見出し画像

伯父さん。

あれは、アメリカのテロがあった年のテロが起こる前のことでした。レオナルドディカプリオと映画が好きっていう理由で春からロサンゼルスにいた私。直前まで、病気になった伯父さんとおばあちゃんのW介護看病になったおばさんの助っ人として、おばあちゃんちに派遣されていました。おじさんの治療が一段落したことで私も実家に帰り渡米の準備。いざ出発、というときにまたおばあちゃんちに寄ろうと電話をすると、おじさんが出て「バカだなぁ〜もうちょっと早く連絡くれればよかったのに。その日は用事があるんだよぉ〜。また今度な!」とケラケラ笑って電話を切りました。それから数カ月後。

「おじさんが亡くなった。」

と、ロスの私に連絡が来ました。メールだったのか、電話だったのかも覚えていません。
子供の頃から可愛がってくれたおじさんと。
またな!って言ったおじさんと。
ちゃんとお別れしなきゃ。
自分より先に息子を亡くすなんて、おばあちゃん、大丈夫かな。。。
急いで私は一時帰国しました。
お通夜、葬式、来客。。。
たくさんの人が行き交い怒涛のように過ぎていく日々。なんだかんだと落ち着いた頃、私もロスに帰ることにしました。
時差ボケはなかなかキツイので帰る前日はなるべく寝ずに、飛行機の中で寝るように調整するため、夜、ビーズをやって時間を潰していました。
日付を跨いだころ。

「ザワザワザワザワッッ・・・」

急に周りの空気が冷たくなったような気がしたと同時に、すごーーく嫌な感じがしました。

なんか、来る。。。。

なんだかわからないけど、怖くて怖くて、私は隣室の私用の布団に転がり込みました。
そのお部屋はおじさんとおばさんの寝室で、
おばさんはもう寝てる。
私用の布団はおばさんの隣、おじさんが寝ていた場所に敷かれていました。
布団を頭まで被り、目をギューッと強く瞑っても、耳をふさいでも、神経は変に研ぎ澄まされているようで、階段を上がってくる足音が聞こえました。

あ、上がってきた。

足音は洗面所の方に行きました。
蛇腹のカーテンを揺らす音聞こえました。
その時「あれ?これっておじさんかも?」と、ふと思いました。
でも怖い。

あ、来る。

足音が寝室に向かってきました。
ん?でも実はおばさん、トイレにでも起きたのかな?布団の間から薄目を開けて見ると、おばさんはやっぱり寝ています。
足音は、寝室の前で一旦止まり「カラカラカラ♪」寝室の引き戸を軽やかに開ける音がしました。

「ギャーーーー入ってくるーーーーー( ;∀;)」

更に耳を塞ぎ、目を強く瞑ります。でも聞こえる足音。

私の、枕元に来て、止まりました。次の瞬間、

「バンバンッッ!バンバンッッ!」

た、叩かれたぁーーーーーー( ゚∀゚)o彡°

アンター!いい加減起きなさーい(怒)と寝てる子供を起こしに来たオカンのレベルで布団の上から肩をバンバンぶっ叩かれました。

「ウソ〜ん・・・」

心の中は恐怖と信じられなさと、布団開けて目の前におじさんの顔あったらどーしょーという、シャンプーのとき目を開けられないのと同じ、いやそれ以上の恐怖が入り乱れます。
やっぱ無理!目を瞑るまぶたに力が入ります。
バンバン叩いても無反応の私にしびれを切らしたのか、足音が私の布団の足元のほうに降りていき戻ってきます。足音が布団の周りを回った後、多分私は恐怖の絶頂に達し、気絶しました。(それ以降の記憶がない)

翌朝、おばさんに「ねぇ、昨日夜中トイレ行った?足音しなかった?」と聞くと昨夜は一度も起きていないとのこと。体験した一部始終を話しました。

おじさんは快気祝いにと、おばさんやお友達たちと旅行に行った、その旅先で突然倒れそのまま亡くなったのです。それも治療していた病気とは全く別の疾患で。

「あまりにも突然過ぎて、自分が亡くなったのわかってないのかもねぇ。だから、なんでアンタがこんなとこで寝てんだ!って思ってたのかもね。おばさんのとこにも来てくれないかなぁ。。。」


伯父さん。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?