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管理部社員0名だったHiTTOが、半年で年次決算・監査対応をフルリモート化するまで

みなさま初めまして!
HiTTO株式会社で管理部を立ち上げた早瀬と申します。

HiTTOでは現在、経理・労務・総務・法務といった、
日々発生する管理部のオペレーション業務だけでなく、
年次決算や、監査対応に到るまで、会社に出社する事なく、フルリモートで対応できています。

ですが、わずか半年前までは、リモートなんて夢のまた夢の状態でした。
当時は管理部門に従業員が1人もおらず、代表と、派遣社員1名と、業務委託の方々で各業務を分担する事で、なんとかオペレーションを回しておりました。
もちろん全業務、紙の書類が中心。四半期毎の監査も当然、会議室を数日間、終日確保して、監査法人の方に会社まで来てもらっておりました。

HiTTOに入社して以来、その状態を変えようと、半年間かけてフローの整備を推し進めてまいりました。その結果、気づけば無理なくフルリモートに移行できていました。

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今回は、組織が具体的にどういった取り組みをしてきたのかご紹介する事で、
まさに今現在、管理部で業務のリモート化を推し進めていこうとされる方の参考に、少しでもなればと思っております。


​そもそも管理部がリモートできない理由

新型コロナウィルスが猛威を振るう現在の状況において、ほとんどの企業の管理部が、リモートワークを強いられていると思います。
中には、業務遂行上の制約があり週の数日は出社をしていたり、そもそもリモートワークに移行できていなかったりする方も多くいらっしゃるでしょう。
我々管理部は、なぜリモートワークがしづらいのでしょうか。

・電話の応対を管理部で行なっているから?
・取引先に対して発行する書類が紙だから?
・取引先から受け取る書類が紙だから?
・経費精算が紙での提出だから?
・日次・月次の決算や監査対応があるから?
・請求書振込や給与振込の確認作業に印鑑が必要だから?
・他の社員が出社するから?
・そもそも、経理/労務/総務/法務/人事…
 どこまでリモートでやってトラブルにならないのか判断がつかないから?

理由は様々あると思いますが、
事前準備をしっかりすれば、フルリモートが可能になります。
隠す事でもないので全部公開していきます。

管理部社員0人の組織にジョイン

先に少しだけ自己紹介します。私は新卒で大手マーケティングリサーチ企業に入社しました。

経営に近いところで働きたく、新卒ながら経理を希望し、配属してもらいました。
経理、財務、子会社の管理部構築を一通り経験した後で、会社が出資したベンチャーに出向して、0から管理部門の立ち上げ・業務全般に携わらせてもらう事ができました。
そのベンチャーでは最終的に管理部長を任せていただいていたのですが、新しい環境に挑戦してみたいと感じるようになり、30歳の時に転職を決意。引き継ぎ等々含め翌年に、強い興味を抱いていたAIチャットボットを提供するHiTTOに転職する事を決めました。

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面接の時点で代表の手塚からは、
・管理部は社員が0人
・前任者が2名立て続けに退職した中で、満足に引継ぎがなされていない
・業務委託でなんとかオペレーションを回している状況であり、管理部門の立て直しが急務
と聞いていたため、ある程度覚悟を持ってはいたものの、

実際に入社してみると、
・あらゆる経理仕訳に根拠資料が紐づけられていない
・契約書台帳は存在しない
・給与台帳もどこに保存されているかわからない
・不必要なシステムや、アカウントが未整理のまま放置されている
・その他、各業務にオペレーションが存在していない
行き当たりばったりでその日暮らしをしているような
、中々にカオスな状況でした。


その瞬間、企業価値に対して最もプラスなことを判断基準とする

大企業ではないので、もちろん全てが整っていないのは当然ですが、
入社後に気になったのは、管理部の各業務に携わっている方々が、
限られたリソースの中でオペレーションを中心に業務を回す必要があり、
長期的な視点を踏まえた設計思想に基づく課題解決ではなく、
短期的に目の前のタスクを消化するために課題解決をするのが精一杯の状況でした。
(そもそも、決算を回していただけているだけで、途中からジョインする私にとってはそれだけでありがたい状況でした。)

1番の懸念は、管理部門の全体像を誰も把握できず、日々のオペレーションを行うだけの組織になってしまう危険性でした。

そして、IPOを見据え、監査法人と契約をしているHiTTOにとっては、
上場準備を念頭に置いた管理部業務(主に経理・労務・法務・総務)の基盤を設計し、整理されたオペレーションを構築する事が、
近い将来、HiTTOの企業価値に対して与えるインパクトが、最も大きいと確信がありました。

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フェーズ1:理解(全体像の把握)

管理部の基盤設計をすることは決めましたが、従業員は私1名。
まずは何から手をつけるか優先度を決めなければなりません。

そこで私は、全てのオペレーション業務の承認経路に自分を挟みました。
仕訳も、請求書の発行も、支払も、契約書チェックも、入社フローも、押印も、小口現金取り出すことも、
おおよそ会社で発生する管理部門業務の全てを把握するために確認し続けました。

どんな業務に、どれだけの人が関わっているのか。
それは統制として十分なのか不十分なのか。もしくはやりすぎてないか。
「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」という諺もありますが、
例えば、わざわざ認印1つ押すのに代表のチェックが必要な業務もありました。


フェーズ2:業務の定型化(5W1H)

