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魔法のようなハワイ

横浜港の大さん橋を望みながら、ウサギとカメはゆっくりと足を進めていた。波のようにうねるデッキに辿り着くと、二人は足元を確かめながら、かばい合うように手を繋いだ。それでも歩みを止めることなく、二人はただ前だけを見つめていた。

遠い海に向かって歩いていたウサギは、ふと立ち止まり、くるりと振り返った。山下公園の緑が揺れ、停泊している氷川丸が二人を静かに見守っていた。

振り向けば、山下公園と氷川丸の姿

右手を見れば、波間に漂うように赤レンガ倉庫が目に入った。その背後には、ランドマークタワーが空を突き抜けるかのように、堂々とそびえていた。

夕暮れの赤レンガ倉庫からは
賑やかな音楽が聴こえてくる

ウサギはそれらの景色を振り切って、もう一度、大さん橋の先に目を向けた。「この海は、ずっと遠くの外国へと続いているのね」と呟く彼女の声には、ほんの少しの憧れと切なさが混じっていた。

ベイブリッジの向こうには……

「私、ハワイに行きたいわ。ヤシの木の下でフラダンスを踊りたいの」

ウサギはそっと目を閉じた。瞼の中では青い空とエメラルドグリーンの海が広がり、白い砂浜が果てしなく続いている。そんな彼女の耳元に、ウクレレの音色が聞こえてきた。

「ハワイのことを考えていたら、ウクレレの幻聴が聞こえてきたわ」ウサギは苦笑いしながら首を振った。しかし、次の瞬間、彼女はぴたりと動きを止めた。

「カメくん、こっちよ!」ウサギは彼の手を握り、音のする方向へ駆け出した。

「KA HULA HOA(カ フラ ホア)」

たどり着いたのは、「KA HULA HOA(カ フラ ホア)」と名付けられたハワイフェスティバルの会場だった。ウクレレの音色が空気中に漂い、色とりどりの花飾りが二人を出迎えた。

「やっぱり本物のウクレレの音色だったのね」と、ウサギは満面の笑みをカメに向けた。

会場にはハワイのグッズが溢れていた

思いがけず現れた、ハワイの世界に取り込まれた二人は、横浜三塔のことなどすっかり忘れて、魔法のような幸せに包まれていた。

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