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ポップコーンは買わない派です。vol.93

BUFFALO '66


あらすじはこちらから(映画.com)


「誰かのためじゃない!自分のために生きなさい!」

シンジくんに向けてのミサトさんの声が聞こえてきそうですが、

そうです、本作の主人公はまさにうじうじしてるエヴァのシンジくんのようなおじさんのお話。

両親からの愛を渇望するあまりにいろいろ拗れてしまい、うじうじしたり感情で突き進んだりとまさにシンジくんにそっくりな主人公ビリー。

シンジくんも父ゲンドウとの確執や亡くなった母親ユイからの愛情を受けられずに思春期を迎えたシンジくんが都合の良いようにゲンドウにエヴァに乗せられたらなんなりで、まわりに振り回されて自分が分からなくなってしまい、うじうじし、さまざまなこじれを生むことになるのだ。

ビリーも両親からの愛情をまとも受けられずに育ってきた様子が回想等からなんとなく伺える。

そこに現れるレイラという女性の存在。

ビリーは嘘の辻褄を合わせるためにレイラを拉致する展開に進んでいく。

エヴァでも綾波レイやアスカなどキーとなる女性の姿が印象的で、彼女らも愛への渇望を胸に生きている様子が描かれている。

レイラも同じで、彼女は冒頭ダンス教室でひとりだけ違う服装でダンスのレッスンに取り組んでいた。それもどこか上の空で完全に浮いている。

彼女の過去については本作で知らされる要素がないので推測でしかないが、レイラ自身も愛への渇望、もしくは自分が自分でない状態にある今を抜け出したいと思っていたのかも。

そこでビリーに拉致られたり、乱暴されるのはいやだけど、まんざらでもないんじゃないかって映像をみてて感じた。

勝手なこじつけだけどエヴァンゲリオン、ひいては庵野秀明との共通点がありそうだと思ったのだった。


ヴィンセント・ギャロについて

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ヴィンセント・ギャロは本作の監督であり主演であり、音楽担当であり、脚本も書いている。

本作は彼自身の自伝的な作品のひとつでそれを彼自身が演じることは、作品により説得力をもたせるし、魂がやどるはずである。

ヴィンセント・ギャロは俳優であり、ミュージシャンであり、映画監督、画家、モデル、といった具合にものすごく多彩な人物で、彼のことをひとことで説明するというのは到底無理な話である。

むしろ肩書きとして列挙すること自体も野暮なことで、いろいろやるのは彼が生きることそのものの表現なのだから肩書きにに対してとやかくいうのは無駄なことなのだ。

私はその生き様がとても魅力的と感じた。


最後に

本作のような自伝的作品を見るたびにマーティンスコセッシの言葉を思い出す。

「最も個人的なことは、最もクリエイティブなことだ」

これはパラサイトのポンジュノ監督がアカデミーのスピーチで述べた言葉の中で紹介された言葉だ。

ほんとにその通りだなと思うし、自分の創作にも反映させることのできる普遍的な素晴らしい言葉だなと思い、心に留めている。

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