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農薬使用の是非を考えたら農家と消費者とのソーシャルディスタンスが浮き彫りになった話。

Twitterで少し話題なっていたようです。

「農薬について」

私も農家の見習いをやっている以上切っても切り離せないトピックスですね。

つまりどういう議論かというと、農薬を使用することの是非ですわな。

僕の見解を結論からいうとするならばこれは

立場によって農薬という存在は姿を変えるので各々がそれぞれの(農家側と消費者側)の立場になって考えてみることが必要です。

どういうことか。立場を農家側と消費者側に分けて考えてみます。

農家側

農薬は農家にとっては農業資材としてとても重宝することものです。農薬がないことを考えると本当に休みなく寝る間もなく働かないと収量、品質を保つことができないのです。

一方、消費者にとっては農薬というものは農家ではないのでマイナスな面しか見えてこない。それを農家側が「健康的には問題ないんだし安心して欲しいんだよなぁ」といっても当事者ではない消費者にとってはそんなこと言われてもなかなか印象を払拭することは正直難しいと思うのです。

ではなぜ収量や品質を向上させていかないといけないか。

その答えは現在の農家を取り巻く出荷体系、販売体系にあると思います。

多くの農家は農協(農業協同組合)に所属し、農協に農作物を卸すことでお金をもらいます。

その出荷をする際に関門となるのが等級です。

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形が揃っているか。未熟な農作物は含まれていないか。厳しい基準を設けてそれに通ったものが初めてお金と引き換えになるのです。

形が揃っているか、均一の品質で収穫できたか。

極端に言えばこれだけ守っていれば、生活できる=お金がもらえるのです。

そうなると農家はどうするか。農協が販売する農薬、化学肥料を規定の範囲内でバンバン使います。

少しでも収量をあげたいので密植にします。風通り悪くなります。多湿の日本ですから密植は病気のもとです。そして病気を予防するために農薬を撒きます。

でも安定して食料を届けるためには必要なことなのです。

消費者側

消費者に直接販売しているような農家、ネット販売のプラットフォームを利用している農家は消費者を身近に感じるのでニーズを反映しやすい部分があり、消費者として考えたときにやはり農薬というものはなるべく使ってないものが望ましいと思うの人は少なくないはずです。

そうなると農家としてもなるべく農薬を使用しない、化学肥料もなるべく使わないようにすると思います。なんなら無農薬無肥料で栽培する。なんていう農家もいます。

販売体系として消費者に近ければ近いほど一農家の栽培する農作物の多様化や農薬使用量の減少は明らかですよね。

6/28のガッチリマンデーは儲かる次世代農業ということで特集が組まれていました。

二例目の吉原ファームさんが利用しているのは食べチョクというサイト。これはいわばネットで消費者と直接取引ができる農業版のメルカリですね。

農協出荷だと農家と消費者の間に卸売や小売などが挟まって消費者との距離が感じられなくなる。そうなると農家は誰かのためにという意識よりは自分たちが生活していくため。お金のために農業しているという状況に陥りやすいのです。

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しかし、消費者との距離が近づくとあの人のために安心して食べてもらえる農作物を作ろうということになりその気持ちがこもった農作物というのはきっとリピートに繋がっていくはずです。結果としてそこが収益として繋がっていけば良いのです。

お互いに歩み寄ってみる

私としては徐々にでも消費者との距離を縮めながらコミュニケーションの中で生産体系の見直しをしていくべきなんじゃないかなと思います。

もちろん消費者も現在の食卓に並ぶ食材が簡単に並んで思ったら大間違いであるということを考えていただきたいと思います。

安定した食糧供給の裏には農薬や化学肥料は大きな役割をかっていることを知っていただけたら少しは農薬への理解も深まるのではないかと思うわけです。もちろん健康や環境への関与は安全基準の高さに裏付けされているわけですし。?

このようにしてお互いに寄り添ってみることで見えてくるところって多いんじゃないかなって思います。

最後に

でも僕は、最終的には農薬や化学肥料のいらない状況になってくれるといいなと思っています。サスティナブルの観点からも農業はいい意味で復古していくべきなんじゃないかなって気がするんです。

集約的な農業。機械化される農業。止まらない高齢化。

生産だけが全てじゃない。

人間として、農家として与えられる価値ってなんだろうか。そういったことを見極めながらこれからの農業、アグリカルチャーのカルチャーを仲間(農家に限らず)と共に紡いでいけたらと私は考えています。

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