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趣味の読書003_あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠(キャシー・オニール)と測りすぎ(ジェリー・Z・ミュラー)

同じテーマを似たような感じで斬っている本を、2冊連チャンで読んだので、2つ一緒に読書感想文を書いてみよう。前者(以下、Math Destruction)は元の"Weapon of Math Destruction"という名前のほうがカッコいい。日本語訳では「数学破壊兵器」という直訳になっていて、"Mass"のニュアンスが落ちているのが、ちょっと残念。 両方とも主にアメリカの、データ計測が社会にもたらした歪みを、具体例を交えつつ描いている。Math Destructionのほ

    • 趣味のデータ分析084_出生率減少の原因は何か?①_期間TFRの要因分解

      ※長くなりそうなのでテーマを分けた。 出産、婚姻、所得の相関関係を見るという名目で、しばらくいくつかのデータをみてきたが、相関関係は「いつから」というのが重要である。仮に若者の所得(の減少)と、出生率や婚姻率の減少≒期間合計特殊出生率(期間TFR)の減少が相関しているなら、それは前者と後者の影響の程度と起点が、ある程度揃っていないといけない。 というわけで、今回は、TFRの減少の要因を確認したい。 前回、子ども3人がほしいなら20代での出産が望ましい可能性があるが、35歳

      • 趣味のデータ分析083_金があれば子どもを産むか?④_若い母は子沢山か?

        080~082まで、所得と子ども数の関係について整理してきた。今回は、主に女性側の年齢と子ども数について確認したい。子どもを多く生む女性は、若い頃から出産を経験しているのだろうか?つまり、出生率の向上には、若い女性の出産が重要なのだろうか? 母の年齢と子ども数子どもを多く生むには、特に女性において、第一子を早く産まねばならない。妊娠期間が1年弱あり、産後の肥立ちが軽いわけではない(対他の哺乳類比)人類が、限られた妊娠可能期間中に多くの子どもを出産するには、出産年齢が早い必要

        • 趣味のデータ分析082_金があれば子どもを産むか?③_金の問題じゃない(かも)

          081では、夫婦の理想の子供数、予定子供数の推移についてデータを確認した。結果、以下のことがわかった。 ・理想子供数はやや漸減しているが、予定子供数との差は縮小している(理想と予定が合致していっている) ・予定子供数を持てないと感じている女性の割合は不変 ・理想子供数の構成比は、34歳以下は2人~3人で全期間で概ね変わらないが、35歳以上では3人から2人に減少している。 ・予定子供数の構成比は、34歳以下でも35歳以上でも変わらない。 グラフとしては以下のようになっていた(

        趣味の読書003_あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠(キャシー・オニール)と測りすぎ(ジェリー・Z・ミュラー)

        • 趣味のデータ分析084_出生率減少の原因は何か?①_期間TFRの要因分解

        • 趣味のデータ分析083_金があれば子どもを産むか?④_若い母は子沢山か?

        • 趣味のデータ分析082_金があれば子どもを産むか?③_金の問題じゃない(かも)

          趣味の旅行001_アーメダバード(2023年3月)

          写真の供養がてら、旅行のメモでも残しておこうと思う。今回は旅行じゃないけど。実際は、2022年にアーグラに行った際の写真から残っているのだが、この際に行ったフルムーン・タージ・マハルの写真が、ちょうど残っていないので、いまいちパンチがない。まあ、それ自体は結構つまんなかった。タージ・マハルを遠目に見れるところまでは行けるのだが、本当に目の前までは行けなかったし、何より天気が悪かった。一応月とタージ・マハルの合わせ技は見れたし、タージ・マハルが、夜に赤っぽく浮かび上がる雰囲気は

          趣味の旅行001_アーメダバード(2023年3月)

          趣味の読書002_山椒魚戦争(カレル・チャペック)

