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君たちはどう生きるか

原作小説『君たちはどう生きるか』
吉野源三郎著

コペル君の発見

中学生が友達を裏切ってしまった。
おじさんにノートを渡される。
「君が本当に悩んでいるのなら、このノートを読んでくれ」

「君たちはどう生きるか」

おじさんは編集者。
コペル君が、おじさんの引っ越しのお手伝いをします。

小さな分子が、集まってできている。
そんなことに気が付いたコペル君は雨を見て、「これも分子でできているんだ」と思いを巡らせる。

「銀座に行こう」
とおじさんに誘われて、銀座に行って、高いビルから下をのぞいた時、コペルくんは「人は分子のようだね!」とおじさんに伝えると、おじさんから「じゃあ、キミはコペルニクスのようだから、コペル君だ」
そうして、コペル君と呼ばれるようになります。

「銀座に行ったとき、コペルニクスについて話したよね」
コペルニクスの発見から、何百年もかかって、地動説は説かれたんだ。
それによって、キリスト教の天動説からもわかるように、「自分を中心に考えたいものなんだ」と教えられます。

「銀座のビルの上から、下を歩く人が分子のようだと思った君は、大人よりも客観視できている」

そう褒められます。

学校で友人がいじめられている。
その友人と、どのように向き合うか、ということが、本書の大きなテーマとなっています。
いじめる側と、いじめられる側、どちらの立場も考えることの大切さを説かれている。
おじさんのノートには、コペル君の父親の言葉が書かれている。
「立派な大人にしてやってほしい」といって、父は亡くなった。

『立派な大人』というものは、教えることはできない。
きれいな水っていうものの味は、言葉で教えることができない。
経験して、その感動を忘れないでほしい。

それは、いじめについてにも同じ。教えることはできない。経験によって自分で知ることが大切なんだと聞くのです。

万有引力の法則を発見した、ニュートンのように、当たり前のことを疑問に思うことが、重要なんだ。
「当たり前のことを、当たり前じゃなく、深く考えていくことが大切なんだ」と、おじさんのノートに書いてあります。

人間分子、網目の法則

多くの人が携わって、1つのものが出来上がっていることに、コペル君は気づいたのです。
「自分の発見は、人類の発見でなくてはならない」
「人類がなにを発見していないかを、知ることができる」
ということを学ぶことが、『勉強する』ということなんだ。

「貧乏について考えておこう」
多くの人が、貧乏によって、引け目を感じて生きている。
時は、1937年。
第一次世界大戦と、第二次世界大戦の間。
軍国主義になりつつある、日本では、今では想像もできない貧乏な人が存在していた。
「君が裕福なのは、君のおかげではない」
友人の家は、貧乏だった。
貧乏である、当たり前の日常について、考えることが大切なのです。

おじさんは、「自分が、子供たちに生き方を教えるような本を出したい」と、考えるようになります。

「何をしたかが大事なんだ」
ナポレオンは、人生の内の20年間で皇帝になって、失脚した。
「ナポレオンは自由を勝ち取った」
自由のために戦った、ナポレオンは、革命的な力を発揮して、戦術や法律、社会体制、学問までも発展させた。
しかし、ナポレオンは、イギリスとの通商を禁止したことは失敗だった。
「イギリスとの通商禁止は、ナポレオンが欲望のためにやった」
ロシアに大軍勢で攻め入ったのも、失敗の一つだった。
ロシアの冬将軍によって、60万人の犠牲を払ってしまった。
「欲望のために多くの犠牲を払った」
ナポレオンは責任を追及され、最後はとんでもない島流しにあい、そこで絶命します。
「偉人の成し遂げようとしたことが、人類のためになったかどうかが重要」
「人類の進歩を止めてしまった偉人もたくさん存在する」

雪の日の裏切り

雪合戦をしているコペル君と友人たちに、上級生に雪だるまをつぶしたと言いがかりを付けられます。
上級生に殴られている友人を他所眼に、コペル君は自分は何もできない。
これによって、「自分は友達を裏切ったんだ」と、熱を出して寝込んでしまいます。
おじさんからのノートを開く…

「人間の悩みと過ちとは何のか」
「悩みってなんだかわかるか?」

「痛みとは今ある状態から、はずれていると教えてくれるサイン」
「あるべき姿から、はずれている時には痛みが伴う」
「王位を失って悲しんでいるのは、国王だったものだけだ」

人は、自分中心に考えてしまう。

子供に教えているようで、大人が学ぶことができる。
人と人がつながって、社会ができる。
『幸福』・『死』・『人間』・『社会』について考えることができる。
君たちはどう生きるか

哲学を教えてくれる、児童文学の紹介でした。


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