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【0からはじめるオンラインコミュニティ Vol.2】何を、どう発信するか?

こんにちは。

オンラインコミュニティ運営論の第2弾です。今回は「何をどう発信するか?」という実践的なテーマを扱います。オンラインサロンをはじめとする各種コミュニティの運営に関心のある方は是非参考にしてください!

ちなみにVol.1はこちら。

コミュニティオーナーは何を発信・提供するべきか

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上記左枠は今皆さんが見ているこのサービス「note」で投稿可能なコンテンツの分類です。FacebookグループやSlackなど、どのコミュニティプラットフォームを使ったとしても、基本的にはこの5種類を組み合わせながらオンラインで情報発信を行っていくことになります。また、オンラインコンテンツは大きく分けると「文字情報(テキスト、つぶやき)」と「画・音情報(画像、音声、動画)」の2種類に整理することができます。一つ一つ見ていきましょう。

文字情報
「定期配信のコラム」「書籍や映画のレビュー」「質問への回答」など、テーマと一定の分量があるひとまとまりの文章を「テキスト」と呼びます。一方で「ニュースのピックアップ」「ひとりごと」「日常の報告」といった、所在ない短文を「つぶやき」と呼ぶことにします。目安として、前者は600字程度~数千字。後者はTwitterの字数制限に習い140文字程度の文字量を指すものです。

画・音情報
「オフショット写真」「楽曲」「自身が喋る・映る音声・動画」などのことです。上記の文字情報と組み合わせ、何かを図解・解説したスライド資料を画像化してアップするなどのコンテンツもこちらに含まれます。また、まとまった分量のあるテキストを書くのが苦手なオーナーの方であれば、喋る様子を動画や音声にして「定期配信のトークコラム」として発信するのも今風です。

例としてはなんでも良かったのですが・・・堀江貴文さんを。こういったコンテンツは数年前であれば「blog」というフォーマットでテキストとして発信されるものでしたが、今では"定点撮り編集無し"で動画コラムとして発信するケースも増えています。特にオーナー自身のキャラが立っている場合や、タレント性が高い場合などは、動画を用いるのがオススメです。

オフラインイベント
そして・・・忘れてはいけないのが、画像右枠に追記したオフラインイベントです。基本的にはオーナーやゲストがライブ、トークセッション、講義などをしたりすることが多いですが、オーナー不在のオフ会なども重要なオフラインイベントコンテンツの1つです。

▼発信・提供するコンテンツのマッピング

さて、発信・提供できるコンテンツを洗い出せたところで、これをまた違った切り口から整理してみましょう。

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こちらはかつてオンラインサロンプラットフォーム「Synapse」を運営していた際、オーナー配布用に自身で制作したマニュアルからの抜粋となります。「定期⇔不定期」「オンライン⇔オフライン」で4象限に区切り、そこに各コンテンツをプロットしてみました。

(「象限」と言いつつ、平面幾何学では本来右上から反時計回りに第1,2,3,4象限なので、ちょっと番号が気持ち悪いですが・・・)

オンラインコミュニティにおける「コンテンツプランニング」とは、この図における各象限のどの領域を厚くするか、或いはどのバランスで組み立てるかを考えることによってコミュニティを特徴づけていく作業です。

└①[オンライン]×[定期]

多くのコミュニティにおいて軸となるコンテンツです。基本的には週次でノウハウやコラムを配信する形を取りますが、このケースでは「ネタ切れ」が心配になってきます。ネタ切れを起こさないためには、ストック情報の切り売りではなく、フロー情報のコンテンツ化を意識すると有効です。

フロー情報のコンテンツ化:実業家やジャーナリストが「今週の一面」といった形で、週次で一つのニュースを掘り下げる / アスリートが「勝負の勘所」といった形でシーズン中の各試合を考察する / ミュージシャンやDJが「今週の1曲」といった形で新譜のレビューをする / 占星術師が「今週の星読み」といった形で星の動きをホワイトボードに図解した動画をあげる・・・etc

