見出し画像

『「ん」の慣わし』

銀河の彼方の星にいる生命体。
彼らは日々地球を観察し続けている。
今、女博士が日報を上げていた。
「調査通り。日照時間が一番短い日になったわ」

とある家庭をモニタリングしていた助手が質問する。
「あの、風呂に浮かべてる物は?」
「柚子湯。その島国の風習よ」
「男の子と父親が股間にぶつけあっています」
「そ、それは……じゃれっこね」
博士は顔を赤らめた。

助手が質問を重ねる。
「母親が食卓に用意してる物は?」
「おそらく南瓜なんきん。『ん』が重なる食材を食べるのよ」
「いえ、かぼちゃではありません」
まさかの否定に博士は「蓮根」「人参」と指摘したが違うと言われモニターを覗いた。
「何これ? こんなの初めて」

助手が音声を傍受する。
「会話ではワンマンドゥと言ってます。『ん』が重なってますね」
「ワンマンドゥ?」
狼狽する博士に助手は続けた。
「しかもこのご家庭、一ヶ月毎日これを食してるようです」
博士は「まだ知らない風習が多いわ」と頭を抱えた。


「ん」のつく食べ物競ひ合ふ柚子湯

(ん、のつくたべものきそいあうゆずゆ)

季語(仲冬): 柚子湯、冬至湯、柚子風呂、冬至風呂



※日記を小説 風に表現しています__🖋
ちなみに、そうなってる経緯はこちら。(まだ全然減らないのっ)


この記事が参加している募集

習慣にしていること

今日のおうちごはん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?