【適応障害/うつ】休職中に読んだ本と有意義な過ごし方

ーー休職期間は静穏と焦燥が入り混じる。

「うつ」を診断されてから早数ヶ月。
基本的に日々を睡眠・ゲームで過ごしていて、外に出るのは1週間に1回の精神科に往診だけ。
''普通''に過ごしていれば参画していたチームのプロダクトがそろそろリリースされる時期なので、ダメだと分かっていながらもSNSをチェックしてしまい、ifの世界を時々惜しむ。
困ったことに考える時間だけはたくさんあるので、過去・現在・未来の自分の人生、そして嫌なことをしてきた上司や、小学校の同級の思い出まで頭に浮かんでは気持ちを撹乱させている。

一般的に休職期間は「さあ、今からゆっくり休んで心を整えよう」という意味で与えられている。給与の3分の2が補填されていて、贅沢を言わなければ生活に困ることはない。最大18ヶ月のお休みをもらえると聞いたとき、「この自由な時間を何にしよう」と(不謹慎だが)少しワクワクしたし、「静かな温泉に行って療養しようかな」とか思っちゃったり、はたまた「資格とか勉強して復帰した後にみんなを驚かせることができるんじゃないか」と可能性を感じた。
突然降ってわいた人生の空白期間は、私生活を犠牲にして働き続けた自分に神様が与えてくれたご褒美だと思った。せっかくなら好きな人に会いに行ったり、行きたいところに行こうと思った。

しかし、休職は苦しい。病院で溶けていく医療費はバカにならないし、18ヶ月というタイムリミットに一日いちにち近づいている。
終日寝て過ごす日や、朝から躁になって活動したあとで再起不能になったりする。精神科からもらった薬はちょっと強くて、飲んだ後は頭にモヤがかかった気がする。睡眠薬をもらっているのに眠れない夜を幾度も過ごし、カーテンの隙間から日が差し込むたびに絶望をする。容赦無く私以外の大人には朝が来る。
今日も何もできなかった……という日々が何ヶ月も続く。

休職というのは心の休息期間と位置付けられている割に、考える時間ばかりがあり、周囲と自分を比較しては落ち込む。
数日前、適応障害で休職していた女優さんが復帰を果たすというニュースが流れ込み、また、自分だけが取り残されている気がした。

そんなわけで、HSP気質の「周囲からどう見られているか」を気にするタイプは、休職期間で自己肯定感が下がり、より精神衛生も悪化するということもあるらしい。

今回は、私が休職中に読んでよかった本を紹介する。

1、ブラック企業から身を守る!会社員のための「使える」労働法

はっきり言おう。
あなたたちは会社の奴隷じゃない。
会社が違法行為をしたら、
それは会社に責任を取らせるべきなのだ

休職してから一番最初に読んだ本。
法律の知識がまったくなかった私でもすごくわかりやすかった。
「私だけズル休みしてる」みたいな罪悪感がずっとあったけど、この本を読んで、「あなたがやっていることはなんっっっも問題ないんだよ」と背中を押してくれた気がする。

これは、ブラック企業に勤めてしまった人が一番はじめに読む【入門書】のような位置づけの本らしい。Amazonの商品レビューの「元ブラック企業」の人の声も熱い。

ちなみに、これをメルカリで購入した時、販売主さんが本当にいい人だった……(涙)

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2、ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 

就活生の最大の恐怖「ブラック企業」。大量採用した正社員をきわめて劣悪な条件で働かせ、うつ病から離職へ追いこみ、平然と「使い捨て」にする企業がそれ。誰もが知る大手衣料量販店や大手家電メーカーの新入社員集団離職など豊富な実例を元に、「ブラック企業の見分け方」「入ってしまった後の対処法」を指南。社会の側の解決策まで視野に入れた、決定的な1冊。

1、と同じ今野晴貴(ブラック企業という名前を世に広めた第一人者の方)の本。
先の本は労働法がメインだったけど、こちらでは「どうしてブラック労働ができているのか?」という歴史的な深掘りをしている。
「あー、これ、私の会社のことだ!!」ということが多すぎて、「私ごと」から「日本社会のこと」に置き換えられて、自分と似た仲間がたくさんいることを知れた。この本は、そんな<私たち>に直面する問題の解決策が提示されて散る。読んだときは目から鱗だった。

3、エンパワメントと人権: こころの力のみなもとへ

上記二つは「声を上げなければ会社は変えられない」というメッセージ性が強い。
休職したばっかりで、まずは心の平穏を取り戻してから、その後のことは考えたいという人にオススメなのはこの本。
自己肯定感が爆あがりする処方箋
休職に追い込まれたということは、多かれ少なかれ、自尊心を傷つけられたり、人間として扱われないといった経験をした人も多いのではないか。
そんな人に、この本を読んで、自分がうちに秘めていたエネルギーを取り戻してほしい。

4、マスコミ・セクハラ白書

「胸触っていい?」「抱きしめていい?」
テレビ朝日の女性記者に対する財務省幹部のセクシュアルハラスメント事件は、世間に大きな衝撃を与えた。しかし、この記者を自分と重ね合わせた女性たちがいた。声なき声をすくいあげ、社会に届けるジャーナリズムに携わってきた多くの女性記者たち。彼女たち自身が、声なき声の当事者だったのだ。

複数人のマスコミ従事者によって執筆されている実体験をベースにした本。マスコミだけでなく古い文化が残っている企業にいる女性なら共感できる一冊。
フラッシュバックには気をつけてほしい。
中には「キツかったけど、私は頑張ったから出世した!!!」という辛い→努力→克服という道を辿れるキャリアウーマンの方のコラムもあるので、時々無理解な上司に出会ったときと同じ気持ちになる。

私の場会は、池田鮎美さんの文章が自分の状況と似ていて、心が締め付けられる思いになった。彼女は会社を辞め、今はフリーで働いているらしいのだけど「こんなに心がまっすぐで正義感がある人が生き残れない社会って……」と、会社を辞める選択をしていても尊敬できる人はいるんだなと勇気をもらった。

まとめ

もちろん、上記のような実用書の他にも、映画や音楽、小説などフィクションの世界にも救われた。しかし、私にとってのフィクションとは「もう何もできないときに救いを求めていく祈りの部屋」みたいなもので、そればっかり摂取しているとうちに篭った部屋から出られなくなる。
「心の傷を癒すためには心の傷と向き合うと決める」というプロセスから始まる。

今はコロナウイルスが蔓延していてなかなか人に会いに行ったり、信頼できる人に愚痴ったりすることは難しい。それでも、自分に寄り添ってくれる本が寄り添ってくれる。

休職期間はまだ始まったばっかりだ。これから旅や資格勉強ができるまで回復できるかわからないが、静穏と焦燥が入り混じるこの期間にたっぷりと知識と心の栄養を蓄えることが、心の傷を癒やし、有意義な期間になるのではないかと期待している。

これ読んでいる休職中の方へ

知識を蓄えなければ戦えない。
これを読んでいる人で休職中の方はこれから、復職をするか、転職をするか、アルバイトをするか、わからないだろう。私も分からなくて、五里霧中の最中だ。
休職をしたということは、ちょっとHSPの片鱗があったり、ホモソーシャルが苦手だったり、日本型の社会に向いていない……なんてことないだろうか?
長い目で見て労働について学び、自分の心をエンパワメント(=自信を与えること)することは、今後の労働人生に置いて、自分だけではなく、周りの人の人生もより良いものにすると思う。

上記の本が、休職中のもやもや解消の一助となれば幸いだ。

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