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【短歌】春を思い出して


【旅】

その街の中で暮らした日々のこと
今も目耳肌がおぼえてる

一日中歩きまわっても物足りない
疲れを知らずに生きていられる

Bonjour 交わしたあの街元気かな
Danke! と伝えたあの人たちも

他人ひとと会い続ける日々の真ん中で
思い出すのはキミのことばかり



【地元】

ビルよりも低い位置から空照らす
ハコのなかには笑顔と涙

駅ナカの記憶の中にはいつだって
蓬莱饅とマネケンワッフル

海と山、街のすべてに詰まってる
キミと過ごしたあの日々のすべて

不思議だね離れようとしてたのに
「ただいま」言うのはあの土地なんだ



【新たに暮らす土地】 

第一印象

有名で人気者たるきみのこと
知ってるつもりでいたけれど、

満員だ次に乗ってもまた満員
押し押されるしかないみたいだ

街中に踏み出てみればビルばかり
見下ろされてるようでどんより

交差点スマホ掲げて渡る人
朝8時にはだれもいない


池袋、大阪梅田のヨドバシのよう
今ではどこかほっとする場所

日本中すべてが集まる東京を
形作るはきっと新宿

クラス飲みマクドのバーガー美容院
思い出集まる場所渋谷



【新生活】

はじめまして 今日からここが私の街
駅前のイオンとコメダに「よろしくね」

アッシュの床に白い壁、紺カーテン
髪一本落ちてやしない私の新居

初スーツ初のパンプス足見れば
あっという間に靴擦れだらけ



【若葉】

頑張りますと伝えた私に目を細め
キラキラしてると先輩あなたは言った

大好きな季節が今年もやってくる
それを知らせるは緑の葉っぱ


【風】

「よろしく」と桜並木と春の風
これから何度も思い出すでしょう

川沿いをスキップ、あの歌口ずさむ
私の頬を撫でるは薫風

もう夏だ。走り回って汗だくな
私たちを揶揄うサウナ風


【日向】

美しくなりたいけれど日陰より
吸い寄せられるは日向のほう

疲れた日思い出すのは君でなく
太陽のようなあの人の笑顔



・「飛び出した」

飛び出した自ら望んでこの土地に
だけど心は故郷あの土地と在る


・「晴れた日に」

晴れた日にお気に入りを着て家を出る
私による私のためのおまじない




この note は レモンさん との共同マガジン「交換ノート」の企画記事です。
約1ヶ月間、週1で同じテーマについて考え、それぞれが感じることを記事にします。翠とレモンさんの思考のちがいを楽しんでもらえますと幸いです。

1・2週目は同じ音楽を聴いて感じたことについて、3週目は同じお題についてそれぞれで短歌を、4週目は【どのように生きていきたいか】について、そして、今回は3週目とは異なるお題での短歌に挑戦しました。


▽レモンさんの短歌はこちら


▽企画マガジンはこちら


レモンさん、毎度毎度ほんとうにすみませんでした。もう忘れてらっしゃったかもしれませんが、3ヶ月越しにこちらを更新させていただきます。

新生活の忙しさと、満員電車でスマホを取り出すこともままならない日々で、noteを開くことすら億劫になりそうだったなか、レモンさんとの約束があったから、私はまだこの場所に立っていられました。ありがとうございました。

実はずっとチビチビと書いてはいて、さっさと作ればいいのに、完璧主義が邪魔をしてなかなか出せずにいました。本当にすみません。

また次のチャンスをいただけるよう、創作を、短歌を続けていけたらいいなと思います。

改めまして、レモンさんと読者の皆様、
ありがとうございました。



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