「茶」の歴史②   陸羽の『茶経』:中国

日本で茶道といえば、一般的に千利休を思い出すが同じように中国では茶道の元祖として「陸羽」の名が広く知られている。この陸羽の著書「茶経」は世界最古の茶道に関する古典だといわれている。

茶経の内容は次のとおりである。
(一) 一之源  茶の源
(二) 二之具  茶をつくる具
(三) 三之造  茶の造りかた
(四) 四之器  茶器について
(五) 五之煮  茶のたてかた
(六) 六之飲  茶の飲みかた
(七) 七之事  茶の記事
(八) 八之出  茶の産地
(九) 九之略  略式の茶道
(十) 十之圖  茶の圖

 「茶経」 一之源

  茶之為用、味至寒、為飲最宜、精行儉德之人。

  茶の効用は、味がいたって寒である。飲用として、行い精れ倹徳な人に最もふさわしい。

千宗室編、『茶道古典全集第一巻』1956、淡交社。

倹徳とは「身を慎ましく保つ徳。質素、倹約にすること」であり、この倹徳が日本茶道の精神の根源となっているとも言われている。


陸羽(733〜804)
復州竟陵県(湖北省天門市)の人。西湖のほとりに捨てられていたのを龍蓋寺の智積禅師が拾ったと言われている。のちに竟陵の太守・李斉物、湖州の刺史(長官)、書家・顔真卿に仕え、辞書「韻海鏡源」の編纂にも従事した。
陸羽の唱えた茶道は、団茶の方である。この団茶の造り方、煮方、飲み方の三事と、それに使用する道具のことを委く述べている。


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