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休園開け、イタリア人になる。
五歳息子、約一週間ぶりの保育園。
朝、ぐずるかと思ったけど乗り気。
「ワクワクしちゃう」だって。
一人病気で休むのと全員が休園との違いだろうか。
「いってきます!」の声も明るい。
挨拶の言葉が出ることすらめったにない。
私は嬉しくなって玄関で見送った後、ベランダに移動して「いってらっしゃーい!」と声を掛けた。
すると振り返ってまた大きく「いってきまーす!」
――最高。
前日に語った”世界のお国柄”を思い出す。
やれアメリカ人は冒険心があるとか。
ドイツ人は生真面目だとかの、偏見なやつ。
息子が何度も聞いてきたのが「イタリア人は?」
そのたびに「やあ元気?」「ぼくたちトモダーチ」
とジローラモ風にやったので、お気に入りになった。
もしや影響を受けたのかしらん。
夕方、園から帰った妻の報告。
「今日一日ずっと明るくて、違うクラスのあまりしゃべったことのない先生にも『久しぶり!』って声かけてたんだって」
彼の中にイタリア人が芽生えた瞬間。
「久しぶり」と声掛ける朝亀鳴きぬ
(ひさしぶりとこえかけるあさかめなきぬ)
季語(三春): 亀鳴く
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