ばあちゃんとえご漁に行ったら時代を遡ったかのような漁村の営みを目の当たりにした話。
ばあちゃんと一緒にえごを採りにいきました。
えごというのは海藻の一種で、新潟ではこれを煮て練って冷やすとまるで蒟蒻のように固まるんです。ここには一切添加物は入っておらず、新潟の郷土料理として古くから親しまれているものです。
昼食を食べている時にばあちゃんが友人の家に遊びに行ったらえごをもらったんだと話していたので、僕はピンときました。
昨夜の暴風雨のこと。。
えごを採りにいくタイミングとして前の日の海が荒れることが条件であるとしています。沖合のえごが海が荒れることで切れて海岸沿いまで流れてくるからです。
これを以前教えてもらったのを覚えていたので、もしかしたら採れるのではないかと提案したところ、早朝じゃないからないかもだけど、みにいくだけいくかということで出かけることが決まりました。
僕は過去にばあちゃんに連れられてえご採りに行った記憶があります。朝4時に起きてすぐに海岸へ向かいまいした。海岸についたあたりから記憶は飛んでいるので、おそらく車の中で寝てしまっていたのだと思います。
そんなことで、この度十数年ぶりにばあちゃんとえご採りに出かけました。ばあちゃん自体も久しく採りにいけてなかったらしく、久々に行けるということでかなり張り切ってました。
しっかりとえごを採りにいく準備をしていたのです。見に行くだけのはずだったのでは?と思いましたが、そこは血が騒いだのでしょう。最初から採る気だったに違いありません。笑
と、言っても出かけたのは午後2時本来ならば早朝に出かけて行くのがセオリー。
しかし、いざ出雲崎の海岸についてみるとあるスポットに大量の軽トラと明らかに腰を屈めているのか曲がっているのかわからない人影。
間違いない。あのじいさんばあさんの群れはえごを採ってるに違いない!
車と車の狭い隙間に軽トラを止め、降車しました。砂浜に降りていくまでにいくつかえご採り仲間にすれ違いました。同じえごを採りにきた仲間意識のおかげか、ものすごくスムーズにおばちゃんに話しかけることができた。
「とれますか!?」と聞くと
「全然ないよ!もう早朝組が採っちゃったんだね。」
もう一人のおじさんとすれ違いました。
「とれますか!?」
「おおう!いっぱい採れるよ!」
ンンンン!!!?
どういうこと??
人によって言ってること全然違うんだけど。。
まあいいやとりあえず様子見てあれば採るという感じにしようかという風に意見が定まり、いよいよ砂浜に到着した。
そこには大量の木屑のようなゴミとともに大量の海藻が打ち上げられていた。ばあちゃん曰くこのゴミが重要らしい。このゴミに絡まってえごが浜に打ちあがってくるんだそうだ。
「ゴミのあるところにえごがあり、さらにそこに人がいれば確信へと変わる。」
名言をいただいた。
でも一見するとどれがえごなのか全くわからない。
ばあちゃんに判断を仰いだところ、どうやら先端が丸くなっている海藻がそれだというのだ。
赤く丸をつけた部分は先端が丸くなっている部分。これがえごの証。
見本を見せてもらいながら、これでもないあれでもないと探していき、ついにそれらしき物を見つけ、ばあちゃんやなぜか他のばあちゃんにも積極的に話しかけてしまい、判断を仰いだ。どうやら正解らしい。
もう覚えた。ここからが早かった。どんどんをえごを見つけていく。しかし、どうしてもほんのわずかなカスみたいな物ばかり、本当は手のひらにおさまるくらいの大きなものが採れるそうなのだが、見つからない。やはり早朝組がかなり採っていったのだろう。でも少しずつでも採集していき、たまに大きめのサイズを見つけるとめちゃくちゃ嬉しくて小さいのを採っても嬉しくなくなっているのを実感した。
最終的に2時間でビニール袋一杯分くらいになった。
やはりうちのばあちゃんはすごい。僕が小さいので喜んでる間にバシバシ大きいえごを採っていたのだ。すごい。さすがベテラン。。
そんな中でのえご採りの風景。とても心にぐさっと刺さりました。
漁村ならではしかもこのえご採りは新潟で盛んに行われている漁らしく、こういった営みを見る事ができたこと、体験できた事、記録に残せた事を大変嬉しく思います。
農業や漁業、林業の営みにはそこにいる人間も含めて自然な風景として感じられます。その風景は財産であり、物凄い価値を含んでいると私は思っているので、なんとしても守りたい。だから記録に残すんです。
えごぐさというのは普通にスーパーや市場で買うとなると手のひらサイズくらいでも1000円は超えるそうで。。。物凄い高級食材なんですよ。。(小声)
昼間でこれだけ取れればいろんな意味で十分だわと思っていたのだけれど、ばあちゃんから言わせてみればこんなのはまだまだ。
もっと採れるんだよ。
と、早朝にいけばさらにいいのが採れるのではないかと期待が広がり、再び出雲崎海岸に降り立つ事を誓って帰路につくのでした。
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