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水の器

放置されたコーラの様な ぼくに

今更ながら君は言う

“ここって穴場なんですよ”って

柔らかい表情に ゆっくり浮かぶ仕草で

まだ見ぬ季節の情景も添えて

よく見えないけど

きっと可愛く微笑んでいる


だけど ぼくのポケットからは

結局何も出せなくて

いつもよりキョロキョロと

親しみ歩く君を見て

適時は噛み合わないものだと

頭の片隅で 溜め息を昇華させた


欲望は曖昧になると ヒトを人たらしめる

時間は脳と心臓の調和を図ってしまう


ほら スカートの裾が揺れてる

ぼくの気も知らないで

また 夏が君をすくって行く



ぼくは甘い水のまま

ただ そこに居た

もう 夏だった

遠くで雨音のする 夏だった






















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