見出し画像

「変化」するために一番必要なもの

(写真は中国万里の長城:2015年8月撮影)

アメリカでこんなジョークを聞いたことがあります。

ある神父さんが教会のオルガンを講壇の右側から左側に移動させることで、教会の人とぶつかってしまい結果的に辞任する事になったそうです。

ある時その教会に後任としてやってきた神父さんに出会ったそうです。
自分には何が起こったかを言わずに「オルガンは講壇の左側の方が良いと思いませんか?」と聞いたそう。

すると後任の神父さんが「私もそう思いましたよ。それで左側に移動させました。」前任者の神父は聞きました。「え〜どうやって左側に移したのですか?」

「毎日1cmづつ動かしたんですよ。教会の皆さん気づかなかったみたいで。」

変化をどれだけ人々が嫌うかについてジョークです。

変化に対する好き嫌い

変化そのものを好んでいるとは言い切れないのですが、変化に対してオープンだと自分では思っています。

変化のための変化に対しては、積極的になれません。

しかし、成長や発展のための変化は、ずいぶん積極的だと自分では考えています。

私のように変化に対して肯定的に受け止める人もいるでしょう。

もちろん、それがどんな変化によります、とおっしゃる方もいるでしょう。

しかし、今までの経験から、一般的に変化を嫌う人の方が多いのではないでしょうか。

そして、この傾向は日本だけではないように思います。

もちろん個人的な経験ですが、アメリカに住んで仕事をしていた期間も、思ったほど変化に肯定的な人はおらず、全体的には変化を嫌う人の方が多いように感じました。

アジア諸国でも、ヨーロッパでも同じような印象です。

変化を嫌うのは本能?

変化を嫌うというのは、現状を変えたくないということです。

つまり、現状維持バイアスが働いているわけです。

今の状態は既知であって、変化による未知の状態よりも、良いはずだと思ってしまうわけです。

変化はプラスではなく、既に知っている状態、制御コントロールされた状態、安定した状態を「失ってしまう」からマイナスだと考えるわけです。

考えてみれば、私たち人間は生物としては、気温の変化にそれほど対応できず、適切な環境でないと生きていけない生き物ですね。

生命維持に適切な状態をキープするために、様々な身体のシステムがバランスを維持しています。

ホメオタシス(恒常性維持機能)もそうでしょうし、習慣化に関連する脳の働き「馴化じゅんか」もその一つでしょう。

馴化についてはこちらに説明でしています。

そのように変化に対する抵抗は、私たちの思考の中だけではなく、私たちの内側に存在する生命維持装置のせいであるとも言えるのです。

つまり本能的なのでしょう。

変化に向き合うために

一日1cm、教会のオルガンが右側から左側に移ることなら、どうということはないでしょう(神父さんにはわるいのですがw)。

しかし、私たちの気持ちにはお構いなく、世界はものすごい速度で変化しています。

この変化に対して好き嫌いを言っていることはできません。

個人でも、組織でも、国家レベルでも対応せざるを得ません。

この時に必要なのは「危機意識」です。

変化をもたらさないようにしている本能的な機能は、生命を維持しようとしているわけです。

つまり、外的環境がここまで大きくしかも速いスピードで変化をしているわけですから、生命維持のためには「危機」となり、現状維持をすることが返って安定を失うことになると考えるようになります。

ですから、変化のプロセスの第一番目が「危機感を持つ」なのです。

アメリカで活躍なさった一人のコンサルタントがこう教えてくれました。

「いいか、僕らコンサルタントの役割は、法を犯さずにクライアントに危機感を持ってもらうことなんだ」

随分と乱暴なことを言うなと30代だった私は思いました。

四半世紀近く経った今は「危機感」を持たなければ、誰も、どんな組織も変わることができないと思うようになりました。

「危機感」を持って変化に向かい合いたいと思います。


最後までお付き合いありがとうございます。





「ひとづくり経営コンサルタント」髙澤健公式LINEはこちら↑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?