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プロレスで学ぶ?デジタルマーケティング戦略

こんにちは。
デジタルマーケティンググループの杉本です。

プロレス好きのあるあるですが、興味の無い人からは「あれってやらせでしょ?」なんて言われがちです。そんな時は決まって「シルク・ドゥ・ソレイユと同じ。どちらも弛まぬ鍛錬があってこそ成せる業だよ。」と説明すると、一定の理解を得られるので、いつもサルティンバンコには大変お世話になっております。

さて、今回はデジタルマーケティングにおける戦略についてお話しできればと思います。戦略なんて言うと、なにやら難しそうな印象を受けますが、私なりにできる限りシンプルな言葉でお伝えします。プロレスで言うとラリアットぐらいシンプルに。

ちなみに、世の中にはラリアット派とラリアート派がいる点にご留意ください。


デジタルマーケティングにおける戦略って何?

まずは戦略とは何かという話ですが、一言で言うと「5W1H」です。シンプルですね。戦略を立てるというのは、この5W1Hを決めることを指します。
※「5W2H」や「5W3H」の場合もあります。

デジタルマーケティング戦略やマーケティング戦略について調べると、あちこちのサイトで様々な定義が行われていますが、以下あたりがしっくりきます。

デジタルマーケティング戦略とは、デジタルチャネルと手法を利用して、マーケティング目標を達成するための包括的な計画です。

出典:Adobe Experience Cloud Blog

どのような顧客をターゲットとし、どのような価値を、どのように提供するかを考えていくことがマーケティング戦略になります。

出典:salesforce リソースセンター

ChatGPT(GPT-4)の回答は以下の通りでした。

デジタルマーケティング戦略とは、オンラインメディアとデジタルチャンネルを活用してビジネス目標を達成するための計画や手法です。

総じて、目標達成に向けた方針や計画といったところかと思いますが、この計画の中身が「5W1H」というわけです。この5W1Hの各項目では、主に以下のようなものを決めていきます。

Who(誰): ターゲットとなる顧客やユーザーは誰か。
What(何): どのような価値やサービスを提供するのか。
Where(どこで): どのチャネルやプラットフォームで活動を行うのか。 When(いつ): どのタイミングでマーケティング活動を展開するのか。
Why(なぜ): その活動を行う目的や意義は何か。
How(どのように): 具体的にどのような手法や工程で目的達成するのか。
How Much(どれだけ): 予算やリソースはどれだけ必要か。ROIをどのように測定するか。※5W2Hの場合

分かりやすくプロレスに例えると、WWE(アメリカのプロレス団体)における所謂「アングル」「ブック」が戦略に当たるのではないでしょうか。興行における、軍団抗争やマッチメイク、試合運びやフィニッシュホールド等を決めていくことをイメージしてください。

そして、戦略に基づいて実施される施策のひとつひとつを、一戦一戦の手に汗握る「試合」だと思っていただくと、より分かりやすくなりますね。いかがでしょうか。

※国内のプロレス団体におけるアングルやブックの存在については諸説あります。

戦略って何の為に必要?

目的達成に向けたどんな道のりもまずは一歩からですが、様々な施策を進めていく上で、関係者の考えや動きがチグハグだと思うように前に進みませんよね。また、闇雲に施策を実施していては、当然のことながら成果にも期待はできません。

しっかりとした戦略があると、関係者が認識を統一した上でスムーズな意思決定を行うことができるようになります。そして、よく練られた戦略であればあるほど、成功の確率も向上します。つまり、戦略とは「より早く適切に一歩を踏み出す為」のものだと言えます。

プロレスにおいても当然これは同様です。選手やレフェリーが共通認識を持って試合に臨むことによって、バックドロップやパイルドライバーといった危険な大技や、ラ・ケブラーダやトペ・コンヒーローといった派手な空中殺法等が可能になります。

つまり、「より安全により魅力的な試合を行えるようになる」わけですね。このことからも、戦略がいかに重要なものであることはご理解いただけるかと思います。

戦略がないとどうなる?

