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大学入試はどこへ向かうのか 〜 センター試験と共通テストの位置づけの比較

 来年度の入試から様々な大学で入試形態が変化します。まず,大学入学センター試験から大学入学共通テストへ変わります。それに伴い,私大の入試形態も変わる大学が増えています。「来年度の入試が変わる」と思われていますが,厳密には「来年度の入試から変わっていく」という言い方が正しいでしょう。

 今回は共通テストについて考えます。形式的な変化,出題の質の変化などいろいろ挙げられますが,実は根本的な位置づけが異なります。

 2020年11月23日(月)に,Zoomウェビナーを用いて行われた,大学入試センター主催の「センター試験をふり返る」というタイトルのシンポジウムの中で「大学入試センター試験」と「大学入学共通テスト」の位置づけ(目的)の違いについて触れられていたので,簡単にまとめてみます。

 これまでのセンター試験は「各大学の個別試験の基礎力を問う」という位置づけでした。それに対して,共通テストは「高校の学習到達度を測る」という位置付けに近くなるようです。これは,共通テストに変える目的のひとつに「学力の三要素」を評価することが含まれることからもわかります。

「高大接続」を目的としてこのようになったようですが,これまで測られてい大学の個別試験の基礎力を問うための試験がなくなります。仮に改善される側面があったにせよ,結局,別の側面では「高大乖離」になりそうです。なにしろ「共通テストの作成には,大学の先生ではなく高校の先生が携わった方がいい」という意見さえあるようですから。

 したがって,このような位置づけの変化は,大学の個別試験(とくに国公立大学)の出題にも影響を及ぼすかもしれません。共通テストがどのような問題を出すかも注目ですが,今後の国公立大の出題も見物です。
 逆をいえば,受験生は,何があっても対応できるように,絶対的な学力を身につけておく必要があるでしょう。

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