無名の小説家

不可視の教会を心に持つ者は、そこに復活したイエス・キリストの霊の宿る者である。キリスト…

無名の小説家

不可視の教会を心に持つ者は、そこに復活したイエス・キリストの霊の宿る者である。キリストを復活させた父なる神の霊によって生きる者は、完全に自由である。が、不可視の教会を心に持たない者は、可視の教会に心身を支配される。支配しているのは人に恐れを抱かせて、奴隷とする天上の悪の霊である。

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約束の地

―― いつも喜んでいなさい。 絶えず祈りなさい。 どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。 ―― 黒暗暗たる苦悩の中で、なんどもくりかえした。 かの若き日に、聖書なんか、手に取らなければよかった、 偽善と欺瞞の教会の門なんぞ、くぐらなければよかった、 腐敗と堕落のユダヤ教キリスト教だのいう世界のいっさいに、関わるべきじゃなかった、 かてて加えて、 「イエス・キリスト」をなど、けっして知ろうとしなけれ

    • 不可視の教会

      ―― かの日には、わたしが父の内におり、あなたがたがわたしの内におり、わたしもあなたがたの内にいることが、あなたがたに分かる。わたしの掟を受け入れ、それを守る人は、わたしを愛する者である。わたしを愛する人は、わたしの父に愛される。わたしもその人を愛して、その人にわたし自身を現す。 ―― こんな日が自分の人生の上に訪れるとは思ってもいなかった。目に映るところはすべて神に対する疑いと怒りと憎しみしか生まず、死と絶望と孤独とばかりが満身にもたれかかっているばかりだというのに、それ

      • かみおもふ、ゆえにわれあり

        ―― 神想う、ゆえに我あり ―― 彼の「ゲッセマネの祈り」を聞き及んでより、ことあるごとに、それについて考えさせられて来たものである。が、今この時ほど強く、思いを馳せたこともなかったかもしれない。それと同じぐらい、同じ彼による「十字架上の死」についても。 先に結論から述べてしまうが、これらはいずれも、すべて、現在進行形の話であるということだ。 すなわち、なにひとつとして、「すでに終わった話」などではありえない。 すくなくとも、これからわたしの語らんとする「ゲッセマネの

        • 命をかけた祈り ③

          ―― さあ、立て。ここから出かけよう。 ―― 事の詳細はだれに問われても語らず、なにを引き換えにしてもけっして口外することもなければ、たとえこの世の富と繁栄のすべてを与えてやろうと迫られても、ぜったいに譲歩することはしない、 ただし、私はかつて、大きな罪を犯した。 ここで「罪」というのは、ただ単に、選択の間違いとか、決断の失敗のことを示唆しているばかりであり、まかり間違っても、いわゆるこの時代のこの人間社会における民事、刑事のいずれかの法によって裁かれるべき性質を帯びた

        • 固定された記事

          わたし、わたし自身のために...

          ―― わたし、このわたしは、わたし自身のために あなたの背きの罪をぬぐい あなたの罪を思い出さないことにする。 わたしに思い出させるならば 共に裁きに臨まなければならない。 申し立てて、自分の正しさを立証してみよ。 ―― 今は昔の話として語りうる事柄となったから語るものであるが、かつて、私の愛した人はある者によって奪われた。 その者は、私の愛する人に対しても、私に対しても、大きな罪を犯した。 それはもはや取り返しのつかない間違いであり、生涯をかけても償いきれないような罪

          わたし、わたし自身のために...

          産めよ、増えよ、地に満ちよ

          ―― 神はノアと彼の息子たちを祝福して言われた。 「産めよ、増えよ、地に満ちよ。…」 ―― 「もしもモーセやイザヤよりもお前に愛されている、この俺の言っていることが間違っているのならば、さっさと殺せ。 地震や津波で命を失うべき同胞の代わりに、この俺を殺せ。同胞はお前について、こんなふうに口汚く罵ったりしない。だがこの俺は、なんのためらいもなくお前を罵る――だから、お前の名前が憐れみでないならば、俺を殺せ。今すぐにでも、同胞の代わりに、俺を殺せ。」 元旦に能登半島で大地震の

          産めよ、増えよ、地に満ちよ

          イエス・キリストの福音 ②

          ―― そして、天使はわたしにこう言った。「これらの言葉は、信頼でき、また真実である。預言者たちの霊感の神、主が、その天使を送って、すぐにも起こるはずのことを、御自分の僕たちに示されたのである。見よ、わたしはすぐに来る。この書物の預言の言葉を守る者は、幸いである。」 …また、わたしにこう言った。「この書物の預言の言葉を、秘密にしておいてはいけない。時が迫っているからである。不正を行う者には、なお不正を行わせ、汚れた者は、なお汚れるままにしておけ。正しい者には、なお正しいことを行

          イエス・キリストの福音 ②

          イエス・キリストの福音 ①

          ―― わたしは、その方を見ると、その足もとに倒れて、死んだようになった。すると、その方は右手をわたしの上に置いて言われた。 「恐れるな。わたしは最初の者にして最後の者、また生きている者である。一度は死んだが、見よ、世々限りなく生きて、死と陰府の鍵を持っている。さあ、見たことを、今あることを、今後起ころうとしていることを書き留めよ。あなたは、わたしの右の手に七つの星と、七つの金の燭台とを見たが、それらの秘められた意味はこうだ。七つの星は七つの教会の天使たち、七つの燭台は七つの教

