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三回こころを温める。

「豚さんが可愛いって皆に言われた」
「唐揚げもめっちゃ美味しかった」
奇麗に食べ尽くした弁当箱を手に五歳息子。
妻は「わーん」と遠足帰りの彼を抱きしめた。

夕刻、ピクリともせず爆睡の妻。
三時半起きの疲労が出たか。
その様子に息子が私に耳打ち。
「前に二人で作ったの、したい」
すぐにピンときた。
妻が副反応で倒れた時、父子で冷凍うどんをレンチンした。
それを喜んでくれた記憶がある。
――やさしいじゃん。

冷凍庫を漁ると二人前ある。
足りないので、ちくわの磯部揚げ、つくね串、たこ焼き……
見つけた冷凍食品を片っ端からチンして並べた。
「ママ! 夜ご飯作ったよ!」
息子が起こしに行く。
妻は食卓を見て再び「わーん」と息子を抱きしめた。

晩餐。
レンジの品々をつまみながら、
「これでもう一品足してあげれば良かった」
妻が、おかずが唐揚げしかなかったお弁当を反省。
息子は即座に「ママの手作りが好きなんだよ」とフォロー。

三度目のわーん。


「ごはんできたよ」ママ起こす秋の暮

(ごはんできたよままおこすあきのくれ)

季語(三秋): 秋の暮、秋の夕、秋の夕べ


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