ニュースや新商品など、更新性の高いフロー情報と自身のスペシャリティを組み合わせて定期コンテンツ化するのがオススメです。

└②[オンライン]×[不定期]

ひとりごとやちょっとした日常の感想、オフショット写真など、情報量の比較的少ないコンテンツが中心となります。また「①[オンライン]×[定期コンテンツ]」で紹介したような、ニュース解説や新譜紹介などを思い立った時に不定期に投稿していく形であれば、この象限のコンテンツになります。

代表的なコンテンツとして、コミュニティオーナーがスペシャリティを持つ分野に関するアイテムやコンテンツのレビューを都度行う方法があります。

アイテム・コンテンツレビュー例:作家・小説家が使っている文房具・PCガジェット紹介 / 実業家が使っているアプリケーション紹介 / モデル・アイドルが使っているスキンケアアイテム紹介 / アスリートが間食に用いているフード紹介 / ミュージシャンが使っているDTM用プラグイン紹介 / 料理人が使っている調理器具紹介・・・etc

この辺って皆さん気になりますよね? そういったモノについて、随時「プライベートで買ってみたけどめっちゃ良かった!」と言えるオススメアイテムを不定期に発信していくのは大変有用な情報になります。また、大きな声では言えませんが・・・クローズドコミュニティ特有の情報発信として「酷評アイテム・コンテンツ」の紹介というのも俄然有りです。blogやSNSではなかなか言いづらいことを言える・聞けるというのは、双方にとってプレミアムな価値があります。

ちなみに上記以外でも、オーナーが有名な方であれば自身のスペシャリティ領域とは無関係であっても、「このドラマにハマってます」「あそこのラーメンが凄く美味かった」など、オーナーのパーソナリティに紐づく情報には何にでも価値があるため、不定期コンテンツとして都度発信していくと有効です。

└③[定期]×[オフライン]

主になんらかのスキル習得を目的としたコミュニティや、ゼミ形式(勉強会)のコミュニティにおいて軸となるコンテンツです。これを軸とするケースは、ある意味では「オフライン」がメインであり、その拡張要素としてオンラインコンテンツを活用するコミュニティと言った方が正確かもしれません。

主に、上記のような「反転授業」「アクティブラーニング」といったコンセプトを導入したラーニングコミュニティの運用に適しています。

また、Vol.1で解説した「プロジェクトファンディング型コミュニティ」において、理念や情熱の共有・ブーストのため、「ゲストトークセッション」と「交流会」をセットにしたイベントを定期開催し、そのイベント参加権をメインコンテンツとして運用していく場合などにも有用です。その場合は、半期時限性のコミュニティとして運用し、「月1のトークイベント×6ヶ月」で完結させるようなケースもあります。

それ以外では、基本的にはオンラインをベースに進行するコミュニティが「年に1度の大交流会」のようなものを用意するケースも、定期と言えば定期なのでここに該当します。頻度は低くても「定期イベント」としてそれらが開催されることが保証されていると、よりユーザーフレンドリーな運用になるでしょう。

└④[オフライン]×[不定期]

主にタレント性の高いオーナーが主催するコミュニティで軸となるコンテンツです。音楽アーティストのファンクラブなどに入っていると会員限定で案内される「ファンクラブ限定イベント」といったものが近いかもしれません。必ずしも定期的ではないけれど、年に数回の頻度で提供される小~中規模イベントがこれに該当します。

:ミュージシャンが演奏可能な飲食店でアンプラグドライブを披露 / 作家が新作出版に合わせた特別トークライブを実施 / その他、いわゆるオフ会・食事会・飲み会の開催・・・etc

これを定期的にできたら、ファンとしては嬉しいんだろうな・・・とは思いつつどうしても先のスケジュールを決めづらいというオーナーは「それなりの頻度」を保つ意識はしながら、不定期でこういったイベントを開催してあげると良いでしょう。