戦略が無くても最初の一歩を踏み出すことはできるでしょう。しかし、その後の歩みのどこかで様々な問題が発生しやすくなります。成果が出にくいだけでなく、最悪の場合は「施策や取り組みの継続が難しくなる」こともあります。その主な要因として考えられるのは以下の3点です。

①リソースを浪費する
計画的ではない施策やチャネルに予算が投下されることによって、マーケティングのROI(投資対効果)が低くなる可能性があります。これは、企業のリソース(ヒト・モノ・カネ)を浪費する結果となります。

②ブランドを棄損する
一貫性のないメッセージや、ターゲットに適していないコンテンツによって、ブランドの信頼性や評価を低下させる可能性があります。また、適切なセグメンテーションやパーソナライズが欠けていると、顧客との関係性の構築も難しくなります。

③分析機会を失う
戦略がないと、データの収集や分析に方向性が欠けるため、市場や顧客のトレンドに対する適切な洞察を得ることが難しくなります。これにより、マーケティング活動の最適化や効果的な施策の実行が困難になり、継続的なPDCAサイクルが実現できなくなります。

こうした要因のどれか、或いは複数が発生することによって、思うような成果が伴わない状態が続いた結果、取り組みの継続も困難になるのです。

勿論プロレス団体だって企業ですから同様です。これらの問題が発生すると、選手の不慮の怪我や故障、試合やストーリーの魅力の低下、そしてファン心理の把握等もできなくなっていまいます。

その状態が続くと、当然ファンは離れてしまいますし、集客がままならなくなる結果として、「興行そのものが継続できなくなる」わけです。やはり致命的な問題であることが伝わるかと思います。

戦略立案の流れ

そんなデジタルマーケティングにおいて大変重要な戦略の立て方です。詳しい説明は別の機会にして、ここでは簡単な流れだけをお伝えしますが、ステップとしては「集めて」「組み立てる」の2点です。

ステップ1:集める(リサーチ・データ分析)
まずは戦略の材料となる情報を得る為、必要なデータを集めます。データには様々なものがありますが、大別すると定量データ(数値化できるもの)と定性データ(数値化や類型化しにくいもの)の2種類です。必要なデータや集める手法は目的によって異なります。

以下は当社で実施する手法の一例です。

①定性調査
・デスクリサーチ:既存の公開情報やデータを収集・分析する手法です。
・フィールドリサーチ:実際の場所や環境で新しいデータを直接収集する手法です。
・ユーザーテスト:対象者に製品やサービスを利用・操作してもらい、その行動を観察する手法です。
・ユーザーインタビュー:対象者との対話を通じて情報を収集します。対象人数によって、デプスインタビュー(1名)やグループインタビュー(複数名)があります。
・エキスパートレビュー:専門科の経験則によって評価を行います。主にWEBサービス等に対して行い、ヒューリスティック調査とも呼ばれます。

②定量調査
・顧客分析:顧客に関するデータを分析することによって、顧客の行動、嗜好、ニーズ、トレンドなどの洞察を得る手法です。
・購買分析:購入履歴や取引データを分析することによって、顧客の購買行動や傾向を理解する手法です。
・アンケート分析:アンケート調査を通じて収集されたデータを解析し、その結果からの洞察や意味を抽出する手法です。
・アクセスデータ分析:ウェブサイトやアプリケーションへの訪問者の行動やトレンドを追跡・解析する手法です。

集めたデータに対して、様々な視点から分析と評価を行うことによって、有用な情報へ変換していきます。それらの情報に基づき、複数の戦略オプションを導き出します。

データ分析の際、各種フレームワークを活用して整理すると思考が捗りますし、他者からの理解や納得感を得られやすくなります。よく耳にするPESTや3C、4P、5Fといった有名なものからニッチなものまで数多くありますが、あちこちのサイトや書籍で紹介されていますので説明は割愛します。

