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人事管理の鍵を握るのは現場の管理職である(インプット備忘録7−2)

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

更新1週間ぶりになってしまいました…
今週は毎日出社で忙しかったのです…(′・ω・`)
(なぜ忙しかったのかは次の記事にて…)

さて、今日は前回の続き。
東京労働大学の講座で学んだ内容を記事にしていくということで、
人事管理のお話、後編です。

前編はこちら↓

【前回のまとめ】
2人以上の組織においては、事業に必要な労働サービスを充足させる人材の確保、モチベーション維持といった「人事管理」という機能が必要になる。
対象が人間である以上、いくら必要なスキルを持っていても環境やモチベーションが揃っていなければその力はうまく発揮されない。
人事管理の理想形は、方針だけを渡して、本人たちが自分たちで考えて動いている状態、すなわち「管理しなくていい状態」と言える。

本記事では後半として、人事管理のキモになる現場(あるいはラインとも言う)の管理職について書いていきたいと思います。

◾️人事管理をメインで担うのは現場の管理職である

人事管理では、働く人たちが自分の能力を活かそう、あるいは能力を伸ばそうと意欲的に取り組むような働きかけをすることが重要です。

これは人事部による制度見直しや採用基準の精査だけではなく、働く人たちへ日常的に期待を伝えたり裁量を与えたりといった、現場レベルでの取り組みが不可欠です。

一方、「管理職」は部下が成果を出すことを通じて自らに課せられた成果を出すことが求められます。
自分で動いて業務を回して成果を出すのはプレイヤーまで。
管理職、マネジメントの本分は部下が成果を出すための働きかけをすることです。
具体的には以下のような役割が求められます。

◆部下の役割支援:
 職場における部下の役割を管理職側がまず理解し、部下本人が理解できるように意味・意義を説明する。
◆部下の職業能力の維持・開発支援:
 部下が仕事をする上で必要な能力を伸ばしたり維持するための手助けをする。
◆部下の仕事意欲の維持・向上:
 部下が仕事への意欲を保てるように直接的/間接的に働きかける。

とすると、管理職の役割とはまさに現場レベルでの人事管理と言えるのです。

よく転職サイトで見る「転職理由」の上位に来るのが「職場での関係性」「上司との関係性」であることからも、現場の管理職がメンバーに及ぼす影響力の大きさがわかります。

◾️管理職における「ヒューマンスキル」の需要性

人材開発の界隈では有名なカッツモデルに沿って考えると、管理職には次の3つのスキルが求められます。

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◆コンセプチュアルスキル:複雑な状況を分析・判断する能力
◆ヒューマンスキル:他者との関係性を築く能力
◆テクニカルスキル:特定の業務を遂行するために必要な能力

カッツモデルでは、経営層などのトップマネジメントになればなるほどコンセプチュアルスキルの比重が上がる、とされています。
ヒューマンスキルの比重は、実はさほど変わりません。

ですが、昨今の世の中の状況を見ると、ヒューマンスキルはむしろその重要性・難易度が上がっていると言えるかもしれません。

ヒューマンスキルをもう少し噛み砕くと、他者の価値観や生活背景を理解した上で育成したり仕事を任せたり、それらのプロセスを通して他者と協調して仕事をする能力と言えます。

今までは働く意義、働き方が画一的だったことに(世の中全体としては)違和感がなかった。
みんな会社のために働いて、仕事に自分のリソースの大半を割いて、それでよしとされてきた。

ところが今はそうではない。
ワークライフバランス、ダイバーシティ、働き方改革など、多様な価値観、背景を持った人たちが協働していくことが声高に叫ばれています。
自分と異なる価値観、思想を持つ人が部下になることも珍しくない状況で、管理職に求められるヒューマンスキルのレベルはじわじわと上がっているのです。

◾️人事部の役割は「管理職の人事管理をサポートすること」

加えて、管理職の大半はプレイング業務も引き続き担っている場合が多いのも実情です。

多少の引き継ぎはしたものの、自分の業務をこなしながら部下の面倒も見て……
しかも今は自分が若い時とは違って、長時間働いちゃいけないし、プライベートも大事にしたいという部下の意思を尊重しなきゃいけないし……
ていうか自分だって父母の介護とか色々考えなきゃいけないし……

というように、管理職が担っているものがあまりに多すぎて、本来の役割遂行を阻害している状況が色んなところで起きているのです。

この状況を打開するためには、管理職と人事、それぞれに変革が必要です。

【管理職がやるべきこと】
✔︎今の世の中に合わせた働き方のインストール
 →これまでの自分の働き方を一度手放し、ワーク・ライフ・バランスを前提とした働き方を管理職自身が模索し体現していく。
✔︎従来の“望ましい上司像”の変革
 →一人ひとり違う考え方、価値観を持っているんだと言うことを前提に、勝手に判断したり決めつけたりせずにまずは相手の話を聞く。部下と伴走していくというスタンスで関わる。

【人事がやるべきこと】
✔︎全社的な制度・仕組みの見直し
 
→管理職登用基準の明確化やワークライフバランスの推進を全社的な取り組みとして行うことで、会社からのメッセージを発信する。
✔︎管理職へのスキル習得の機会提供
 
→メンバーとの面談、傾聴、目標設定にまつわる知識やスキルを習得するための研修を実施したり、自己啓発を促す施策を行う。

現場の管理職自身が自分をアップデートしていく、
一方で人事側ではそのサポートをしていく、
こうした両者での取り組みのサイクルを回していくことで、少しずつあるべき人事管理の形に近づけていく努力が必要なのです。

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よっっっぽどの天邪鬼でない限り、誰だってやりがいを持って仕事がしたいし、自分は誰かの何かに貢献しているって思いたいし、一緒に働く仲間と良好な関係を築きたいと思っているはずで。

ところが、忙しさに追われたり、自分の能力を補えなかったり、色んな事情でそれが叶わず、苦しみ悩む現場もたくさんあるんだと思います。

人事が全社的な義務と権利を持っているのは、現場でのマネジメントがうまくいくように働きかけるためのものであるんだと、改めて心に刻んだ講座でした。

それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)

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