敏感すぎる観戦
「赤のひと、頑張ってーっ」
オリンピック女子ソフトボール決勝、日本対アメリカ。
家族一同、初回から応援した。
四歳息子にとって長時間のスポーツ観戦はこれが初めて。
最終回。アメリカの攻撃。
フライがキャッチャーミットに収まった瞬間、日本の金メダルが決まった。
やったーっと喜ぶ私と妻の間で、急に息子の表情が固い。
日本の歓喜を映し出すテレビに、
「青のひとたちは?」と呟き押し黙る。
やがて――
画面がアメリカ選手の円陣を映し出す。
悔しそうな表情。涙を流す選手もいた。
息子は声を震わせ、
「頑張ったからいいんだよね」
我ら夫婦は「どっちもすごいね。ありがとう」と拍手を送った。
息子は涙をぽろぽろと流して、
「こういう……戦うのは、心が痛くなるよ」
勝ち負けのあるスポーツ競技。
でもね、それだけで終わらない魅力もあるよ。
抱き合う監督同士の姿を見たかい。
ゆっくり、息子と楽しめるようになっていきたい。
ナイターの灯りよ敗者たちの背よ
(ないたーのあかりよはいしゃたちのせよ)
【季語(夏): ナイター、ナイトゲーム】
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