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高い…でも美味い…「ル・パン・コティディアン」 芝公園

東京プリンスホテルの本館はもうずいぶんと古い。相当の旧式だ。でも、今の都心部のラグジュアリーホテルと違って、階層が低く、周囲に建物が少なく、そんなのんびりしたところがいいのか根強いファンがいる。「新館より旧館がいいのよね」というわけだ。お食事も宿泊も。

ル・パン・コティディアンはそんな東京プリンスホテルの敷地の外れにあって、港区役所や芝大神宮も近いところにある、この地にこのパン屋あり、の有名店。こだわりの素材を使った高級ベーカリーレストランだ。

そう、「高級」と名前に付けざるを得ないところがみそである。こちらのレストランのメニューを検索したならば、ひとはぜいたくな時間をあじわうためにディナーレベルの出費をモーニングセットやブランチセットに支払わなければならないことを知るのだ。こんな素敵でスノッブなレストランを日々愛用している人も多いというから、港区カーストの最底辺を彷徨う者としては心がざわつくばかりだ。

しかし、どうしてもいいバゲットを食べたくなったならば、こちらのショップで購入するのがおすすめ。2、3センチにスライスしてもらって、…「それだけを」買うことができたらどんなに良いだろう。しかしそうは問屋が卸さない。

まず、ショップで目を引くのが何種類ものリッチなマフィン。その季節季節で、バナナやブルーベリーやナッツやチョコレートやらがこれでもか、と顔をのぞかせて強烈なフレーバーを放っている。ついでに一つは買っておきたい。

焼きたてのクロワッサン。最外のぱりぱり食感の薄皮とバターでしっとりした内側の生地。これをトースターでちょっと温めたならば、プリンスホテルの朝食もこんなん出ているのかな…と楽しい想像に口元もほころぶ。

イチジクや干しブドウの入ったパン。最近では一流のパン屋では「フィグ」なんて呼んで大振りのイチジクを練り込んだ一品を売ることがスタンダードになってきました。もちろんめちゃウマ。これはおやつというよりは、ワインなどのお酒のおつまみにあわせたい。意外とウイスキーにも合うので…最近日本橋の有名店のパン切りナイフを購入。焼かれたフィグとパンの白い断面が美しい。

そして、しまいには大きな丸いパン(アルプスの少女、ハイジのアニメに出てきそうなやつ…)。ヨーロッパの郷土料理などでしかお目にかかることのないやつをどういうわけか買いたくなる。安くはないが、ハーフやそれ以下にカットしてくれているものもあるのでありがたい。

私が行くといつも売切れなのだが、オーガニック小麦のベーカーズバスケットと呼ばれる数種類のパンを良い感じにスライスした詰め合わせも販売しているという。…結局それひとつでよかった?

というわけで、パン屋で数千円の出費をする羽目になる。冷凍庫もパンパンだし、マフィンはすぐ食べたほうががぜんおいしい。

パンを焼いてその技術を競う「ブリティッシュベイクオフ」なるテレビ番組を観たことがありますか?あれを観ちゃうとパンというものは高級品なんだなと納得します。手間と暇と上質の小麦と良いオーブンが必要なんですね。

言い訳を連ねて月一の散財が止まらないところです。


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