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わたしは、消費をされたくない


さいきん「自分のコンテンツ」という言葉を見かけることが増えた。

たとえばそれは、自分の書いた文章や企画したイベントであったり、そのアイデアであったり、自分の人生の一部であったり、はたまた自分自身のことだったりする。「自分自身をコンテンツに」みたいな意見も多い。

ただ、これはまったく個人的な意見なんだけども、「自分のコンテンツ」という言葉にはどうも違和感がある。


大阪生まれ、芸人気質のわたしは、やっぱり「おもしろい」って言われるのがうれしかった。おもしろい話のネタになりそうなものを集めて集めて、気がついたらこういう大人になっていた。自分の信じる「おもしろい」や「素敵」をネタに文章を書く「ライター」という仕事についている。

友人知人にいじられるのも、個人の尊厳を傷つけられたり、不利益を被るようなものでなければだいたい「おいしい」。べつに芸人でもなんでもないけども、昔から冗談にできそうなエピソードはだいたい「おいしいな」と思っていた。

ライターとなったいまも、記事にならない程度のひと笑いや多少のやらかしだって、くだらないバカ話のネタになるだろう。オチがつく話はたのしい。べつにお笑いをやるつもりはなかったけども、話でひとを笑わせるのは昔から好きだった。

わたしはいまも、なにかがあると「おいしい」と思うし、「話のネタ」を探して生きているのである。


「いやいや、やってることおんなじじゃん」と思われるかもしれない。でもこれは、似てるようでちがう。

「話のネタ」とは「自分の持つ話題」のことだ。「お前はネタまみれの人生だな」などと数少ない学生時代からの悪友どもには言われるが、それだけ話題にできる失敗談や、よくもわるくも変わった経験の多い人生ということだ。かっこうのつかない、みっともない人生だけど、そんなにイヤじゃない。

一方「コンテンツ」というのはどういうものだろう。作り上げた作品であるとか、芸術であったり、「周りがたのしむ価値のあるのもの」のことではないか。つまりは、よくもわるくも、「消費される対象」ということだ。

端的に言ってしまうと、ネタは「自分が消費するもの」。コンテンツは「他人に消費されるもの」だ。


わたしは、自分のネタを自分のために消費している。ネタをふくらませて記事を書くし、くだらないバカ話をして、だれかをたのしい気持ちにできたらうれしい。

ネタはコンテンツの卵だろう。わたしの書いている記事はたしかに「コンテンツ」だ。ウェブメディアのいち記事として、読者におもしろがられたり、心を動かしたりする。そういうものを作っているぞ!なんて自慢気に言えるほどではないかもしれないけど、もし自分の記事もそういうものであったらうれしい。

反面、ただ消費されるのはかなしい。誰かの心に、少しでも長くとどまっていてほしい気持ちもある。だから、年末にかこつけて過去の記事を掘り返したりもする。あ、昨日のnoteのことですよ。まだ読んでないかたはぜひ。

だから、書いたものはコンテンツかもしれないけど、わたし自身はコンテンツなんかじゃない。「おもしろい」「価値のある」「すごい人間」じゃないじゃん!って気持ちももちろんあるけども、何よりわたしは消費をされたくないのだ。


常におもしろくなければいけない、コンテンツ力がなくなれば飽きられる。そんな、誰のためにあるのかわからない人生を、わたしは歩みたくない。

わたしの人生はわたしのものだ。ほかの誰にも左右されたくない。ただ自分のために、生きていきたい。ネタにまみれた人生かもしれないけど、それをどう使うかはわたしが決める。「あいつももうオワコンだな」なんてニヤニヤしている奴のために、燃やす命などないのだ。

「おもしろい話をしたい」「周りのひとを笑わせたい」というのは、あくまでわたしのエゴだ。自分が自分のために生きる過程で、周りのひとにおもしろがってもらえたら、とてもしあわせなことだなぁと思う。

だから、わたしはこれからも「自分のネタ」を探し続ける。おもしろい記事を書くために。くだらないバカ話をするために。


そんな思いで、今後も「ライター」とか「クリエイター」としてじゃなく、「人間・少年B」として活動していきたいなぁと思うわけです。

明けましておめでとうございます。今年もたぶん好き放題にnoteを書くし、ツイートもうるさいと思いますが、仲良くしていただけたら幸いです。どうぞ、この1年もよろしくお願いいたします。

2020年元旦 少年B


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