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読書メモ|ソフトウェア・ファースト

note515にちめ。

「ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略」(及川卓也)を読んだ、読書メモ。

IT活用を「手の内」化せよ、な本。DX、“蓋を開けてみたら新しいITツールを導入しただけ……とならないように”。(p.105)

産業の変遷が説明され、ともなって変えるべき意識が示される。テーマは組織体制、採用の具体的な施策、IT人材のキャリアパスまで。ソフトウェア・エンジニア以外のかたには、書かれたキャリアパスそのものは当てはまらないが、専門的なスキルとマネジメントという二領域との付き合い方はおおくのかたにとって無縁でないのではと思う。知財屋のワタクシも興味深く読みました。

日本企業はソフトウェアを「設計パターンに従って複製可能な工業製品」とみなす。(p.76)

多くの日本企業に特徴的なIT外任せの形態も、その経緯とともに示されている。外任せではそうなるね、トハいまなら当然に思うが、いまだからこそ。当時は計画や管理さえ握っていれば差し支えないと考え、その考えはそうヘンには見えなかったのだろう。本書はどこなら外注できるか、の話もあっておもしろいです。

日本企業のソフトウェア開発は、製造業の延長で考えられてきた一方で、“製造業が強みにしていた本質的な部分を活用できていない”とも。調達や開発委託のこだわり、生産技術に投資することが重要と説く。

虚ろなIT開発、その課題がよくイメージされる。

クラウドアプリケーションのフロントエンドコンポーネントと説明する。(p.142)

GoogleではChromeをブラウザ(インターネット閲覧ソフト)とは言わず、「クラウドアプリケーションのフロントエンドコンポーネント」と説明していたという。「ブラウザ」と言えばあくまで「ブラウザ」、おのずとその枠にはまってしまうから。

他方、枠にとらわれないようにと新しいことばを冠したが、実態は既存のものと同じ、という製品やサービスもある。その説明がわかりやすいか、腑に落ちているかが分かれ道かと。

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意外に楽しんだのが職位の話。カタカナやアルファベット略称の肩書は、他組織のこととあまり気にせずにいた(課長相当かーくらい)。あの方はこういう役割あの方は、とこのたび思い浮かべながら読みました。



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