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インドの日系企業で3か月働いて感じた仕事のこと



※本記事は、本noteの著者(シンノスケ)が別名義で別ブログにて
2019-01-20に記載した記事を、noteへの再掲にともない一部加筆・修正してアップロードしたものになります。
内容、現地情勢については執筆時のものになります。

はじめに

インドで現地採用職(以下「現採」)として働き始め、3か月強が経過しました。(当時、インドには2018年10月1日より勤務していました)

今回はこれまでのインド経験から見えてきたものを、仕事・金・時間の要素に分けて考察したいと思います。なお、テーマごとに分割した記事にしたいと思うので、今回の記事では仕事についてのみ感じたことを書きます。

仕事を通じて感じたこと

「仕事内容そのもの」と、そこで使用する「英語能力」の2つに分解して考えます。

仕事内容そのもの

ここでの仕事はキャリアには繋がらないということを実感しました。

私は日系大手の現地法人で働いてます。職種は「法人営業」で、「無形商材」の「ルート営業」を担当しており、得意先は日系大手数社です。

(ちなみに前職は異業界の中小企業にて、「法人営業」で「有形商材」の「ルート営業」を担当し、得意先は日系大手数社でした)

業界知識やスキルが付きにくい

なぜなら、日本における同業界・同職種で仕事するのと比べると、専門知識やスキルを使用する場面が少ないからです。

そのため、自分がこの業界に詳しくなったな、と実感する場面は少ないです。

また、業界知識をつけるためにネットで調べたり読書(ビジネス書・簡単な専門書)もしていますが、そもそも企業内の研修体系などが整っていないので、この対策が場当たりな印象は拭えません。

もともと、転職活動中に現採の業務内容を見ていて薄々感じていたのですが、どうやら私の仕事も「スキルのいらない仕事を任せる」(そしてその仕事で固定しておく)という立ち位置のものである気がしています。

こうした理由から、今後日本に帰国した際に同業界の同職種で転職活動するのは厳しいだろうと考えています。
正直、日本の採用担当者が期待するレベルに到達できる気がしない。

インド人への納期催促ばかりやってる

その代わりに多いのが、いわゆる業界知識を使わない仕事なわけですが、
本当に仕事の大部分を占めているなと思うのは「インド人への納期催促」です。

現地で仕事をしていると実感しますが、納期遅延がとてつもなく多いです。

1.インド人の気質(インドのせい)
2.海外現地法人の組織としての未熟さ(日本のせい)

とっさに思いつく限りでも、まずは上記の理由があるためでしょう。

納期遅延を未然に防ぐために、各工程から現状(作業ステータス)を共有してもらうメールのやり取りをほぼ毎日やります。
営業職としては基本的で大事な仕事ですが、こればかりやっていても業務を通じた成長は感じません。

「俺の仕事ってマジでインド人の尻叩いてるだけだな…」と思うことがよくあります。

駐在員は自分のことで手一杯

自社の駐在員に限定して言うと、現採の日本人を放置していることが多いです。

これは、間違いなく駐在員自身の業務量が多く手が回っていないからだと思います。

部下のマネジメント、現地本社への連絡、日本本社への連絡、得意先への営業・接待、インド国内の出張、日本への出張、日本人会などのイベント参加…

かなり働いています。確かに給料はわれわれ現地採用の2.5倍~4倍は貰っていますが、十分に納得できます。

ですが、私の催促メールを再三送っても見落としたり、明らかに前後のメールを読んでいない的外れな返信をもらうことが多くあり、正直言って「もうちょい頑張れ」と思うことが多々あります(笑)

メールでの業務指示などもフワッとした状態で送られることが多く、細かく箇条書きにして質問し直さないといけないことも多いです。

もともと私が日系大手の現採を志望したのも「海外で働き、駐在員(=大手正社員)のフィードバックのもとで成長できる」という理由があったのですが、まぁ微妙ですね。

私も第二新卒とはいえ、あくまで中途であることは事実なので、新卒の時のように「手取り足取り教えろよ」というスタンスでありません。
(新卒入社からおよそ1年半で転職しています)