ステップ2:組み立てる(プランニング)
導き出した戦略オプションの全て或いは一部を選択して、具体的な実行計画を組み立てていきます。プランニングにおけるアウトプットについても、ある程度は共通化されるものの、こちらもリサーチ同様、目的に応じて詳細な内容は変わってきます。主に定義するものは以下の通りです。

・目的/ゴール(KGI)
・方針/コンセプト/狙い
・ターゲット定義(ペルソナ/カスタマージャーニーマップ)
・セグメント定義/コミュニケーションプラン
・KPI/評価、運用ルール
・施策リスト/施策概要
・推進体制/アサインメント
・マイルストーン(複数年)/スケジュール(年間)
など

最終的なアウトプットの粒度も実施者によって異なる印象ですが、私が取り組む際は、立案した戦略及び施策案に対して、コスト投下の意思決定が下れば、速やかに協力会社に見積依頼及び実施できる状態のもの、と定義しています。前項でもお伝えしていた通り、戦略は一歩踏み出せる為のものであることが重要な為です。

戦略立案のポイント

ざっくり流れをご紹介しましたが、実際にやってみるとこれがなかなか難しいものです。難しさの理由は様々ありますが、主に不確定要素の多さと求められる思考や知識の広さだと考えています。私も毎度思考錯誤しながら進めていますが、取り組む上でいくつか意識しているポイントがあります。

目的に合ったサイズ感
リサーチやプランニングの手法やボリュームは、その目的やスコープによって大きく変動しますが、その適切な判断は意外と難しいです。勿論不十分なものでは役に立ちませんし、かと言ってあまりにオーバースペックなものだと、結果的に扱いづらいものになります。目的に最適な内容であるか、現実的に実行フェーズに移せるものか等、可能な限り先々のフェーズまで具体的にイメージして進めるようにしています。

それ自体がゴールではない
重ね重ねになりますが、戦略はあくまでスタート地点に立ち一歩を踏み出す為のものであり、それ自体が目的やゴールにはなりえません。大切なのは、組織が次のアクションの為の意思決定を行えるよう、明確な方向性を指し示すことです。よって、精度を求めるあまり、ここに時間やエネルギーを割きすぎて、肝心の施策に取り掛かれなくなってしまうのは本末転倒です。精度とスピードのバランスも重要だと考えています。

絶対的な正解はない
前述の通り、関係者が納得できることを前提とした上で、戦略の中身に唯一の絶対的な正解があるわけではありません。目的達成の確率を高めることを目指すものでありながらも、それを正解たらしめるのは、あくまで実行フェーズにおける施策の成果に他なりません。しかし、作って終わりにするのではなく、実際に実行した施策の結果をもとに、一定期間ごとに戦略も見直しを行いながら、最適化していく事を忘れないようにします。

これらはプロレスにも言えることです。試合を行うのは生身の人間ですから、非現実的なブック(戦略)ではいけませんし、ブックに唯一の正解があるわけでもありません。あくまで、身心を極限まで鍛え抜いたプロレスラーが魅せる、日々の試合(施策)の一戦一戦がファンの心を掴むのです。プロレスラー一人一人へのリスペクトの心を忘れないようにしたいものですね。

最後に

要所要所でプロレスに例えた結果、逆に分かりにくくなっているんじゃないかという本末転倒感が否めませんし、それがやりたいが為に書いた記事なんじゃないかという疑惑さえ生まれますが、ここまで読んでいただいた皆さま本当にありがとうございます。(特にプロレスなんて全く知らないという方には重ねて御礼申し上げたいです。)

今回は、私の主観も交えながら、デジタルマーケティングにおける戦略についてご紹介しました。概要とほんの輪郭程度の内容ではありますが、少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。ではまた次の機会に。

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