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T-Akagi
2022年1月3日 20:29
#20 開かない扉、差し込めない鍵 紫色の女は、不適な笑みを浮かべながらこちらをずっと見ていた。「ここから出して欲しいんだ。」 マークは懇願した。もう何だっていいから、ここから出たい。地上に出たい。その一心だった。「いいわよ。その代わりに…」「その代わり…?」「この扉を開いてちょうだい。」 紫色の女は、僕たちが開けられなかった扉を指差した。「それだけですか…?」「そうよ。
2022年1月11日 13:04
#21 二人の鍵 紫色の女が消え、再び静寂が訪れた。「とはいえ、まずこの扉をどうにかしないと…。」 その後も、鍵をどうにかして挿し込もうとしたがうまくは行かなかった。「マーク…。もう無理だよー。何でわたしたちがこんな目に…。」「もうちょっと待って。がんばってるから。」 鍵穴から向こう側を除いたり、何度も鍵穴に当ててみたりした。 もう諦めかけていた。 精一杯前向きに、レイニー
2022年1月16日 12:49
#22 森の魔女 目の前にいた紫色の女は魔女だった。 最初は捕まっている弱弱しい女性だったはずが、今ではその雰囲気が全くない。「じゃあ、もうここから出してくれよ。扉開けたんだから。」「そうよ。早く地上に出たいから帰ろう。」 二人は扉を出て廊下を再び戻ろうとした。「…そのまま帰すと思ったのかい。」 そう言いながら、廊下の向こうから魔女が現れた。 どうやって移動したのか。つい2~
2022年1月26日 15:47
#23 彼方からの使者 僕たちは言われた通り、鍵を火に当てることにした。「やるよ。終わったら…ここから出られるようにしてくれるんだろうね。」「…そうだね。望み通り道を作ってあげる。」 変な言い回しだな、と感じた。 それに、一切信用はしていない。 それでもやるしかない。 そう決心し、レイニーと共に鍵を握り、徐々に火に近づけていった。 炎は相変わらず煌々と燃え続けていて、鍵を赤く熱