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派遣社員からのキャリアステップ

大学を卒業後、非常勤職員の事務員として働くことになった。
好きな職場だし、お金なんて関係なかった。時給は1150円。一人暮らしは到底できないから、実家住まい。だから、どうにか暮らしていけた。
けれども、一年経って、自分自身の将来や暮らしやお金のことが不安になってきた。その頃の私の発言は一つ。

「正社員になりたい」

しかし、スキルも何もない女がいきなり正社員になることはできるのだろうか。
何度か、正社員の職に就こうと企業に履歴書を送るが、折返しの連絡が来ることはなかった。さらに、私が目指した職は広報やクリエイティブ系。経験が重要視されるため、こんな状態の女を正社員として雇う会社は…ない…。

企業に履歴書を送っても音沙汰なし。たまに、連絡が来て面接に行くが、訪れた会社はどう見てもブラック…。
半年経って、目が冷めた。わたし、今の状況じゃ好きな仕事の正社員になれない。いきなり、ゴールに行けないなら、途中の島にまずは行ってみよう。

「派遣社員から正社員を目指そう」

派遣社員をステップに正社員を目指そうじゃないか。
早速、大手派遣会社に登録。自分の希望を伝えたが、毎日のように紹介される求人は、今までのような事務員や工場など…思ったような職の紹介はなかった。

毎日のように派遣の求人広告を見ていた私の目の前に、「短期派遣の制作ディレクター職」が出てきたのだ。
半年間の契約だが、未経験でディレクター職を経験できる上に、人員大量募集の求人。正直、コミュニケーション能力があれば、誰でも良いのでは?
早速、その求人に応募し、即採用。会社は、新宿にオフィスを構える大手の人材サービス会社だった。

ここから半年間、派遣社員として働き、ディレクターと制作進行管理のスキルを磨いた。いつもダラダラと働いていた非常勤職員の頃とは違い、働くことが楽しかった。こんな世界があるんだ、と思いながら汗を流して働いたのだ。

年が開けた1月。派遣の契約期間が3月末までだったので、4月入社を目指して、正社員としての就職活動を始めた。
信じられないぐらい、企業からの書類選考の通過連絡と面接日の調整の連絡が来たのだ。短期派遣での制作ディレクター職・制作進行管理ではあったが、世間の私の視線は非常勤職員の事務員の頃とは、明らかに違っていた。

気になった企業に履歴書を送れば、80%の確率で、連絡が来た。
企業から選ばれる側から企業を選ぶ側に半年間で変わったのだ。
さらに面接に行けば、「あの大手企業で働かれていたんですね…」と必ず言われ、自分の鎧にまでなった。
おかしな世間だと思った。あんなに私に興味がなかったのに、働いた会社、業務内容、スキルが変われば、こんなに見る目が変わるんだ。

クリエィティブな仕事に憧れていた私は就職活動2ヶ月で、正社員としてWebディレクター職で某企業に採用になった。

非常勤の事務員 → 派遣の制作ディレクター → 正社員のWebディレクター

以上が、私が正社員となった経緯になる。
もちろん、年収や待遇も変わり、夢見ていた賞与も手に入れることができた。
自分自身にスキルやキャリア。世間と戦う鎧を手に入れるために、派遣社員として働いてみる。これも一つのキャリアステップだと自らの経験で感じたことだった。

もし、正社員を目指しているが、なかなか難しいという方は、一度派遣社員を試してみてはどうだろうか?あなたの鎧が強固なモノになるかもしれない。

しかし、正社員となった私だが、今また派遣社員として大手建築コンサルの広報担当として働き始めた。派遣に戻った経緯と派遣で働く魅力については、また違う話で語ろうと思う。

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