しゅお-SVRライバー

脳内映像の発露。美の錬成。未知の開拓。 YouTubeページへは▶️アイコンをクリック。…

しゅお-SVRライバー

脳内映像の発露。美の錬成。未知の開拓。 YouTubeページへは▶️アイコンをクリック。 何かございましたらお気軽にご連絡ください。 syuoxv@gmail.com

最近の記事

  • 固定された記事

ジ愛のオプティミズム 第一章・異様な救済

第一章・異様な救済 波の音が聞こえる。  修学旅行で泊まったホテルは海のそばだった。  空が白み始めた頃、俺はホテルの敷地から少し出たところの岸壁にいた。すぐ下にはビーチと、その向こうに水平線が見えた。  起床時間まででもいいから、少しでも一人になる時間が欲しいだけだった。同室のクラスメイトたちにとっても、扱いに困る俺のいない時間を少しでも満喫して欲しかった。  彼らはまだ寝ていたから、それをありがたがることはないのだが。  不意に眼下で、バシャッという音と共に、海面に消えよ

    • ジ愛のオプティミズム 外伝(第四章)・サムライガールと息づく森 *単話としてもお読みいただけます

      第四章・サムライガールと息づく森 バイクの排気音以外に聞こえる音がない。対向車もない、道行く人もいない。  深夜から走っていたから少々非常識な時間に着いてしまったかもしれない。騒音を危惧するが、カーナビ代わりに取り付けられたスマートフォンには午前10時40分と表示されていた。  さすがにもう村人も起きている時間だろう。俺は安堵して、Vツインエンジンの小気味良い鼓動感を感じながら村の家並みを眺めた。  坂を登り切ったところでバイクを路肩に寄せ、目的地の正確な位置を見ようと地図ア

      • ジ愛のオプティミズム 第三章・セイレン=アセンション *最後ラクガキされていました

        第三章・セイレン=アセンション 社員旅行は、会社の経費で賄われる。  それは節税効果があるということだが、会社の業績が良くないと、節税しようという発想にはならない。  つまり当期の我が社は業績がいいのだが、それが分かるのはほぼ業績の見込みが確定する期末決算直前である。  従って、社員旅行の開催を間近に控えた今は、期末決算直前の繁忙期でもあるのだ。  俺は大量のタスクと、主に上司から飛んでくる罵詈雑言ノイズに囲まれつつ、とある行動を開始した。  上層部と同僚たちに、上司の態度に

        • ジ愛のオプティミズム 第二章・シークレッツ

          第二章・シークレッツ 初めて観る『幻燈館』の劇場での上演は、俺の知るどの演劇とも映画とも、少し違っていた。  舞台に、ときには客席にも、あらゆる風景や人物が突如として現れ、彼女もその一員となって物語を紡ぐ。  その情景はどれも幻想的で、神秘的で、郷愁を誘った。 「さて、どうだっただろうか、今の物語は。感想などあれば言ってくれ」  上演を終え、舞台端に腰を下ろした彼女は、そう問いかける。 「え?感想ですか?」  この劇場で唯一の客席、玉座を思わせる豪華絢爛な椅子に座っていた俺

        • 固定された記事

        ジ愛のオプティミズム 第一章・異様な救済

          幻想と情景の文学『歩く』

           少女は春のうららかな日差しによって目を覚ました。  優しい光が瞼を気持ちよく開かせる。視界は白くぼやけるが、眼前は広く、どこかの高台らしかった。遠くの山々の輪郭と、太陽であろう光源がうっすらと映る。  下を見遣ると、辺り一帯に白く霞が敷かれていた。霞の下は落ち窪んだ緑色のグラデーションで、その中にくねくねとした土色が見える。  くねくねが段々と消えていく。それがたくさんの人々の頭に塗り潰されているのだと気づく頃には、ザワザワと声らしきものも微かに聞こえ始めた。  人々が

          幻想と情景の文学『歩く』

          【感想考察】映画『君たちはどう生きるか』宮崎駿のメッセージあった?【ネタバレ】

          見た後 ・何をやっているかは分かったし(浅いかもしれないが)、好きな映像のシーンもあったけど、得たものはなかった。  ↓ 一晩考えて ・これはすごく希望に溢れた映画とも言えるのではないか。 宮崎駿さんがこの映画を通して何を言っているのか。 初めはあまり、少なくとも私に対しては有意義な作品ではないと思いましたが、だいぶ消化できたので感想を書いていきます。 (文体も流れもぐちゃぐちゃですごめん。) 好きだったシーン・波を越えるシーン。 「姉妹波が来る、これを越えると穏やかにな

          【感想考察】映画『君たちはどう生きるか』宮崎駿のメッセージあった?【ネタバレ】

          ―幻燈館の追憶― 上演作品3『最果て行き特急列車』

           こんばんは。  今宵紹介するのも、私が幻燈館で観た物語の一つです。  これは結構長い話だったのをよく覚えています。たしか途中に休憩を挟んだような気がします。  そのため文章に起こすにあたっても、見やすいかと思い章分けをしてみました。  どうぞお付き合いいただきますと幸いです。 幻燈館上演作品3・最果て行き特急列車 (文章化にあたり、独自の解釈が含まれる場合があります) 序章  家族がいなくなり、学校を辞めた僕は、家具を全て売り、富士山でボランティア活動をするために特

          ―幻燈館の追憶― 上演作品3『最果て行き特急列車』

          【ワンピース】ONE PIECE FILM REDを若干テクスト論的な考察で解釈する【今更アマプラで見た】

          はじめに ワンピースの映画は、ねじ巻島の冒険とデッドエンドの冒険は子供の頃に見たことがあったと思う。  私はキャラクター愛はそこまでないため、単に「許さねえ」「ぶっ飛ばす」以上の心情を感じ取れないキャラ見せメインの映画ではないのかと怪しみ、ワンピースの映画は長らく見ていなかった。  また子供向けにありがちな、分かりやすくするための表現がもはやオーバーすぎてクサいと感じてしまう(ようになってしまった)。  その点、副作用で感情の起伏が激しいという設定はなかなか面白かった。子ども

          【ワンピース】ONE PIECE FILM REDを若干テクスト論的な考察で解釈する【今更アマプラで見た】

          ―幻燈館の追憶― 上演作品2『エデン』

           こんばんは。  今宵も私が幻燈館で観た物語の一つをご紹介できればと思います。  そこのオーナーは子どもの頃山奥で暮らしていたそうで、そこで出会った仙人のような老人から聞いた話とのことです。  彼女はこの話を、その山の老人の経験談ではないかと言っていました。  私自身、この話の言わんとしていることは最近なんとなく分かってきたに過ぎませんが、あなたはいかがでしょうか。 幻燈館上演作品2・エデン (文章化にあたり、独自の解釈が含まれる場合があります)  また夢を見た。  俺

          ―幻燈館の追憶― 上演作品2『エデン』

          ―幻燈館の追憶― 上演作品1『一角獣』

           この文章を読んでくれている皆様、こんばんは。  今宵あなたにご覧いただくのは、私が幻燈館という映画館だか小劇場のようなところで観た上演作品の中の一つです。  そこのオーナーもまた昔に口述で聞いた話だそうですが、今度はそれを私が文章で、手法を変えながらお伝えしていくことになった次第です。  このページに初めて訪れてまず最初に気になるのは、 『どこまでが事実でどこからがフィクションなのか』ということではないでしょうか。  そういった疑問に、これからご覧いただく物語はまさにぴっ

          ―幻燈館の追憶― 上演作品1『一角獣』