本命はじめて3年目
昔からお菓子作りが好きだった。かつて一瞬だけパティシエになるのを夢見ていた時期もある。フランスに旅行に行きたいという夢はその時に生まれたものだ。今となってはパティシエになる夢はとうの昔に捨て去ったが、フランス旅行の夢だけが残った。
そんな私は小学2年生ごろから毎年バレンタインは手作り。3年生ごろには友チョコを手作りで配っていた。その頃から祖父母や叔父叔母も含め、家族と幼馴染には毎年欠かさず贈っている。私が作ったお菓子をみんなが「おいしい!」と言って笑顔で食べてくれるのが嬉しくて、大学生になった今もバレンタインが近づくと「今年はなにを作ろうか?」とワクワクして、バレンタインに渡す用以外にもお菓子を作りたくなって作ってしまう。
女子校に通っていた中学の頃、同級生に友達はいなかったと自負しているが、バレンタインだけは特別。タッパーで持ち寄って渡し渡され、誰が渡してくれたものか、誰に渡したかがわからなくなるほど普段の関係性等は気にせず、みんなでお菓子を配りあった。先生にも渡していたし、特に大好きだった国語の先生からはちゃんとお返しも返ってきていた(もちろんみんなに)。部活では先輩後輩含め、全員が手作りでラッピングありのお菓子を贈りあった。
高校に入ってからも基本的には同じ。タッパーで持ち寄って贈り合う。部活でもタッパーで持ち寄り、男女・先輩後輩関係なく部員全員に手作りの義理チョコを贈る。女子は手作りでバレンタインに、男子は買ったものをホワイトデーに必ず贈るのが慣習だった。
こんな風に私にとって、毎年バレンタインのお菓子を手作りで大量生産することは当たり前だったし、作るのが好きなのでなんの疑いもなく楽しんでいた。
しかし以前、大学のカレを含む友達に話すと「変な慣習…」「絶対慣習作った時の主将が女子から手作りバレンタイン欲しかっただけやん…」と怪訝そうにされたので、世の中的にはマイナーな慣習なのかもしれない。
大学に入ると2月に授業がなくて、約束しないと会えないので、本当に渡そうとしない限り渡せないのだと気づいた。せっかく渡したいほど仲良くなれた人がたくさんいるのに、このご時世で渡すことがさらに躊躇われる環境になってしまった。毎年恒例の大量生産が途絶えて少し寂しい。
一方、本命は?というと、ちゃんとしたのは今付き合ってる彼にしか渡したことがない。
以前、以下の記事で書いた小学校時代に好きだった人には、最後のバレンタインにバナナケーキを渡した。甘いものが苦手な彼への配慮で、本命だったけれど「好きです」とは言えず、「これからも友達でいてください。」と渡してしまった。果たしてこれは本命なのか疑問なので、カウントしてない。
今の彼の前に1人だけ元彼もいるが、バレンタインの少し前に私から振って別れたので渡してない。
そんなわけで彼は私の初めての?本命の相手。
本命=手作り!的なイメージがあるが、友チョコも作ってしまうので、そういう差はつけられない。
そこで彼と付き合い始めてからは、家族に渡す以外にもう1つ彼と幼馴染専用のお菓子を作ってきた。昨年・一昨年に何を作ったか、正確には忘れたけれど、毎年チョコ系で統一している。
今年は最初希望を聞いた時に適当に彼が言ったテリーヌのつもりだったけど、タルト食べたいって言ってたなと思って、生チョコタルトメインにした。それ1つ・2つだけじゃ寂しいので、スノーボールも作った。タルトを作り出すと生地を寝かす時間が多すぎたので暇で、結局テリーヌも作った。生チョコタルトの生チョコの余りが固まったので、副産物で2個限定のトリュフも作れた。
チョコだらけで甘すぎて重そう。
そう思っていたけど案外あっさりしていて、うまくできた。自信作だ。
今回は、作るのに必要な特殊な材料や器材が多かったので、製菓材料店に2回ほど足を運んだ。
1回目は住んでる街の南の方の個人経営ところ、2回目は富澤商店というわりと大きなところ。
製菓材料や道具を時間を忘れて見入ってしまうほど、見てるだけでも楽しい空間だった。でも見ていると改めてお菓子作りはお金かかる趣味だなぁと思う。なりたいと思ったことは1度もないけど、もし自分が専業主婦になるなら毎日お菓子作りしてたいなぁなんて思った。
*
胃が痛いというので、今日のデートは辞めて彼の家に届けに行った。
胃が痛いというのにその場で私が渡したお菓子をほぼ全部食べた。
痛いんだから食べちゃダメでしょ!というと、「美味しそうだから我慢できなかったの」「食べたら痛いのマシになったあ」なんて言っていた。
おいしいおいしい、と食べてくれる彼を横に、来年は何を作ろうかなぁと考える。そんな自分に気づいて、いつからこんなに贅沢になったんだろう、と思う。
毎年今年が最後かもって思うのに、来年はなに作ろうって、これからも一緒にいるのが当たり前みたいに考えている。バレンタインも、誕生日も、n年記念日も。
もうレパートリー出尽くしちゃったなぁ、また来年考えるか。
なんて思ったけれど、今回の副産物トリュフがうまくできたので、来年はボンボンショコラアソートにでもしようかな。転写シート買って、プラリネとかいちごソースとか仕込んで、仕切りのある箱を買って。
でも「難しいから」って却下していたリクエストのマカロンを、練習して作れるようになって、渡すのもいいな。
どっちにしても「お店のやつみたいだね!」と写真を撮って喜ぶあなたの顔がみたい。
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