校以外にもいろいろなところで起こりうるでしょう。

会社で社運を賭けたプロジェクトに関わるところでとか,
医療業界で患者の命がかかった場面でとか,

例えば目下の人が「私は〇〇するべきだと思うのですが」と言っても

権威のある人は
「言ってることは正しいかもしれないけど…
お前が言うんじゃあ違うだろうな」

とかって…言いますか?

私は,上司と部下とか先生と生徒とか,そういう関係において言っている内容が正しいにもかかわらず,受け入れられなかったり反発されたりするのは,不利益が生じると思うんです。言われてるのに従わない方が後で困るというパターンが多いかと。だって,内容は正しくて,その正しいことをやらないわけですから。
これ多分学生時代の13年前くらいからずっと思ってるんですけど(笑)

だから,発言者の3条件以外にも,何か別の条件がないものか。それさえわかれば,教育実習や学校の講師なんてもっとやりやすくなるはずです。

ある本より高校野球の監督の紹介

話は変わりますが,ここで本を紹介します。

松井浩(2018)『強豪校の監督術―高校野球・名将の若手育成法―』,講談社

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非常に面白く,勉強になりました。
その第1章で紹介されている大阪桐蔭高校西谷 浩一(にしたに こういち)監督をちょっと長いんですが紹介します。
ものすごい人生を歩んでおられます。

兵庫県に生まれ,小2から野球を始め,小中はキャプテンを務めた。高校は兵庫の報徳学園に進学した。

高1の秋,不祥事で対外試合禁止処分を食らう。
2年生の秋は兵庫3位で近畿大会に出場した。
高3の地区予選を勝ち抜いた直後,下級生の暴力事件が発覚し,兵庫予選にすら出場できなかった。
なお,西谷氏は報徳学園でレギュラーになれたことがなかった。

最後の大会にすらチームが出れないって…私ならこの辺で多分腐ってると思います…しかしまだまだ過酷。

高3の冬,関西大学に不合格し,一浪する。
一浪の末,関西大学に入学。4年生でキャプテンを務めたが,卒業するまでレギュラーにはなれなかった。

大学を卒業した1993年,大阪桐蔭に就職し,野球部のコーチとなる。当時はPL学園や上宮が強く,なかなか甲子園には出場できなかった。
1998年,監督が休養し,代わって臨時監督となる。監督として初めて挑んだ夏の大阪予選は初戦敗退。臨時監督の3年間は大阪大会を勝ち抜けなかった。
しかし,監督が復帰すると2002年にチームはあっさり甲子園へ出場した(ロッテや阪神などの西岡剛が3年生の頃)。

2003年は正式に大阪桐蔭の監督となる。その秋,大阪3位から近畿大会に出場して優勝。
やっと選抜に出場できるかと思ったら,そこで過去の部内暴力が明るみに出た。西谷氏は責任を取って監督を辞任。大阪桐蔭は翌年の選抜に出場したが,西谷氏の名前は記録に残らなかった。

選抜大会が終わると西谷氏は監督に復帰。2004年の夏の大阪予選に出場した。
決勝戦に進んで,PL学園との試合は延長15回の4対4で引き分け。翌日の再試合に7体13で敗れた。PL学園は1年生の前田健太(広島やロサンゼルス・ドジャースなど)の完投勝利。

本人曰く,「普通はクビですよね。つくづく甲子園とは縁がない,僕にはムリなんだなあと思いました。どん底ですよ。周りの人たちからも『西谷は持ってない』と絶対に思われてるなと考えるとつらかったです」

書いてる途中ですが,ここで泣いてもいいですか…
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読んでて切なくなりました。

2005年は甲子園に出場してベスト4になるなど,これ以降はむしろ破竹の勢いで勝ちを納めていくんですけどね。甲子園春夏連覇を2回ですよ。

さて,この監督の監督術をご紹介します。9つあります。

①洗濯は自分でさせる
②生活指導の徹底
③生徒一人一人とコミュニケーションをしっかりとる
④野球ノート
⑤満足させない
⑥実戦形式から個人練習へ
⑦徹底した個別指導
⑧毎日,日本一の意識
⑨スカウト

全て引用したいくらいですが(笑),②だけ引用します。

②生活指導の徹底
一年生が寮に入ってくると,あいさつをする,礼儀をわきまえる,時間を守る,人と協力して動くなど,集団生活の基本を繰り返して指導する。
「進学校で野球の強いチームを見ていても,人間的にしっかりしているチームが負けにくいのは確かだと思います。たとえば,スリッパは揃えなさいと言い聞かせても,しばらくすると忘れてしまう者もいます。日々のささいなことでも長く継続できない人間は,野球でもやりきれません。コツコツと努力を続ける,やると決めたらしっかりとやりきる。そういう心を作っていくためにも,日常の習慣をとても大事にしています。人間力が上がってこないと,野球も続けてよい結果は出ないですね」

この内容は,私の感覚では当たり前というか,大切だが常識的なことを言っていると思います。スポーツを指導する人なら,だいたいはこんな考えで指導に当たっているはずです。
しかしこれが甲子園常連校の監督術なわけです。

「この人がこういうのだから間違いない!」

ようやく最初の話に戻ります(笑)

お前に言われたくねえよ問題を解決したいのです。「発言者の3条件」以外に,何かこの問題に立ち向かう術はないのかと考えていたんです。

しかし,先程の西谷氏の話を見て,私はこう思ったのです。
「この人がこういうのだから間違いない!」

こんなにどん底を経験して,しかしそこから甲子園で優勝する,甲子園常連校の監督を務める人が,聞いたことがあるような話をしている。
話の内容に目新しさはないが,しかし,この人がこう言うのだから絶対にそうであって,もはやこれはこの世の真理であるくらいに私は思いました。
基本的な生活習慣は大事なんですよ。やっぱりそうだった。

今私は,皆さんと共にこの世の真理に辿り着いたのです(笑)

啓示を受けた人のイラスト(男性)

怪しい新興宗教みたいになってきましたね(笑)

これが発言者の4つ目の条件です。

これは実績と言う名の説得力なんですかね?言っている内容は関係なさそうですが。この感覚は信頼にも近そうですが,私は西谷氏には一度もお会いしておりませんし。
とにかく,これが発言者の4つ目の条件です。

お前に言われたくねえよ問題を回避するための,発言者の4つ目の条件
④発言者に実績がある

しかし,実績を持つ教育実習生や新任の先生はそれほど多くないんじゃないでしょうか。

…やっぱり問題が解決してないじゃないか。

このnoteの結論

新しい職場や慣れない環境に入る人は大変である。

5000文字書いてこの結論(笑)
紹介させてもらった本は面白いので読んでみてください。こっちの情報が有益かも?

おわり。

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