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答え合わせもできずに。

きっと、彼女は愛想が尽きたんだ。

忙しくしていて、連絡が途切れ途切れになっていく私に、彼女は徐々に。

週末にやりとりするメールも、どこか言葉尻を勘ぐって、深読みをして、ギクシャクするようになった。

そんなつもりで言ったんじゃない
どうしてそう言うの?
どうせあなたは
そんな風に思ってないよ
わたしなんて
ならどうすれば

彼女との会話は、徐々に噛み合わなくなっていくのに、それを修正する術を知らない。
堂々巡りをして、どこへも辿り着かないやりとりを幾度も繰り返すうち、言葉を失って。

きっとどこかで、私と彼女は
「合わなくなってしまった」。

最後に送った「おはよー」は、今だに未読のまま、もうそれは空に放った一言。

思うように返せなかった言葉たちに同じ。


私が変わってしまったのかもしれない。

出会ったあの頃と同じ場所で、
同じように待っている彼女を置き去りにして

私は歩いてきてしまった。

きっと彼女はもう
あの頃のあの場所で同じ言葉がもう
返ってこないことを知って。

変わらずに柔らかな光を撮って、
優しい物語を読んで、
些細な言い回しに傷つき、
「忙しい」をあらゆる意味でとる彼女。

未読の「おはよー」は
彼女の出した答え。

あるいは、出させてしまった答え。

彼女から贈られた本、
手紙やポストカードの束、
キーホルダーたちを戸棚に仕舞う。
会ったことのない彼女の欠片たち。

彼女が好きだと言っていた
ピンク色に染まる空を 
窓の外に見て。


答え合わせなど
今はできない。

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