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#現代短歌
「または、最善説」30首(「穀物」第2号)と、いくつかの異稿
はじめに2015年11月発行の「穀物」第2号が完売したので、掲載作「または、最善説」30首を公開します。この連作は、作者としてはあまり出来の良いものではなかったと感じていて、歌集が出る際には改作するか、全く載せないかのどちらかだろうと思いつつ、余裕が無くてずっと放置していたものです。
そうは言いつつも、この連作を作る段階でかなり苦しんだ記憶は今も鮮明に残っていて、これ以降「連作を作る」という行為
Dead Stock(12首)
もうすこし美しくなるはずだつた器が誰の心にもある
この街を消費してゐる僕たちはイオンに寄つてから大学に行く
新設の書架のひかりを浴びながらレーニン全集、とほい呼吸よ
あくまでもそれはいたみで、みづうみにゆらぐ水面のやうに呪つた
君の死後を見事に生きて最近のコンビニはおにぎりが小さい
掛け持ちのバイトのやうにやめられるはずも無かつた まだ生きてゐる
暗闇を知つてゐるから見えるんだ点滅をく