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一年半のあいだ「撮らせてほしい」と望んだ人を撮って、宝物をもらった話

あなたは圧倒的な存在に対面したことはありますか?
私は直近、対面してきました。
一年半、その瞬間を待ちわび、心を鷲掴みされる感覚にひたりながら。

これは単なる自分語りであり、それでいて一人の役者さんを紹介するだけ。
誰に評価してもらおうとか一切考えない、自分が書きたいだけの文章。
ほんの軽い気持ちから始まった、圧倒的な可能性との邂逅の話。
それでいて2,900字に及ぶファンレターかもしれない。

ぜひ彼女に興味を持ってください。


軽い気持ちから始まった

彼女の名前は城酉しろとりまこと
私目線、とても実力のある役者さん。
舞台が主戦場だけど、今後は映像分野も目指していきたいと語っている方です。

2022年、私は活動を本格化していこうと、いろんな役者さんに営業をかけていました。
具体的には、配信をしている役者さんを見つけ次第アカウントをフォロー、配信が始まったら顔を出す。
諒さんも営業をかけたうちの一人でした。
一つ違うことがあるとすれば、彼女の被写体としての才能に可能性を感じていたことでしょうか。

2022年8月。
そう、ちょうどオドループのロケ地を目指して靴擦れ起こしながら歩いていた時のこと。

「初めまして、インスタで見て来ました」
そんなコメントをした気がします。
ほんと軽いノリです。
しかし思ってた以上にトークが刺さり、私は配信に居つくことになります。

苦しい1年間、転機

当然営業ですから成果が求められます。
実ったケースもあれば、そうはならなかったケースもあり。

諒さんの撮影は簡単にはいきませんでした。
在籍している場所の制約や心理的ハードル、その他もろもろ…

さらに言うと、私が公演を見に行くいかない的なハードルも。
「スケジュール的に…お金的に…ああ…」と何度病んだことでしょうか。
いつ諦めてもおかしくない期間が1年以上続きます。
どうしても究極的には営業だという気持ちが邪魔したのです。

そんな折、転機が訪れます。
これまで対面で話すことが叶わなかったのですが、ようやくそのチャンスが来たのです。
どんな反応をされるか分からない、でも行くしかない。
私はチャンスを逃したくない。
いざ行かん。

当日、まぁ私の脳内で色々あった公演を見終わった後、いよいよ。
しかし彼女は人気者で、お話しできる時間は限られているようです。
でも行かなきゃ何も始まらない、行きました。
第一声

「たかはしさん!やっと会えた!こんど撮影いきましょ!」

勝利のBGMが脳内で流れます。

不安で胃が死ぬポートレート歴三年マン

勝利を確信したものの、私には心配が募っていきます。

厄介ファンのように思われていないだろうか

真摯に対応してきたし、向こうからお話し頂けたのだから信じよう。

満足してもらえるだろうか

自分の技術に対して疑いを持っていない。
しかしそれが好みに刺さるかは別。
当日は今までやってきたことしか出来ないのだから、やれるだけやる。

「この撮影を終えたとき、燃え尽きてしまわないか」

この不安が拭いきれなかった
長い期間、目標としてきたことが達成されたとき。
果たして自分はすべてを見失ってしまわないだろうか、と。

事実、昨年の写真展で全力を出し切り、ましてや連載を完結させて文章でも区切りがついてしまっていて。
次に何を目指すのか、自分が何をしたいのか、それに力を貸してくれる人や興味を持つひとがいるのか。
何もかも見失いかけていたのですから。

楽しみで仕方がないはずなのに。
3年にも及ぶ積み重ねがあるのに。
私のノミの心臓と胃は、撮影日が近づくにつれストレスに悲鳴を上げていきます。
ぴえん。

すべては杞憂で、大いなる可能性との邂逅だった

いざ撮影日。
めちゃくちゃ時間に余裕を持たせ、気持ちを落ち着かせるべく不安事項を一つ一つ潰しながら待つ。
果たしてその成果

四の五の言うより写真を見てもらった方が早い。

確信した。
私の目に狂いはなかった。
この人を撮らないことは世界の損失であり、
目の前にいるのは大いなる可能性に満ちた存在なのだと。

彼女を形容するなら、美の世界から飛び出てきた人。
その透明感は触れたら壊れてしまいそうなほど繊細で。
どう撮っても素敵に写り、私が演出したいとおりの世界が自動的にできあがる。

これまで自分が積み上げてきたことは間違いではなかった。
まぁやることといっても、諒さんがそこに存在することを写すだけの簡単な仕事なのだけど。
自分が力を自由自在に発揮できているようで、お互いやりたいことが嚙み合っているようで、時間とともに宝物がカメラに蓄えられていく感覚。
これがショーペンハウアーの言う幸福か、と。

さきの不安はすべて杞憂でした。
既に満足のいく作品だけど、より深みのある作品が作れるという確信。
まだやらなければならない。
そしてこの魅力を多くの人に知ってほしいとも。

いちばん大事な「人間として尊敬できること」、それと宝物の言葉

私が「この人を撮ってみたい」と思うポイントは、なにも容姿が優れているからではありません。
そりゃ醸し出す空気感が容姿と密接していることは承知の上ですけど。
一番のポイントは「人として尊敬できること」

諒さんはものすごく考えて行動する方、と思っています。
舞台上での演技から見える、稽古場での思考の跡。
配信でのコメントに対してのレスポンス。
自分の見せ方。
勤勉で、自分の考えを持って、誠実にいる姿が「人として好き」だから撮りたいと思う。

条件付きではなく、あなたがあなたでいるから撮りたいと思う。
人に優劣を付けてしまうようで強く主張はしたくないのですが、それ以上に、衝動的に、私は彼女に魅力を覚えるのだから。
それ以上でもそれ以下でもない、というありのままの気持ちで撮りました。

一方、今回いろいろお話を伺った中で宝物として心に刻まれた言葉を頂きました。

「初めてポートレートを撮ってもらうなら、たかはしさんがいいと思った」
「考え方とか、書いていた言葉に共感したから」
「想像していた以上に素敵で、やっぱりたかはしさんでよかった」

この言葉をもらっただけで、この一年半待った私は報われました。

良い作品を残すうえで、技術以上に必要なのはリスペクトだなと。
技術も必要ですけどね。
「写真うまいですね」と褒められるよりも、考え方とか姿勢とか、人としてどうかという点で見てもらえることが何よりもうれしい。
お互い尊敬できる関係を構築できてこそ、です。

おわりに:もっと先へ

一発目から良すぎるくらいにいい物が撮れたわけです。
しかしここで満足せず、新たな「城酉諒のステキ」を発見したいのです。
そのためにはさらに回数を重ねたい。

個人的に目標を設定し、それを共有もしました。
ポートレート初心者さんから目指すにはハードルが高いかもしれませんが、それができると見込んでのチャレンジ。
具体的に形が見えてきたらnoteでお伝えしたいです。

諒さんですが、つぎは6月に舞台出演を控えています。
その技量や存在感をご堪能いただきたいです。

写真はまだまだありますので、後日別途記事を書きます。
圧倒的クオリティでお届けしますのでお楽しみに。
それでは。

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