ラッピングを破く男
ビリビリと露悪的に包装紙を破く。
五歳息子もパパのその乱暴な剥き方を見て倣う。
妻からのバレンタイン。
私には毎年恒例、ベルンのミルフィーユ。
チョコの苦手な息子にはバウムクーヘン。
毎回、破きながらも後ろめたさを感じる。
普段の自分は綺麗に取って折りたたむ派。
初めて知ったのは洋画だったか。
アメリカのナイスガイたちは、ガールフレンドからのプレゼントを決まってビリビリに破く。
当時の私はそれがイカシテルと思った。
調べたら理由もあるらしい。
「君からのプレゼントを早く見たい」の礼儀。
むしろ丁寧だと「興味ない」の意思表示なんだとか。へえ。
「せっかくラッピングしたんだから綺麗に剥いてよ」
当時の彼女とそれで気まずくなったこともある。
分かるよ分かる。後ろめたさを抱えながら、でも習慣となった。
もちろん個別の包みは別。
丁寧に剥いて、持つところをちゃんと残しながら食べる。
乱暴に投げ捨てママに叱られている息子に、申し訳なく思う。
包装を荒らかに解くバレンタイン
(ほうそうをあららかにとくばれんたいん)
季語(初春): バレンタインデー、バレンタイン
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