とはいえ、自社の駐在員からは部下である現採をよく観察し、ケアしながら成長させようという姿勢は見られません。
これを言うと元も子もないですが、現採はすぐ辞めますからね…。
(平均2,3年、短ければ1年未満)。

英語能力

当然かもしれませんが、英語で毎日仕事するので伸びます
特にリスニングスピーキング

(なお、自社は日系企業のためマネージャー層が日本人ですが、日本人比率は社員全体の10%程度です)

気付けば抽象的な話題でもコミュニケーションを取れるようになり、パーティでは冗談を言い合えるようになったのは自分としても本当に嬉しいし、こうした結果がはっきりと自信になります。

というわけで、以下の項目にて詳細に説明していきます。
(なお、筆者は入社前1か月~入社後2か月の計3か月間、1日30分のオンライン英会話を受講していました)

リスニング

元々は結構苦手でした。

インド英語は、訛りが強くなければある程度分かるようになりました。ただ、同じインド英語でも年配者の訛りは本当にきついので、今でも"Sorry?"「もう一度良いですか?」)は頻用します。

あとは電話時もまだ分からないときが…。
外国語×半端ない訛り×ノイズのすべてが重なるとマジで地獄

入社から最初の3日間くらいは話しかけられてもほぼ何を言ってるか分からず、「俺はこれで今後仕事が務まるのか?」と恐怖を覚えたので、振り返るとかなり伸びた実感があります(笑)

ちなみに、英米英語に対するリスニング力もかなり向上しました。(英米英語は相対的に聞き取りやすいのでインド英語対策をすると勝手に伸びた)

業務の中でひたすらコミュニケーションして慣れていくのが主でしたが、下記の3点もやっておいて良かったです。

・オンライン英会話(フィリピン人が講師だったので逆に英米以外の訛りに慣れた)
・youtube(Hinglishで検索したり「Asian boss」というインタビューがメインのチャンネルのインド編をよく見ていた)
ディクテーション(日本で購入した参考書を使用してやっています)

スピーキング

元々リスニングと比べると格段に得意でしたが、それでも向上しました。

ただし今も交渉ごとだったり、抽象的なことを伝える際は多少ミスをします。

なおインド人は、英語の訛りこそきついものの、こちらの英語にもかなり寛容で、基本的には「聞こう」としてくれます。
(私はインド人のこうした寛容さが本当に好きです)

たまに短期出張に来ている日本人社員がゴリゴリの「出川英語」でインド人社員と話しているのを見かけることもあるが、それでも聞き取って丁寧に返答しているので感心します。

自社インド人や得意先インド人の英語力が低いというケースは全くないので、自分が話したあとに通じていないリアクションをされたときは間違いなくこちらの能力不足です。

リーディング

大学受験の段階でかなり得意だったので、インドでは着々と伸びているような感覚です。届くメールの9割くらいは英語なので、毎日これを読むだけでも伸びますね。

仕事も、特に作業を急ぐような場面は少ないので、メールや資料の中で分からない単語を見つけたらその場で調べて記録する習慣を付けています。

ライティング

リーディングと同様、大学受験の関係でかなり得意でした。着実に伸びている感覚。

上述のように、急がずに正しい文章を書くことを心がけているので、簡単なフレーズを使用する際でも、一瞬でも不安に思ったら検索する癖をつけています。

まとめ

1.職業スキルを必要としない業務を担当することが多い
2.納期確認・催促が業務の高い割合を占める
3.駐在員は忙しくて現採に構う余地なし
4.英語は伸びる。とはいえ最初はどうしてもしんどい
5.リスニングとスピーキングは他の学習で得られない伸びを感じられる

上記の理由から、仕事そのものから成長を得ることは難しい。

だけど絶対に英語は上達する。しかも、ここで「仕事ができること」の定義に

「異文化の中で外国語で意思疎通を図りながら作業を進めること」

を含めても良いのであれば、このインドという国は、十分に成長できる機会を与えてくれる環境だなーと思います。

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