          イエス・キリストの福音 ①

          復讐の預言、励ましの預言 ②

          ―― エフェソにある教会の天使にこう書き送れ。 『右の手に七つの星を持つ方、七つの金の燭台の間を歩く方が、次のように言われる。 「わたしは、あなたの行いと労苦と忍耐を知っており、また、あなたが悪者どもに我慢できず、自ら使徒と称して実はそうでない者どもを調べ、彼らのうそを見抜いたことも知っている。 あなたはよく忍耐して、わたしの名のために我慢し、疲れ果てることがなかった。 しかし、あなたに言うべきことがある。あなたは初めのころの愛から離れてしまった。 だから、どこから落ちたかを

          復讐の預言、励ましの預言 ②

          復讐の預言、励ましの預言 ①

          ―― イエス・キリストの黙示。この黙示は、すぐにも起こるはずのことを、神がその僕たちに示すためキリストにお与えになり、そして、キリストがその天使を送って僕ヨハネにお伝えになったものである。ヨハネは、神の言葉とイエス・キリストの証し、すなわち、自分の見たすべてのことを証しした。この預言の言葉を朗読する人と、これを聞いて、中に記されたことを守る人たちとは幸いである。時が迫っているからである。 ―― 全六十六巻から成る、聖書なる書物の最後の一章『ヨハネの黙示録』とは、上のような書

          復讐の預言、励ましの預言 ①

          愚かな金持ちたち ③

          ―― しかし、何処からともなく、誰が、お宮に上げるものか、毎晩、赤い蝋燭が点りました。昔は、このお宮にあがった絵の描いた蝋燭の燃えさしを持ってさえいれば、決して海の上では災難に罹らなかったものが、今度は、赤い蝋燭を見ただけでも、その者はきっと災難に罹って、海に溺おぼれて死んだのであります。…… 船乗りは、沖から、お宮のある山を眺めて怖れました。夜になると、北の海の上は、永(とこしえ)に物凄うございました。はてしもなく、どっちを見まわしても高い波がうねうねとうねっています。そし

          愚かな金持ちたち ③

          愚かな金持ちたち ②

          ―― 神の人がエリのもとに来て告げた。「主はこう言われる。あなたの先祖がエジプトでファラオの家に服従していたとき、わたしは自らをあなたの先祖に明らかに示し、わたしのためにイスラエルの全部族の中からあなたの先祖を選んで祭司とし、わたしの祭壇に上って香をたかせ、エフォドを着せてわたしの前に立たせた。また、わたしはあなたの先祖の家に、イスラエルの子らが燃やして主にささげる物をすべて与えた。あなたはなぜ、わたしが命じたいけにえと献げ物をわたしの住む所でないがしろにするのか。なぜ、自分

          愚かな金持ちたち ②

          愚かな金持ちたち ①

          ―― 「ある金持ちの畑が豊作だった。金持ちは、『どうしよう。作物をしまっておく場所がない』と思い巡らしたが、やがて言った。『こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。「さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ」と。』 しかし神は、『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神

          愚かな金持ちたち ①

          赤い蝋燭と人魚

          ―― 作  小川未明   文  無名の小説家 ―― 人魚は、南の海にばかり棲んでいるのではありません。北の海にも棲んでいたのであります。 ある時、岩の上に、一疋の人魚があがって、あたりの景色を眺めながら休んでいました。 雲間からもれる月影が、海の面をさびしく照らして、どちらを見てもはてしない、物凄いような青い波がうねうねと動いているばかりでした。 なんという淋しい景色だろう、と人魚は思いました。 「自分たちは人魚だけれども、人間とあまり姿は変っていない。魚や、底知れぬ

          赤い蝋燭と人魚

          起きよ、光をはなて

          ―― まことに、主はヤコブを憐れみ 再びイスラエルを選び 彼らの土地に置いてくださる。 寄留の民は彼らに加わり ヤコブの家に結び付く。 もろもろの民は、彼らをその土地に連れて来るが、イスラエルの家は、主の土地で、もろもろの民を男女の奴隷にして自分のものとする。かつて、彼らを捕囚とした者が、かえって彼らの捕囚となり、かつて、彼らを虐げた者が彼らに支配される。 ―― もしも、上の預言書にしたためられた言葉をもって、1948年に誕生した黙示録の獣のような殺戮国家のくり返す、詐欺と

          起きよ、光をはなて

          命をかけた祈り ②

          ―― わが神よ、どうかわたしをわが敵から助け出し、 わたしに逆らって起りたつ者からお守りください。 悪を行う者からわたしを助け出し、 血を流す人からわたしをお救いください。 見よ、彼らはひそみかくれて、わたしの命をうかがい、 力ある人々が共に集まってわたしを攻めます。 主よ、わたしにとがも罪もなく、 わたしにあやまちもないのに、 彼らは走りまわって備えをします。 わたしを助けるために目をさまして、ごらんください。 万軍の神、主よ、あなたはイスラエルの神です。 目をさまして、も

          命をかけた祈り ②