          チェコのSF作家で、ロボットという言葉を生み出したことで有名な、カレル・チャペックの代表作の一つ、「山椒魚戦争」。原著は第二次大戦直前の1936年で、1978年に現行の日本語訳が出版、私が借りて読んだ本は、1998年出版の早川書房のものと、まあ大概年季が入っている。 すでに早川書房でも絶版なのか、オンラインでちゃっと調べた限りは、早川書房版の前の岩波文庫版、さらに言えば、グーテンベルク21の翻訳版のほうが入手しやすそうだ。グーテンベルク21は、翻訳が更に古いバージョンだし、そ

          趣味の読書002_山椒魚戦争(カレル・チャペック)

          趣味のデータ分析081_金があれば子どもを産むか?②_子どもの予定は変わってない

          080で、婚姻、出産と所得の関係の関係を、既存データで概観してみた。そこでは、既婚者については、子どもの数と所得には明確な関係はない、具体的には、子どもが1人でも3人でも、所得には変わりがないことが分かった。また、未婚者の少なくない割合が、結婚の障害や独身である理由に資金面を挙げていることも分かったが、それは1990年代前後からの継続的な事象であり、足元でそうした理由を挙げる者の割合の増加傾向等は窺われなかった。 今回は引き続き、既婚者が子どもを持つ判断において、資金面がどの

          趣味のデータ分析081_金があれば子どもを産むか?②_子どもの予定は変わってない

          趣味の読書001_百年の孤独(ガルシア・マルケス)

          百年の孤独が文庫化された。正直なんで今更?という感じだが、「文庫化すると世界が滅ぶ」とか言われていたらしい。絶対Xでネタにしていた人がごく少数いただけだと思うけど。 まあ、今更百年の孤独の内容についてくだくだ書くことはない。日本語では、焼酎の名前で検索が非常にやりにくい(ちなみにガルシア・マルケスも、同名のファッションブランドがあって、昔は検索がやりにくかった)という問題はあるのだが、英語でもスペイン語でも解説は腐るほどあるし、日本語でも、下記のようなわかりやすい解説はいく

          趣味の読書001_百年の孤独(ガルシア・マルケス)

          趣味のデータ分析080_金があれば子どもを産むか?①_結婚の障害は金(昔から)

          これまで出生率や子どもを持つこと、結婚することへの考え方など、色々分析してきた。そのなかで、一番の問題意識は「お金と子どもを持つことの関係」であった。例えば041、042、043では、その前段として、結婚と出産の関係について分析したりした。問題意識の詳細についても、042の前段でうだうだと書いている。 まあその後関心の変遷等もあって、「お金と子どもを持つことの関係」についてはあまり取り扱ってこなかったが、そろそろ一度、真面目にデータを揃えてみてみたい。ここ数十年の出生率や婚姻

          趣味のデータ分析080_金があれば子どもを産むか?①_結婚の障害は金(昔から)

          趣味のデータ分析079_弱男 vs 弱女⑪_弱者生息マップb

          弱者男女についてこれまで所得や年齢別に、弱者男女間での格差がなくなってきていることなど、色々と分析してきた。そして前回は、弱者男女の地理的分布の状況について、前処理を行ってみた。そこでは、未婚率や未婚者の平均年齢について、西低東高が発生していることが確認できた。その絶対差はともかく、地理的な何らかの分布の傾向があることが窺われる。また平均所得については、東京は圧倒的で、都市地方というより、東京対その他、という感じだった。 今回は、これらの前処理を前提に、実際の弱者男女の分布状

          趣味のデータ分析079_弱男 vs 弱女⑪_弱者生息マップb

          趣味のデータ分析078_弱男 vs 弱女⑩_弱者生息マップa

          071~077にかけ、日本全土の未婚低所得者――弱者男女についての分析を進めてきた。これまでの分析では、日本全体のデータを使用していたが、今回は、都道府県別の分析を行っていきたい。つまり、弱者生息マップの作成である。ちなみにデータ制約上、2022年に絞った分析となる。 そして今回は、Google Chartによる色分け地図でデータを示すということに挑戦してみた。 都道府県別の配偶関係、年齢、所得分布当然ながら、当道府県別に配偶関係も年齢も所得も、その平均は異なる。例えば地方

