見出し画像

読者の目を覚ます「でもそれに比べると僕の部屋は死体安置所のように清潔だった。」

私はハルキストではないけれど、後輩に勧められて村上春樹の作品をいくつか読んだことがある。
作品全体に染み渡る、村上春樹独特の表現技法。
いくつか読んで思ったことは、彼の作品は精神衛生が良好な時でないと読めない、ということだ。
表現を噛み締める時間が必要であるし、時に負の表現が容赦なく散りばめられていることがあるからだ。

ご存知の通り、村上春樹の表現技法で突出していることは、比喩表現だ。
そんな表現の中に、読者の目を覚ますような表現を見つけた。

でもそれに比べると僕の部屋は死体安置所のように清潔だった。

部屋の喩えを死体安置所と表現するなんて、なんとぞっとするものか。
そもそも、死体安置所なんて行ったことない人もいる。ましてや、一般的な死体安置所は病院の地下にあるものだから、病院の一室でもある。でも、そこを病院の一室と呼ばないのは、地下にある死体安置所と一般病棟とにある違いを表現したかったのかもしれない。

なんて、こんな意見はハルキストに言わせたら陳腐なものかもしれないけれど、村上春樹の表現は考えれば考えるほど、奥が深い…

気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」を始めました。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだもりやみほさん。私は、月~土までのうち、火・木・土を担当しています。

文章にあった絵を書いてくださる方、募集していたり。していなかったり。