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甲状腺機能低下症の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。


甲状腺機能低下症とは?

甲状腺ホルモンの分泌低下、または甲状腺ホルモンに対する感受性の低下によって様々な組織の機能低下を起こす病気です。硬い浮腫みである粘液水腫などが特徴です。また先天性の甲状腺機能低下症で身体、精神の発達が遅れているものをクレチン病と呼んでいます。

甲状腺機能低下症が起こる原因は?

大まかに甲状腺自体に原因がある原発性、下垂体、視床下部に状態異常がある中枢性、末梢組織での甲状腺ホルモンの受容体異常による3つに分けられます。

自己免疫疾患などで甲状腺が壊される慢性甲状腺炎(橋本病)の頻度がもっとも高いとされています。

甲状腺機能低下症の所見、症状は?

甲状腺ホルモンは全身に作用するホルモンなので、分泌低下などが起こると様々な症状が現れます。

全身的症状
寒がり、汗が出にくい、嗄声、全身倦怠感、疲労感、体重が増える、低体温、月経異常。

消化器症状
食欲不振、便秘

循環器症状
脈が遅くなる(徐脈)、息切れ。

皮膚症状
粘液水腫、皮膚の乾燥、頭の脱毛、眉毛の外3分の1が脱毛する。


甲状腺機能低下症の診断方法は?

基本的には血液検査、甲状腺ホルモン検査を行います。甲状腺ホルモンが低下し、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が高値になる。その他、代謝が低下することによって総コレステロール、トリグリセリド、AST、LDHなども高値になり貧血も起こすことがある。

甲状腺機能低下症の一般的な治療法は?

不足している甲状腺ホルモンを補うため、甲状腺ホルモン補充療法が行われる。

甲状腺機能低下症の予後は?

甲状腺ホルモンを生涯続けて服用すれば、特に日常生活に支障は出ないとされています。

甲状腺機能低下症の東洋医学的な考えは?

東洋医学では、体の健康は体内のエネルギー(気、気血、陰陽など)のバランスに依存していると考えられています。甲状腺機能低下症の東洋医学におけるアプローチは、西洋医学のアプローチと異なりますが、一部の患者にとっては補完的な治療法として利用されることがあります。東洋医学は、体のエネルギーの流れやバランスを調整し、体の自然な治癒力を活性化することに焦点を当てています。

東洋医学を取り入れるメリットは?

東洋医学、特に伝統的な中国医学や日本の漢方医学などは、現代医学とは異なる視点から疾患を理解し、治療法が考えられます。甲状腺機能低下症に関しても、東洋医学の観点では以下のような要素が考えられることがあります

気と血のバランス: 東洋医学では、「気」と「血」が体内を流れ、バランスを保つことが重要とされています。甲状腺機能低下症は、体内のエネルギーの不均衡や不足、流れの滞りに関連している可能性があります。

気虚: 東洋医学では、気はエネルギーを全体に巡らせる役割があると考えられています。甲状腺機能低下症のような症状の場合は気が不足する気虚の上体であると言われており、気を補う、巡らせることを考えます。

陰陽の調和: 体内のエネルギー(気や血)や臓器の機能は、陰陽のバランスに影響を受けると考えられます。甲状腺機能低下症は、東洋医学の視点では陽の不足に関連づけられ、この不均衡を整えることが治療の目標となります。

食事療法と生活習慣: 東洋医学では食事や生活習慣の見直しも重要視されます。体を温める食材や陽を補う食事法が提案され、適切な運動や休息も陽のバランスを整える手段として考えられます。

以上のような様々な視点から治療が出来ることから東洋医学を取りれるメリットがあります。

東洋医学で考える甲状腺機能低下症にアプローチできるポイント


甲状腺機能低下症に対する東洋医学のアプローチ方法は、患者の症状や体質に合わせて個別に調整されることが一般的です。以下は、一般的な東洋医学のアプローチポイントになります。

体質診断: 東洋医学では、体質が個人の健康に大きな影響を与えると考えられています。まず、東洋医学の専門家は患者の体質を評価し、病状を理解するために個別の診断を行います。これは脈診、舌診、症状の詳細な質問などを含むことがあります。

食事療法: 患者に対する食事療法は、個別の体質と症状に合わせてカスタマイズされます。特定の食材や調理法、漢方などが推奨され、栄養摂取とエネルギーのバランスを最適化するために使用されることがあります。

ストレス管理と精神的なサポート: 東洋医学は、精神的な健康を重視し、ストレス管理技術、瞑想、呼吸法、および運動などの方法を提供することがあります。これにより、患者の心身のバランスをサポートし、治療へのモチベーションのアップや忍耐力を高めます。

予防と健康の維持: 東洋医学は健康の維持と疾患の予防に焦点を当てます。患者には健康な生活習慣の促進、バランスのとれた食事、適切な運動、ストレス管理などがアドバイスされることがあります。

その他の甲状腺機能低下症の治療法

鍼灸療法

主に鍼や灸を使い、以下のように整えます。

気や血液の流れを調整: 鍼灸治療では、体内のエネルギーである「気」や血液の流れを調整することが目的とされます。甲状腺機能低下症の場合、気や血の不足が問題となり、これを改善することで全身の調和を取り戻す助けになると考えられます。

陰陽のバランスを整える: 中医学では、陰陽のバランスが重要視されますが甲状腺機能低下症では陽の不足が考えられる場合、鍼灸を通じて陰陽のバランスを調整し、体内の調和を促進することが試みられます。

漢方

漢方医学は、中国の伝統的な医学であり、植物、動物、ミネラルなどの自然界の物質を組み合わせて製剤したものを用いてバランスを取る治療法です。甲状腺機能低下症に対する漢方治療も、患者の体質や症状に基づいて行われます。

補中益気: 気の機能を補強することを目的とする漢方薬が使用されることがあります。気のエネルギーを補充することで、体のバランスを整え、甲状腺機能低下症にアプローチします。

気血の循環の促進: 漢方医学では気や血の循環が重要視されます。甲状腺機能低下症では気や血の不足によって引き起こされると考えられ、漢方薬がそれらの不足を補うことで改善されると期待されます。

東洋医学的に甲状腺機能低下症の治療を始める場合は?

東洋医学的治療は、体質の調査から始まり、陰陽のバランスを整える食事療法や漢方などを用いて体全体の機能を改善します。健康管理と生活指導も重要であり、個々の症状や体質に合わせたアプローチが必要です。そのため専門家への相談が重要になってきます。

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