          趣味のデータ分析078_弱男 vs 弱女⑩_弱者生息マップa

          趣味のデータ分析077_弱男 vs 弱女⑨_弱者は高齢化しているか

          073~076で、弱者男女(要するに未婚低所得の者)、そしてそれ以外のレイヤーの30年の歴史を概観した。結果として、以下のことが判明した。 【弱者の動向】 ・人口は経時的にも男女間も大きな変化なし。 ・構成比は女性のほうが多いが、差は縮小傾向。 ・弱者男女内での平均値、中央値は、男女格差があったものの、差は大幅に縮小(データによっては消滅)。 【弱者以外のレイヤーも含む全体】 ・男女ともに、未婚者の増加を除けば、弱者、強者、その中間層の人口比率等に変化はあまりない。 ・所得

          趣味のデータ分析077_弱男 vs 弱女⑨_弱者は高齢化しているか

          趣味のデータ分析076_弱男 vs 弱女⑧_弱者と強者の構造推移

          前回まで、弱者男女間の量的質的差異について分析し、以下のような結果を得た。 ・人口は経時的にも男女間も大きな変化なし。 ・構成比は女性のほうが多いが、差は縮小傾向。 ・弱者男女内での平均値、中央値も、男女格差があったものの、差は大幅に縮小(データによっては消滅)。 弱者男女間の差異は、平成の時代は、特に質的に一定の差があったが、漸次縮小し、令和に至ってほぼ消滅したといえる。 さて、これまでの分析は、表題通り弱者=「未婚」の「低所得者」を対象としてきた。だが、当然ながら、世の

          趣味のデータ分析076_弱男 vs 弱女⑧_弱者と強者の構造推移

          趣味のデータ分析075_弱男 vs 弱女⑦_弱者男女の30年史c

          前回は、配偶関係別所得別の所得分布を時系列で示し、さらに中央値と平均値の推移も時系列で示した。結果、以下のことが分かった。 ・男性は未婚その他含め、1997年をピークに中央値、平均ともに2012年にかけ減少し、その後回復傾向にある。ただ、2022年時点でも、1997年レベルには回復していない。 ・女性は、1997年以降2012年まではほぼ横ばいではあるものの、中央値、平均ともに、総じて上昇傾向にある。 今回は、これまでの分析をベースに、弱者男女を改めて定義したうえで、弱者男

          趣味のデータ分析075_弱男 vs 弱女⑦_弱者男女の30年史c

          趣味のデータ分析074_弱男 vs 弱女⑥_弱者男女の30年史b

          前回、弱者男女の数や割合について、時系列で追ってみるという試みを始めた。弱者男女とは、要するに未婚低所得の男女を指す。 色々統計上の問題もあるのだが、結果、15歳以上無職込みのデータで分析すると、未婚男性については、所得階層別の数や割合について、時系列で大きな変化はなさそうだが、未婚女性については、高所得方向に分布が移り変わっていることが示唆された。 今回は、無職を除いた場合のデータをまず分析することから始める。 所得分布の時系列変化・無職抜きさて、なぜ無職抜きとするかとい

          趣味のデータ分析074_弱男 vs 弱女⑥_弱者男女の30年史b

          趣味のデータ分析073_弱男 vs 弱女⑤_弱者男女の30年史a

          069~072で、2022年時点で、弱者男女のどちらが多いか、また彼/彼女らの所得がどのようなものかを分析してきた。結果として、弱者男女は数も割合もその分布も、かなり似通っていることが判明した。 さて、これまでの分析は、就業構造基本調査の性別配偶関係別所得別のデータをベースにしつつ、学歴(在学か卒業者か)を仕分け、さらに国勢調査で無職の補正を行う、という面倒なことをやっていた(ついでに言うと、国勢調査ではなく就業構造基本調査内で無職データが取得できることも後で判明した。まあ

          趣味のデータ分析073_弱男 vs 弱女⑤_弱者男女の30年史a