1ヶ月ほど全ての業務の承認者となり、疑問点は細かく詳細に質問し、
この会社で、管理部はどこまでの業務を担っているのかを理解して行きました。
その傍で、各業務をフローチャート化していきました。

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※こういったフローチャートを、何十枚と作りました。

フローチャートでは、5Wを盛り込む事を意識しています。
・どの担当者が(Who)
・どの業務を
(What)
・どういった目的のために
(Why)
・どのタイミングで
(When)
・どのシステムを使って
(Where)
を明確にしながら、業務毎に担当者を決めていきます。

当然、そうすると現在の業務フローと異なる点が出てくるので、業務委託の方々と衝突が発生する事があります。そうした場合も、なぜこの理想のフローチャートが良いのか(IPOに向けた統制のため、何が必要かを伝え、代案があれば取り入れる姿勢で)折れる事なく説明を続けました。

また、フローチャートだけでなく、
誰でもミスが起きないように、
・どうやったら良いか(How)
画像+細かい作業を書いた詳細版マニュアルも作成しました。

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フェーズ3:データ化

フローチャートやマニュアルを作りながら、
企業価値を最も高めるために、管理部の立場から出来る事は何か、検討し続けました。

HiTTOが提供しているのは、
会社の各種規定の説明や申請の方法を、管理部従業員に代わって回答してくれる従業員向けのAIチャットボット【hitTO】というサービスです。

そんなHiTTOでは、自社サービスに加え、様々なSaaSを活用することで、
人や紙を中心とした従来の管理部のイメージを脱却し
これから10年未来の管理部の在り方を作っていきたいと思い、
各種データの管理場所をオフラインからオンラインに切り替えました。

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小さいところですが、管理部に提出する書類も、管理部から従業員に発行する書類も全てデータのみ。契約も全てデータ管理。
会計伝票も、会計freeeを使い、仕訳伝票に対する根拠資料は、必ずデータの添付(紙でやっているのと遜色ない根拠資料添付)を義務付けました。

その上で、監査法人に対して、
①業務フローチャート及びマニュアルと、統制の考え方
②根拠資料が、仕訳に100%添付されているため、
 監査手続き上、会社側で提出する必要がない事

を説明した上で、フルリモートでの年次決算監査のお願いをしたところ、
初の事例となるとのことでしたが、快く受け入れてくださいました。
(今ではコロナの影響でフルリモート監査されているところも多いと思いますが、未だに企業側もフルリモートというところは少ないのではないでしょうか)


フェーズ4:再アウトソース

業務フローの設計や、データ管理についてのコンセプトが決まりました。
その上で、改めて、新フローに合わせたアウトソース先を選定しました。

経理オペレーションは、ルールを定め、承認作業以外はアウトソース。
労務オペレーションは、入社した際の個人情報取得以外、全て社労士に。
総務や法務のオペレーションは、派遣社員(もちろんリモートで勤務)に。
代表電話の応対もfondeskというサービスを利用して、社内で対応することをやめました。

私自身は変わらず各業務の承認者に入っておりますが、
フローが確立しているのでチェックする箇所が減り、
負担がだいぶ減った事で、次の事業価値へのインパクトが大きい業務に着手する時間が作れるようになりました。

そうこうしているうちに、年次決算のタイミングが来ましたが、
仕訳データに根拠資料がデータで添付されているため、
紙で対応していた頃よりもスムーズに監査を進める事ができております。

そうこうしているうちに、新型コロナウィルスが猛威をふるいだし、
リモートワークを迫られる時代となりましたが、
HiTTOでは、一切の滞りが起きないまま、日々が回っております。


管理部をフルリモートするのに大きく貢献してくれているサービス

営業経理 :会計freeeの受発注管理機能、請求書郵送サービス
決算業務 :会計freee
経費精算 :会計freee
勤怠管理 :人事労務freee
給与明細 :人事労務freee
雇用契約 :SmartHR
労務全般 :オペレーション業務は社労士へ委託
契約締結 :CloudSign
目標管理 :Resily
Todo管理   :Notion
代表電話 :fondesk
会話   :Slack
打合せ  :Zoom

上記システムを導入する事で発生する従業員からの質問は、AIチャットボットを用いて人の手を介することなく回答する事にしました。

勤怠打刻チャットボット


まとめ

ここまでをざっくりまとめると、
・各業務の5W1Hを、フローチャート・マニュアルに落とし込み
・データは全てオンライン上で管理するようシステムを導入
・その上で、業務を外部に委託をする事で
新型コロナウィルスが猛威を振るうタイミングで、管理部を無理なくフルリモートに切り替える事に成功しました。

また、文章中で登場させる機会がなかったのですが、
HiTTOで契約している顧問税理士が上記のシステムに精通しており、
常に的確なアドバイスをいただけた事も大変ありがたかったです。

これからリモートワーク体制を整えていかれる皆様のご参考に、僅かでもなればと思っております。
もしご不明点ございましたら、お気軽にご連絡ください。


最後に、ここまで書いておいて、ではありますが、
HiTTOの管理部がこれで完成したとは全く思っておりません。

次々とブラッシュアップしていきたい部分も見つかりますし、
これ以外にもやりたい事が非常にあふれております。

ですが、やりたい事に対して、手が全く足りていない状態です。
管理部で経理業務(決算や開示、管理会計、予実管理)を中心に、
HiTTOらしい管理部の在り方を、一緒に考え・作っていってくれる仲間を探しております。

上記リンク先からのエントリーをお待ちしております!






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