vol.076「誰にでも特技はある:あなたの会社は社員に『感情労働手当て』を払っていますか?」

誰にでも、特技、取り柄はあるもの。

「マイルールを勝手につくって宣言する。結果的にメンバーから一定の評価を受け、チームの雰囲気が向上する」
はそのひとつです。
取り柄というと大げさで、「大多数の人が、取り組みテーマと考えないことに焦点をあて、言語化してみる習慣」が正確な表現かもしれません。


前回の続きで、割り勘の話・前編です。
なぜ上司が多く払うべきなのか」について"言語化"してみます。


◆あなたの会社は「感情労働手当て」を社員に払っていますか?


こういった仕組み(システム、系)を手っ取り早く理解するための補助線として、目に見えるもの、たとえば「報酬を受け取っているのは、どちらか?」と考えるとわかりやすい。
(※以下、簡素化のため「部下」という呼称を用います)

もし、上司の機嫌に付き合わされることが「会社の公式ルール=職責に規定されている」なら、部下にその分の給料が支払われているはずです。
名づけるとしたら「感情労働手当て」とでもなるでしょうか。

感情労働(英: Emotional labor)とは、感情が労働内容の不可欠な要素であり、かつ適切・不適切な感情がルール化されている労働のこと。肉体や頭脳だけでなく「感情の抑制や鈍麻、緊張、忍耐などが絶対的に必要」である労働を意味する。

(Wikipediaより抜粋)

しかし、実際には支払われていません(すくなくとも私のいる会社ではそういった手当てはないです)。
おそらく99%の会社(サラリーパーソン型組織)では、上司(管理職)のほうが給料が高いはずです。

ということは、「部下が上司の話を、だまって我慢して聴く義務」はルールではない。正当な根拠のない「謎の慣習」だとわかります。

だとすれば答えは単純明快です。
歩み寄る/我慢する/話を最後まで聴く などの義務を負っているのは「給料を多くもらっている上司(管理職)」です。
けっして逆ではない。

なのに、勘違いするのは、
「自分には役職が付いてる」→「それだけ立場(身分)が上である」→「上の人間に合わせるのが正しい」
と錯覚するからです。

「管理職に対しては、個人の好き嫌いや感情で言動しないこと、預かりものである社員を私物のように扱わないこと に対して、あらかじめ多めの報酬が【先払いで】設定されている
という、基本的な構造を理解できてないからです。

◆映画なら途中で席を立てる。「上司との飲み」は席を立てない。

これらを踏まえて「上司との飲みの場」を分析してみます。

プライベートの時間をついやして、お説教や「昔の武勇伝」に付き合わされます。
「その話、何度も聴かされた」と「内容がちっとも面白くない」は、二大苦痛コンテンツです。

お映画館で上映作品が大ハズレだったとき、テレビ番組が前にも観たもので面白くなかったとき。途中で席を立つか、チャンネルを替えるか音量を下げるか。対策を講じることができます。

ところが「仕事が終わったあとの、上司(管理職)との飲み会」では、それができません。(注:前にも触れたように、私は平気で途中で帰ったり、最初から明るく断ったりします。)
なのに「二大苦痛コンテンツが、同時発生」だったりするわけです。

席を途中で立つわけにいかず、チャンネル(話題)を変えることも、音量を下げることもできない。「ザ・苦行」以外のなにものでもありません。

前に読んだコラムに、「相手が上司・先輩なら『自慢かよ!』とツッコミを入れられるけど、部下・後輩は、何も言えません」という意味のことが書かれていました。ほんと、そのとおりです。

飲み会なり懇親会に参加者が集まらない、減ってきている説明として、
「今の若い世代は、お酒を飲む習慣がないですからね」
「みんながみんな、飲み会を好きというわけではないですよ」
「仕事とプライベートを分けて考える時代になったよね」 
という言い方を聞きます。

正確には、
【あなたと】飲むのは好きじゃない
と受け止めたほうがいいです。

お説教。長話(ながばなし)。昔の自慢話。自分だけが面白いと思ってる話。
いや、まったく耳が痛い。胸に手をあててみて、心当たりがあります。自分を律する万全の自信はありません。

自律する確証がないときは仕組み化です。それが、「飲み会に関するマイルール」でした。

チームメンバーに宣言して、着任時のオリエンテーションで、紙に書いて渡す。または、職場の壁の目につくところに、A3で印刷して貼り出したりしていました。(ほかのルールも含めて箇条書き)

◆自律する確信がないのなら「仕組み化」だ。


「貼り出しておく」は、効果的な手段です。

自分(管理者)よりも役職が上の人が来たときに目にとまり、声に出して読まれる。引っこみがつかなくなります。
または、一対一だと気が大きくなり、横柄な態度(例えば なかったことにする)に出る人間でも、「全員に知れ渡ってる」とブレーキが効きます。

※パワハラやセクハラが起きるのはしばしば、一対一のとき。全員に知られてる見られてる(衆人環視)よりも起きやすい。このテーマはまた別の記事で整理してみます。

自分を縛る鎖としてきわめて有効に働きます。いじられて話題(笑い)のネタにもなるから、一石数鳥、と言っていい。

「飲み会に関するマイルール」を宣言して壁に掲示している管理職は、現在のところ、私以外にまだ出会ったことがありません。


前回・今回の記事は、師のひとりと「得るもののない飲み会に行くか断るか(つるむかつるまないか)」という会話になったところから、過去のストックメモをもとに再整理してみたものです。

最後までお読みくださりありがとうございます。


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