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映画に恋した頃の気持ち

子供が産まれて以来のシネコン。
青春時代の情熱を思い出す場所。
同時に、現実逃避に入り浸った愛憎入り混じる空間。

五歳息子にとっては初の映画館。
作品『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』

事前情報なく観るのが新鮮。
子供向けであろうと映画は研究材料だった。
観ながらプロットのタイムラップをメモする。
登場人物の相関から展開を探り伏線を考える。

純粋に物語に没頭できる楽しさよ。
言わずもがな「しんちゃん」は大人も楽しめる作品が多い。
終盤、自然に笑いと涙が出ている自分に驚いた。
終映の灯りがついた瞬間は、妙に照れ臭かったな。

妻も同じだったようで。
目頭を押さえながら何度も「良かったなあ」と。
「前はあの声を自分がやりたかったとか思ったりしたけど、今はもう悔しさもないし」
――お互い枯れたね。

トイレでは息子と感想を。
「お話も面白かったけど、映画館が楽しくて好き」
……うわあ、私に似て危険な思考。
言いつつお尻丸出しで手を洗うギャグも。
完全に影響されたね?


映画館を出る深めの夏帽子

(えいがかんをでるふかめのなつぼうし)

季語(三夏): 夏帽子、夏帽、麦藁帽子、パナマ帽、カンカン帽


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