スウェーデンの社会システム・子どもたちの場合その2

スウェーデンの社会システムのお話しで、スウェーデンの子どもたちをうらやましく思われるかもしれませんが、実はスウェーデンの子どもならではの苦労も背負っています。複雑な家庭環境の子どもが多く、精神的に強くないとやっていけない場合もありますので、我の強い子も多いようです。まず、10才くらいの子どもで、生物学的な両親がそろっている家族が少なくなっています。多くの場合は両親が離婚していて、それぞれに新しいパートナーがいることもめずらしくありません。兄弟姉妹で、父親または母親が違うと事情もわりと一般的です。

たとえ両親が別れたとしても、共同親権のスウェーデンでは、どちらかが引き取るのではなく、両親が交代で子どもの面倒を見ます。よく耳にするのは、1週間交代で母親の元と父親の元を行ったり来たりしていることや、平日は母親の元、週末は父親の元に行くことです。両親がそろっていないことがほぼ普通になりつつあるので、それを理由にいじめられたり、後ろめたいということは子どもたちの感覚にはないようです。

そういう子どもたちを見ていますと、昔ながらの日本の家庭はいいなぁと思います。学校から帰ると手作りのおやつを作って待っている母親がいる家庭なんて、スウェーデンではまず考えられません。日本でも最近はそのような家庭は少なくなっているかもしれませんが、やはり子どもにとっては、自分を何よりも大切に考えてくれる保護者のいる安らげる家庭がいちばんなはずです。

とはいえ、両親の離婚は日本でも増えていますので、離婚した後も両親が責任を持って子どもの面倒を見るスウェーデンの共同親権について、次回にお話ししたいと思います。先進国の日本が未だに単独親権で、子どもの親権を取り合っているのはとても残念に思います。

その3に続く

2002.3.5執筆、2016年リライト

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