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指のキヲク。

丁寧に爪を削りながら、翌日のことを考えていた。彼女に会える日。二人で少し、ゆっくりできそうな日。

「何食べたい?」
「○○(町)にね、ガレットのおいしいお店があるんだって」
「へぇいいね、そこ行こうよ」
「いいの?」
「うん、行こ行こ」
「わーい、楽しみ」
「ね、楽しみ」

LINE

家族を送り出し、朝の家事を済ませたくらいに彼女はやって来た。

「おはよー」

ランチまでは、まだ時間は早くて。 
手を広げて迎えると、彼女は上着を着たまま、すっぽりと腕の中におさまって。

「会いたかったよ」
「うん、私も」

ゆるっとニットにタイトなパンツ、ウェーブのかかったロングに、くすみピンクのシャドウの目元が品良く。小さな耳には星のピアス、私がプレゼントしたものをつけてきてくれるあたり、今日の彼女はデート仕様だ。

それなのに。結局は。
耳へ、首筋へ、服の中へ。

「かわいい下着、買ったの?」
「どうせいつも見てないくせに…」
「見てるよ、ちゃんと」
「すぐとっちゃうでしょ」
「まぁ、そうだけど…」

くすぐったそうに身をよじって、クスクスと笑いながら肌がふれあう。

唇を重ねながら、手のひらと指で丸く撫で、肝心なところは、まだ、触れずに。

「ん。。ねぇ、焦らしてる?」
「もどかしい?」
「ん。。。ねぇ、わざと?」
「さわってほしい?」
「さわって…」

私にしか聞こえない声が耳もとで。
かかる彼女の息に、はやる気持ちを抑えて。

「どこ、さわってほしい?
    ちゃんと言わないと」
「んん…恥ずかしい」
「ちゃんと言わないと。触らないよ?」

「ん…、先っちょ…さわって」

かわいすぎるその声に、
もう頭は真っ白になって抑えきれず、
容赦なく口に含む。

漏れる吐息。彼女を全身で感じて。
優しく強く、唇を、指を這わす。

上も下も、前も後ろも、わからなくなる。



汗ばんで。

ぐったりした彼女に、ぴったり寄り添って、毛布に包まる。

「ガレット、楽しみだね」 
「もぅ力はいんない…」
「お腹空かないの?」
「お腹空いた…」
「食べさせてあげようか?」
「柊のばか」

動けなくて、動きたくなくて。
とりあえずは、彼女のかわいい下着を捜索中な私に、

「柊、髪の毛 ぼっさんぼっさんだよ?笑」

と、さらに、わしゃわしゃとかき混ぜる彼女の潤んだ目は、私しか知らない。



丁寧に爪を削る。

「柊はやさしいね」

彼女に褒められた、指先。

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