エンタメとマーケティング 4 テニプリにみる「顧客と向き合う姿勢」
エンタメ産業以外でも、スーパーでも、服飾でも、介護でも、どんな業種業界でも「お客様を馬鹿にしている人間」見ることがある。
・商品移動で足で商品の入った箱を移動させる大型スーパーの店員
・客を怒鳴り散らすコンサート・ライブスタッフ
・雑なグッズを作るライブグッズ、アイドルグッズ製作会社
「必要だから、好きだから、嫌々お金を出す」そんな経験を、多くの人がしているのではないだろうか。
こんな顧客対応がザラにある現代で、「神対応」つまり素晴らしい対応であるとTwitterで話題のイベントがある。
「許斐 剛☆サプライズLIVE〜一人テニプリフェスタ〜」
テニプリという言葉は知っている人も多いかもしれない。集英社発刊の人気漫画「テニスの王子様」の略称がテニプリである。(以下:テニプリ)この「許斐 剛」(このみ たけし)という人物がテニプリの作者である。
今日(2016年1月16日)この作者がライブを行っている。
事情を知らないと「え、漫画家なのにライブ?」と思われるかもしれないが、彼はCDも出している。そして職業は「ハッピーメディアクリエイター」と名乗っている。
この文面だけ読むと「意味解らない」「ヤバイやつか」「稼いだ金で作者が好き放題しているのか」という感想を抱く人もいるだろう。ファンも少なからず思っている。
ファンも「このみん(作者の許斐剛先生の愛称)もう意味わかんない」とツッコミを入れている。
しかし、最初はファンも疑問に思うような突拍子もない企画が、テニプリという作品関連ではハズレしらずだ。
今では若手俳優の登竜門と呼ばれている「2,5次元舞台」もテニプリのミュージカルがはしりである。この企画、発表された当初はファンもポカンとしていた。
しかし初演から13年たった今、埼玉スーパーアリーナを3日間、神戸ワールド記念ホールを2日間埋める、大規模な公演になっている。
そのテニプリ関連のイベントの一環として、今回の許斐先生のライブがある。規模は豊洲PITなのでスーパーアリーナを考えると少なく感じるが、1人の漫画家のライブ(昼夜2公演)行うというのは、奇妙であり、凄いことである。
この奇妙なライブ「許斐 剛☆サプライズLIVE〜一人テニプリフェスタ〜」テニプリと題されているだけあって、当然テニプリのグッズと、そして許斐先生のグッズが物販として発売される。この物販の対応が神対応として話題になっている。
元々テニスの王子様とは週刊少年ジャンプで連載していた作品である。しかし、気づけばキャラクターの格好良さから、女性ファンが多く付き、ヲタク文化の中でも大きな二次創作ジャンルに育っていた。
女性のヲタクファンや、二次創作というものを忌み嫌う作者も多く、ハッキリと嫌だという人、影で言ってバレる人、酷い人では作品の中で罵しる人、もちろん喜んで受け入れる人、色んな人がいる。
その中で許斐先生は全てのファンを受け入れ、いつもファンを喜ばせようと常にしているのだ。グッズやゲームも女性向けも多くの販売されている。そして、そのグッズやイベントに許斐先生は積極的に関わっている。
「金を落とすんだから当然だろう」と思う人もいるだろう。
しかし、上記したとおり女性のヲタクファン、二次創作をするファンを嫌う作者もいる。そして、世の中には金を落とそうが、顧客だろうが、馬鹿にしている人は多い。
「こうしとけばお前ら金だすんだろ!」
「お前らこういうの好きだろ買えよ!」
このような態度の企業や商品を見たことは無いだろうか。
どんなにダメグッズでも欲しくなってしまうファンの心を見下した不愉快な商売の仕方だ。
もちろんテニプリのグッズで過去にそのようなグッズが無かったかと言えば嘘になるだろう。沢山の企業、沢山の担当者がこの作品に関わっている中で、顧客を馬鹿にした人はいるだろう。
しかし、それがあまり見えない、見えても買いたくなる、どんな変な企画でも応援しようと思えてしまうのがテニプリの凄いところであり、今までテニプリという作品に関わる人たちの「顧客に向き合う姿勢」に対するファンからの信頼がそうさせているのだろう。
その姿勢が顕著に表れているのが、今回のイベントでの許斐先生の「神対応」と言われたファンへの気遣いだ。
なんと
「外袋にサインが書かれたカイロ」が配られたのだ。
ファンやお客様から、搾取する事だけを考えている人や企業は絶対できないだろう。
何千ものカイロに、サインを書き配るなど。
このように作者自らが示す「顧客に向き合う姿勢」が、現場のスタッフや、ファンにまで伝わっていることが、テニプリという作品と、テニプリ関連のイベントが、こんなにも長くファンに愛され、新たなファンも獲得する、長期的に収益をあげるエンタメ作品となっている要因だろう。
「顧客と向き合う」ということはマーケティングの、商売の基礎基本であり、
その姿勢がファンを魅了する作品、イベント、商品、サービスを提供する手助けになっているのは間違いないだろう。
「必要だから、好きだから、嫌々お金を出す」ではなく
「必要であり、好きだから、喜んでお金を払う」
こんな商品サービスを作ることで、売り手も買い手もハッピーになる好例である。
他のエンタメ産業、ライブ、コンサート、アニメ、漫画、舞台、もちろんエンタメ産業以外も「喜んでお金を払う」とお客様から言って頂けるよう、真摯にお客様と向き合う姿勢を持ったマーケティング、商品作りをしていくべきだろう。
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