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ちいさなちいさな作り手。

「せんせい  おはようございます
    みなさん  おはようございます」

寝ぐせがポワポワゆれるちいちゃな子ども。
おやすみの日のカジュアルなパパ。
抱っこされたキョトンとした赤ちゃんと、
ご機嫌ななめなお兄ちゃんの手をひくママ。

低いテーブル、低いイスにちょこんと座り、園長せんせいがお話をはじめると、丸いお目目をまっすぐにむける。

「きょうは、おきゃくさんがきています。」

とご紹介いただいて、お名前を呼ばれる。

「なっちゃーん」

「はぁーい」

「しゅーちゃーん」

「はぁーい」
と元気よく手を振って、ニコニコと答える。

恥ずかしがってはいけない。

「なっちゃん」はワークショップを企画して、陶器を提供してくれる陶器屋さんで度々パートナーとしてこうして一緒に仕事をしているのだけれど、彼女は元保育士さんだったから、はじまれば、とても自然に保育士モードになっていた。

私!?
娘たちが保育園へ通っていたころから、10年ほどたっているものだから、忘れてたよ。
そうだそうだ、話し方も、ごあいさつも、保育園ではゆっくり大きく、小さな子でもわかりやすい伝え方をしなければいけないんだ。
そうだ、そうだ。

「はぁい、じゃあ、この葉っぱの絵の紙を、      最初はお水にチャッポーンといれます」

「チャッポーン」とせんせいとみんな。

和紙の台紙に十分に水を含んで、転写シートが剥がれてくるまで待つこと1分。。。

園児と待つには
「いーち、にーぃ、さぁーん、…」
と、手拍子でみんなで数えながら。

「おっ!おっ!ほらほら、見てみて!」
と、大げさにシートの剥がれを見せると、まるで魔法でも見たかのように
「うわぁ!」
と手をたたく。

「ここが一番大事。よぉく見ててね。」
と、丁寧にしてほしいところをゆっくりと見せる。絵本を読み聞かせるように、

「そろそろそろ…、そぉっと、そぉっと」

子どもたちも、パパもママも、指先を凝視。

「これだけだと、グラグラしてしまうから
   このヘラで、〝なかからそぉと〟っておさえていきます。」

「なか から そぉーと、なかからそぉーと」

「ほらほら見て見て、動かなくなったよ」

なっちゃんとしゅーちゃんは、くるくるお目目の子どもたちに寸劇を見せながら、お皿づくりの説明をして、いざ「おやこじかん」。

                    

                       🐤🐥🐣🐥🐣🐥🐤


「○○ちゃん、どうする?なに貼る?」
パパもママも優しく子どもたちにおまかせ。

「どんぐり〜」

「ちょうちょ」

「これとぉ、これとぉ」

小さなクリエイターさんたちは、お皿とマグカップの上に、好きな絵柄を好きなように、縦横無尽にのせていく。

バランスをとるのはパパやママ。
オシャレな時計のパパさんは、男の子兄弟を連れて、「○○くん、どーする?」ときっといつものやりとりをしている。
隣のおしゃれパーマのパパさんも、「○○ちゃん、すきなの選んで」と優しい。
カジュアルなママさんが、「○○くん、○○好きやん」と促すと、○○くんもその柄を探しにいく。

パパやママも、夢中になって、二歳の子どもたちも「チャポーン」「なかからそぉーと」をがんばっていた。

かれらの集中力は、30分もあればいいと思ったけれど、気がつけば1時間もがんばった。

抱っこされていたキョトンとした赤ちゃんは、一眠り。付き添いのお姉ちゃんは、廃材工作で素敵なカメラを作り上げていた。

同じお皿とマグカップに、好きな絵柄を選んで仕上げた親子の作品たちは、その子たちらしく、またそのパパさんママさんらしく。
素敵な器たちができあがった。

卒園記念のロゴをいれて。 
卒園式には、この親子手作りの器たちが記念品だとか。楽しい思い出になるといいな。
 

パパやママに手を引かれ、
「ありがとうございました。
    ばいばーーい。」

と手を振って帰っていった子どもたち。

寝ぐせはポワポワと、お腹はペコペコに、
小さなクリエイターさんたちは、おやすみの日に帰っていった。

ママのお手手と、ちいさなお手手。

おつかれさまでした。

卒園式に手渡される器たちを
お楽しみに。

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