また、いわゆる突発オフ会もこの象限に入ります。必ずしもコミュニティのオーナーは参加せず、ファン・会員同士が自主的に盛り上がるイベントも含まれます。例えば「釣り」がテーマのコミュニティだったら会員同士で車を出して一緒に川にでかけたり、「ファッション」がテーマのコミュニティだったら会員同士で季節ごとのセールに出かけたり、ファンコミュニティ型であったらオーナーのライブや舞台をファン同士で一緒に観に行く・・・といったケースです。

ただし・・・「そういうのに参加するのはちょっと・・・」という会員もいることを忘れてはいけません。盛り上がってくれるのは嬉しいことですが、できればコミュニティ内に「○○部」「○○分科会」といったグループを立ち上げるなどの方法で、リアルな集いが好きな人/そうでない人が双方にとって居心地の良い場づくりを心がけてあげてください。

一部のオーナーは「とにかくリアルに知り合って、仲良くなってくれたら嬉しいはずだ」とか「そうすることで退会率が低下するはずだ」と考えるかもしれませんが、そうとも限りません。体感としてはそういったユーザーは全体の半数に満たない場合が多く、リアルなコミュニケーションを強要されるようなノリができてしまうと居心地の悪さを感じてしまうユーザーは案外多く存在します。

▼発信スケジュールの組み立て方

次は上記のコンテンツをどう組み合わせ、どのくらいの頻度で発信していくかについてお話します。まずはここまでの「コンテンツ分類」と「例」を熟読しつつ、自分に発信できそうなコンテンツを洗い出してみましょう。その上で各象限のバランスを整え、発信スケジュールの骨子をつくります。

└①年間・半期のイベント実施スケジュール(主にオフライン)

はじめにするべきことは「年間」や「半期」を軸とした中長期のスケジュール策定。ここでは「オフラインイベント」のおおまかなスケジュールを想定します。『定期イベントを隔月でやろう』『不定期だけど○月と○月にはイベントを打てるようにしておこう』といった計画のことを指すと考えてください。また、イベントにゲストを呼ぶ場合はそのゲストのスケジュールを押さえることも重要です。後手にまわらぬよう「何月にどのようなイベントを打つのか」は開始段階で想定しておく必要があります。

└②週間・月間のコンテンツ配信スケジュール(主にオンライン)

年間レベルでの大枠が決まったら、いよいよ週間・月間スケジュールです。これを「エディトリアルカレンダー」と呼び、コンテンツの発信が滞らぬよう、全てのコミュニティオーナーに作成をオススメしています。

googleで検索してみると、エディトリアルカレンダーのテンプレートはたくさん落ちていますが、何もここまで厳密である必要はありません。ミニマムに考えるのであれば、まずは週間エディトリアルカレンダーに「[オンライン]×[定期]コンテンツ」を嵌め込んでみてください。

ファンコミュニティモデルの場合:

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上記の例は、ミュージシャンやモデル、アスリートを中心に、一部のキャラ立ちした作家、漫画家など"タレント性"の強いコミュニティオーナーを想定した「ファンコミュニティモデル」の例です。

ここでは、「[オンライン]×[定期]コンテンツ」を2種類に定め、「週次のコラム配信」と隔週での「質問回答」を軸に据えています。タレントと言えば一昔前はblogをやっている人が多くいましたが、今そのほとんどはTwitterやInstagramに移行してしまいました。しかし、タレントの雑誌連載などには根強いファンも多くいますし、「○○のココだけの話」「○○の楽屋トーク」といった形でそれなりにまとまったテキストを発信すればニーズはあると思います。あるいは、よりタレント性の強いオーナーであれば「○○の1分間劇場」といった形で「一発撮りの動画」を定期コンテンツにするのもオススメです。オーナーがアイドルや芸人さんである場合は特に有効です。

加えて、ネタ切れ対策としての「質問募集⇒回答」。こちらはラジオ番組の運用イメージを参考に、「質問」ではなくお便りやメッセージを紹介する動画コンテンツにしても良いでしょう。

私塾モデルの場合:

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次は特定分野の専門家による私塾モデルの例です。ここでは「[オンライン]×[定期]コンテンツ」として、定期コラムに加えて「課題の発表→提出(ユーザー側)→レビュー」というサイクルをメインに据えています。

個人的には私塾型コミュニティの場合はこの運用形式を強烈にオススメしています。課題に対してのレビューという形態を取ることで、オーナーは「ネタ切れ」を避けることができますし、何よりユーザーにとってアクションを起こすインセンティブが生まれることに一番の価値があります。なんらかの知識やスキルの習得・向上をしたい場合、ユーザーにとっては一方的に発信される情報をインプットするよりも、アウトプットを継続する仕組みに対してこそお金を払う価値がありますし、実際にこのサイクルが上手く回っているオンラインサロンでは退会率も低い傾向にありました。

└③補足:不定期コンテンツの発信頻度について

①と②が定まればオンラインコミュニティはスタートできます。しかし、スケジュール通りに情報が配信されるだけでは有料メルマガとあまり変わりません。

皆さんも経験があるかと思いますが、決まった曜日に配信されるメルマガというのは、どうしてもいずれ開くことがなくなっていくもの...。

オンラインコミュニティにおいては、できるだけユーザーにアクティブであって欲しいので、決まったスケジュール通りに運用されるのではなく、不定期に有用なコンテンツが配信されたり、有用なコミュニケーションが発生する必要があります。

当時の実績値から見ても、オーナーの投稿頻度が週に3回を超えた辺りから退会率が低下していく傾向が見られた他、ユーザーのアクション回数が多い方が退会率は低下します(言い換えれば、発信コンテンツ数やアクティブ率が高い方がLTVが高くなる傾向にあるということになります)。

そこで有用なのが不定期コンテンツ。スケジュールに定めた定期コンテンツ以外に、前半で紹介した「都度レビュー」や「オフショット写真」等の不定期コンテンツを+1~2回/週は発信するのが望ましいと言えます。

また、それ以外にもユーザー参加型スレッド(チャンネル)を設けるのも有効です。例えば、ビジネスパーソン向けのコミュニティであれば「本のオススメ」とか、ミュージシャン向けのコミュニティであれば「機材のオススメ」などを、ユーザー自身があげていくスレッド(チャンネル)のことです。

オーナーが一方的に発信する情報だけでなく、コミュニティ全体が持つ知・体験を共有していくことで、そこに新たな価値が生まれます。「オーナー自身のコンテンツ価値+コミュニティ自体のコンテンツ価値」を併せてこそのオンラインコミュニティ。20代後半~30代の方にピンポイントで通じる例で恐縮ですが、2000年代中盤~後半のmixiコミュニティのイメージが近いかもしれません。

さいごに。

今回は、オンラインコミュニティ内で発信すべきコンテンツの選定法とそのスケジューリングについて説明させていただきました。ここまで読めば基本はカンペキです。

Vol.1と合わせて約1万2000文字。Web記事としては長めかもしれませんが、書籍よりは低コストでエッセンスを押さえることが可能です。

謎のオンラインコミュニティ運営コンサルに騙される前に、謎のオンラインサロン収益化セミナーに参加する前に・・・是非もっと多くの方に本記事を読んで頂けたらと思います。

残りは・・・よりテクニカルな内容になりますがオンラインコミュニティ運営に使えるツールとその特徴は?」的なテーマもいつか書けたらと思っています。FanTech(ファンテック)領域はここ数年、さまざまな新ツールの登場によって運営形態の幅も大きく広がりました。「当時、オンラインサロンというものを発明した頃はこうだったけど、今だったら違うやり方をするだろうな」と思う部分も多くありますし、その辺りのアップデートされた知見はまた次回に!!

そして、、

ここまで読んでくれた皆さんから質問を募集します。まだまだ網羅できていない話もありますし、ピンポイントで気になること・聞いてみたいことがあればドシドシ質問お願いします。それをまとめて質問回答記事にできたらと思います!

著:@t_inagi

Vol.1へのリンク再掲


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